著者
水口 憲哉 檜山 義夫
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.17-23, 1969-06-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11

東京都下秋川において行なった調査により, オイカワZacco platypusの成熟および臀鰭の性徴について以下の点を明らかにした.1) 6月から8月の産卵期に, 雄はよく発達した追い星, 体側の赤および青緑色, そして異常に発達した臀鰭などによって特徴づけられた.III+才魚およびII+才雄の半数よりなるこれらの成熟雄は産卵活動を行ない9月までに死に絶えてしまった.2) II+才雄の残り半数は, 何ら二次性徴を示さず, 細い糸状の精巣をもったままで産卵期を経過してしまったため, 上述の成熟雄に対し“非成熟”雄とされた.“非成熟”雄は, 夏期にも成長を続け翌年の産卵期にIII+才魚として成熟した.3) 成熟雌においてもその程度は低いが臀鰭における形態的変化がおこった.雌はほとんどがII+才で産卵を開始しIII+才で2回目の産卵を行なった後に姿を消した.4) 5月から8月にかけては, 全長80mm以上のオイヵワについて臀鰭長により雌雄の判定が可能であり, また, 特に雄においては性的成熟の度合を知ることができる.5) 鱗に表われた過去の成長状態を参考にして, 雄が成熟または“非成熟”へと別れる過程およびII+才雄全体に対する“非成熟”雄の割合などについて考察した.
著者
水口 憲哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.173-178, 1970-12-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

秋川におけるオイカワ (Zacco platypus) の卵の生産について以下の点を明らかにした.1) 卵巣の重量および長さにおける増加は, 4月から6月にかけて急激におこり, 重量はその後7月, 8月と徐々に減少し9月には3月の状態にもどる.これにともない, 体重の増加およびその後の減少, 消化管内容物重量の増加がみられた.2) 1966年6月, 東秋留においては, 孕卵数 (F) と全長 (L (mm)) との間には, logF=-2.80+2.84logLなる関係がみられ, 投網で採集されたオイカワの雌100個体当りの孕卵量は約38, 000粒と推定された.3) 雌100個体当りの孕卵量はその後, 7月約24, 000粒, 8月約9, 000粒と減少してゆき, 潜在的な産卵能力を3ヶ月間にわたって維持していたと考えられる.
著者
水口 憲哉 檜山 義夫
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.17-23, 1969

東京都下秋川において行なった調査により, オイカワZacco platypusの成熟および臀鰭の性徴について以下の点を明らかにした.<BR>1) 6月から8月の産卵期に, 雄はよく発達した追い星, 体側の赤および青緑色, そして異常に発達した臀鰭などによって特徴づけられた.III<SUP>+</SUP>才魚およびII<SUP>+</SUP>才雄の半数よりなるこれらの成熟雄は産卵活動を行ない9月までに死に絶えてしまった.<BR>2) II<SUP>+</SUP>才雄の残り半数は, 何ら二次性徴を示さず, 細い糸状の精巣をもったままで産卵期を経過してしまったため, 上述の成熟雄に対し"非成熟"雄とされた."非成熟"雄は, 夏期にも成長を続け翌年の産卵期にIII<SUP>+</SUP>才魚として成熟した.<BR>3) 成熟雌においてもその程度は低いが臀鰭における形態的変化がおこった.雌はほとんどがII<SUP>+</SUP>才で産卵を開始しIII<SUP>+</SUP>才で2回目の産卵を行なった後に姿を消した.<BR>4) 5月から8月にかけては, 全長80mm以上のオイヵワについて臀鰭長により雌雄の判定が可能であり, また, 特に雄においては性的成熟の度合を知ることができる.<BR>5) 鱗に表われた過去の成長状態を参考にして, 雄が成熟または"非成熟"へと別れる過程およびII<SUP>+</SUP>才雄全体に対する"非成熟"雄の割合などについて考察した.
著者
水口 憲哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.173-178, 1970

秋川におけるオイカワ (<I>Zacco platypus</I>) の卵の生産について以下の点を明らかにした.<BR>1) 卵巣の重量および長さにおける増加は, 4月から6月にかけて急激におこり, 重量はその後7月, 8月と徐々に減少し9月には3月の状態にもどる.これにともない, 体重の増加およびその後の減少, 消化管内容物重量の増加がみられた.<BR>2) 1966年6月, 東秋留においては, 孕卵数 (F) と全長 (L (mm)) との間には, logF=-2.80+2.84logLなる関係がみられ, 投網で採集されたオイカワの雌100個体当りの孕卵量は約38, 000粒と推定された.<BR>3) 雌100個体当りの孕卵量はその後, 7月約24, 000粒, 8月約9, 000粒と減少してゆき, 潜在的な産卵能力を3ヶ月間にわたって維持していたと考えられる.
著者
安田 富士郎 水口 憲哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.31-34, 1969-06-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4

近年, Chryso phrysはPagrusに統一する提唱がなされているが, この2属に属する各3種について, 骨格とくに頭骨と脊椎骨について比較検討を行なったところ, 2属の間に著しい差が存在することが発見されたので, 現段階では, Ckrysophys属をPagrus属とは独立の属としてとり扱うのが妥当だと考える.