著者
谷津 明彦 安田 富士郎 多紀 保彦
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.40-50, 1978-06-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
15

タウエガジ科の1新種ベニツケギンポDictyosomarubrimaculataを記載した。本種は, 従来, 同属のダイナンギンポD.burgeriと混同して扱われていたため, D.burgeriの再記載も行なった。両種は側線形態, 不対鰭条数, 体色等の相違により区別される。さらに, D.burgeriに地理的変異の2型が認められたが, より詳細な分布の検討が必要であると考えられたので, 今回の報告では, 本州中部太平洋岸から得られたfbrm aと日本海及びその周辺水域から得られたfbrm bとに暫定的に分けるにとどめた.D.rubrimaculataとD.burgeriの2型は, それぞれ同所的に分布しており, 千葉県小湊と神奈川県横須賀での水中観察の結果では, 両者は棲み分けを行なっていた。すなわち, D.rubrimaculataは所謂ガラモ場と呼ばれる潮下帯の一部に, 一方D.burgeriのform aは岩礁の潮間帯に主に見い出される.D.burgeriにおける脊椎骨数の増加, 腹鰭の退縮などの形態的特徴と上記の生活場所に関しての知見は, D.urgeriがより特化した種であることを示唆している.
著者
安田 富士郎 水口 憲哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.31-34, 1969-06-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4

近年, Chryso phrysはPagrusに統一する提唱がなされているが, この2属に属する各3種について, 骨格とくに頭骨と脊椎骨について比較検討を行なったところ, 2属の間に著しい差が存在することが発見されたので, 現段階では, Ckrysophys属をPagrus属とは独立の属としてとり扱うのが妥当だと考える.
著者
安田 富士郎 望月 賢二 河尻 正博 能勢 幸雄
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.118-124, 1971

相模湾一帯及び伊豆諸島より得られたムツおよびクロムツ172個体について.8計数形質, 20計量形質, 体色及び内部形態として頭蓋骨, 前上顎骨の比較検討を行なったところ, 4計数形質, 体色及び内部形態で両者を識別することが出来た.<BR>以上の点からクロムツとムツとを同一種として取扱うことは適切でなく, 別種の魚として扱われるべきである.