著者
加納 光樹 斉藤 秀生 渕上 聡子 今村 彰伸 今井 仁 多紀 保彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.109-114, 2007-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
25
被引用文献数
12

2005年1月から2006年1月にかけて, 渡良瀬川水系の水田周辺にある排水路において, カラドジョウとドジョウの出現様式と食性を調査した。調査期間中に採集されたカラドジョウは171個体 (体長27~115mm) , ドジョウは3023個体 (体長25~149mm) であった。カラドジョウは7月にだけ出現したのに対し, ドジョウは調査期間を通じて出現した。カラドジョウとドジョウの共存時期において, 両種の主要な餌はともにカイミジンコ類, 水生昆虫の幼虫, ホウネンエビであった。どちらの種でも体長30mm未満ではカイミジンコ類を食べていたが, 体長30mm以上になると水生昆虫の幼虫やホウネンエビなども食べるようになった。同じ体長階級ごとに胃内容物組成についてSchoenerの重複度指数を算出したところ, 0.69~0.90の高い値が示され, 両種が同所的に出現したときの餌資源分割が明瞭ではないことがわかった。
著者
片山 正夫 多紀 保彦
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.361-367, 1984-02-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
18

高知県と宮崎県の沿岸・河口周辺に出現するアカメ科魚類アカメには, 従来一般にLatesc alcarifer (Bloch) の学名が与えられてきたが, 種の査定には疑問がもたれていた (Katayama et al., 1977).そこで本研究では日本, フィリヒ。ン, タイ, オーストラリア産のLates属魚類を比較したところ, 日本以外の地域からの標本はすべて形態的に同一でL.calcariferと同定されるが, 日本産のアカメは, L.calcariferのtype localityが日本ということになっている (Bloch, 1790) にもかかわらず, 未記載の別種であることが判明し, これをL.japonicus sp.nov.として記載した.Bloch (1790) のtype localityの表示は, おそらくjavanaiseをJaponaiseと混同したことからきた誤りと思われる (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1828) 。アカメLates/aponicusは, 体高体長比, 背鰭第3棘と轡鰭第2棘の相対長, 胸鰭条数, 鱗数, 鯉紀数の諸形質で, L.calcariferと区別される.本種はこれまで高知・宮崎両県下からのみ記録されている.
著者
谷津 明彦 安田 富士郎 多紀 保彦
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.40-50, 1978-06-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
15

タウエガジ科の1新種ベニツケギンポDictyosomarubrimaculataを記載した。本種は, 従来, 同属のダイナンギンポD.burgeriと混同して扱われていたため, D.burgeriの再記載も行なった。両種は側線形態, 不対鰭条数, 体色等の相違により区別される。さらに, D.burgeriに地理的変異の2型が認められたが, より詳細な分布の検討が必要であると考えられたので, 今回の報告では, 本州中部太平洋岸から得られたfbrm aと日本海及びその周辺水域から得られたfbrm bとに暫定的に分けるにとどめた.D.rubrimaculataとD.burgeriの2型は, それぞれ同所的に分布しており, 千葉県小湊と神奈川県横須賀での水中観察の結果では, 両者は棲み分けを行なっていた。すなわち, D.rubrimaculataは所謂ガラモ場と呼ばれる潮下帯の一部に, 一方D.burgeriのform aは岩礁の潮間帯に主に見い出される.D.burgeriにおける脊椎骨数の増加, 腹鰭の退縮などの形態的特徴と上記の生活場所に関しての知見は, D.urgeriがより特化した種であることを示唆している.
著者
大槻 晃 橋本 伸哉 土屋 光太郎 佐藤 博雄 吉田 次郎 和田 俊 石丸 隆 松山 優治 前田 勝 藤田 清 森永 勤 隆島 史夫 春日 功 鎌谷 明善 村野 正昭 多紀 保彦 平野 敏行 白井 隆明 荒川 久幸 兼廣 春之 平山 信夫
出版者
東京水産大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

本研究はROPME-IOCの要請に答えるものとして計画された。本年度の主目的は、調査海域を更に広げて昨年と同様な継続的な観測を行うと共に、ROPME側から要望のあったホルムズ海峡における流向・流速の係留観測を再度試みることであったが、ROPME側で係留流速計の調達が出来なかったこともあり、急きょ底生動物採取等に時間を割り振ることになった。又本年度は、最終年度となるため、ROPME事務局のあるクウェートに入港するこを計画した。本研究グループは、研究練習船「海鷹丸」を利用する海域調査班(研究者7名、研究協力者8名)と車で海岸を調査する陸域調査班(研究者4名)とに分かれて行動した。海域班としては、ROPME事務局が計画した調査航海事前打ち合わせ会(9月26〜27日)に、研究代表者と「海鷹丸」船長2名がクウェートに赴き航海計画、寄港地、ROPME側乗船人数等を伝え、要望事項を聴取した。陸域調査班は、10月28日成田を出発し、バハレーンを経て、クウェートに入り、車を利用して海岸に沿って南東に下り、サウジアラビアのアルジュベールで調査を終了し、11月7日に帰国した。各地点で原油汚染・被害の聞き取り調査、研究試料・魚類試料の収集、水産物の流通・利用の調査を行った。海域調査班は、11月15日に遠洋航海に出発する「海鷹丸」に調査研究器材を積載し、アラブ首長国連邦アブダビ港で乗船すべく12月11日成田を出発した。シンガポールを経て、アブダビに到着、13日には「海鷹丸」に乗船し、器材の配置等研究航海の準備を行った。12月14日ROPME側研究者14名(クウェート4名、サウジアラビア7名、アラブ首長国連邦1名、オマーン1名、ROPME事務局1名。尚、カタールから1名乗船予定であったが出港時間迄に到着しなかった)をアブダビ港で乗船させ、12月15日朝調査を開始するため、出港した。先ず、ホルムズ海峡付近に向かい、1993年に調査した最もホルムズ海峡側の断面から調査を行い、徐々に北上、アラビア湾中部海域に向った。アラブ首長国連邦クワイアン沖からサウジアラビア・アルジュベール沖までの7断面24地点の調査を行い、12月26日予定より1日早くクウェートに入港し、ROPME側研究者及び日本側研究者全員下船した.調査成果の概要は、以下の通りである。1)全ての地点で、湾内水塊移動及び海水鉛直混合調査のためのCTD観測、溶存酸素及び塩検用試料採取と船上分析を行い、観測データを得た。2)全ての地点で、栄養塩測定用試料採取(オルト燐酸イオン、珪酸、アンモニュウムイオン、硝酸塩、亜硝酸塩)を行い、更にそれらの船上分析を行い、観測データを得た。3)海水中の原油由来の溶存微量炭化水素分析用の試料採取、及び船上抽出を行った。4)全ての地点で、底泥の採取に成功した。5)全ての地点で、ボンゴネット及びプランクトンネットによる動・植物プランクトンの採取を行い、幾つかの地点で基礎生産力の測定を行った。6)全ての地点で、海水の光学的特性と懸濁粒子の分布調査を行った。7)全ての停泊地点で、3枚網、籠網、縦縄、釣りによる魚類採取を行う予定であったが、航海後半の悪天候の為、前半に6調査地点に限られた。8)全ての地点で、稚魚ネット引きを行い試料を得た。12月27日には、ROPME事務局関係者2名、日本側研究者7名及び、ROPME研究者7名が参加し、ROPME事務局において、「海鷹丸」による調査結果を主体とした成果発表会をどのように行うか検討会がもたれた。その結果、1995年12月5〜8日まで東京水産大学で行うことが決定した。12月30日クウェート空港を出発し、シンガポール経由で12月31日参者全員帰国した。