著者
安藤 香織
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

フェニル酢酸誘導体の酢酸パラジウム触媒を用いるオルト位C-H活性化とオレフィン化反応の反応機構を調べるために、分子軌道計算を行った。計算のモデルとしてフェニル酢酸アニオン(1)、メチルアクリレート(2)およびPd(OAc)2を用いてB3LYP/6-31G*,Pd:SDDレベルで解析した。Pd(OAc)2と1から錯体生成後、フェニル基とのπ-complex生成は容易に起こり、C-H活性化による酸化的付加によりAr-Pd-H(OAc)(OCOAr)が生成する(Int3)。この過程の活性化エネルギーは24.6 kcal/molであった。還元的脱離による酢酸の脱離は容易に起こり(6.2 kcal/mol) Int4を生成、酢酸のプロトンがカルボキシル酸素に移ってフェニル酢酸のカルボキシル基がPdから離れ、かわりにメチルアクリレートが配位にしてInt5となる。アルケン二重結合のPd-Ar結合への挿入反応は10.4 kcal/molのエネルギー障壁で起こり、C-C結合の回転の後、β水素が脱離してArCH=CHCO2Meが生成する。生成したオレフィンがパラジウムから離れてから、酸素酸化により触媒が再生されて反応のサイクルが回ると考えられる。反応の律速段階はC-H活性化段階であった。触媒サイクルは通常0価と2価で説明されることが多いが、本反応では2価と4価での触媒サイクルを計算した。反応は85℃で48時間行われており、律速段階の活性化エネルギー24.6 kcal/molとよく一致しており、2価と4価での触媒サイクルは実験をよく説明していると言える。
著者
安藤 香織 大沼 進
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
(Released:2017-09-13)
参考文献数
27

本研究では,北海道,東北,関東,中部,関西の5地域の大学生を対象とした質問紙調査により,東日本大震災後の節電行動の規定因を検討した。東日本大震災後には日本全国で電力供給量不足が深刻となり,節電の呼びかけが行われた。駅や公共施設などでは照明を暗くするなどの節電が行われた。先行研究では,周りの多くの他者がその行動を実行しているという記述的規範が環境配慮行動に影響を及ぼすことが指摘されている(e.g., Schultz, 1999)。本研究では,公共の場での節電を観察することが記述的規範として働いたのではないかという仮説を検討した。質問紙調査の有効回答数は計610名であった。分析の結果,公共施設等での節電の体験,他者の実行度認知共に個人の節電行動に有意な影響を及ぼすことが確認された。また,震災による価値観の変化,エネルギー問題の深刻性認知,計画停電の体験,地域の電力不足の認知も節電行動に有意な影響を及ぼしていた。災害後で電力供給力が逼迫しているという特殊な状況下においても記述的規範が節電行動に影響を及ぼすことが確認された。最後に公共の場で節電が個人の節電行動に及ぼす効果についての議論を行った。