著者
野波 寛 加藤 潤三
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-12, 2012

The present study defined legitimacy as approvability of others' or one's own rights to participate in managing commons and proposed two kind of determinants, institutional substance as a reference frame based on such matters as regal norms and perceived substance founded on a subjective estimation of others' or one's own desirability and the like. When an actor's rights to manage commons are established by legality as institutional substance, people will recognize their rights to be structured as a low variability. Therefore, their cognitive process for considering the grounds of the actor's rights besides legality will be disturbed. In this case, it is hypothesized that it becomes difficult for perceived substance such as trustworthiness to act as a determinant of legitimacy as a result of inhibition to attention. To examine the interference effects of institutional substance on perceived substance, a research survey was conducted to measure the evaluations of actors who participate in making policies for the prevention of red-clay flow at Onna village in the islands of Okinawa. The results indicated that the trustworthiness of actors promoted legitimacy when their legality was evaluated as low. We offer a theoretical discussion on the legitimacy of rights and its determinants around the management of commons.
著者
岡本 卓也 藤原 武弘 野波 寛 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-16, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本研究の目的は,マクロレベルでの集団間の関係性を測定,図示,解析することである。そのため,ある集団やそのメンバーに対して人びとが抱いているイメージ,情報,認知を元にして集団と集団の境界を決定しようとする集団共有イメージ法を提案する。従来の集団研究では,マクロな関係である集団間の関係性を表す際,ミクロデータを代用することが多かった。そこで,対象集団に関するイメージをもとに対応分析を行うことで,マクロレベルでの集団間の関係性の分析を試みた。大学生274名を対象にSIMINSOC(広瀬,1997)を実施した結果,イメージの類似性による集団間の関係性の認知マップが描かれた。またその座標を元にクラスター分析を行うことで集団間の境界線が抽出された。さらに小杉・藤原(2004)の等高線マッピングを応用することで,集団間の関係性(マクロデータ)と個人の好意度(ミクロデータ)の関係を分析した。これらの方法によって測定された集団間の関係性について,好意度や交流時間などのその他の指標との対応を検討した結果,本研究で用いた手法は十分な妥当性を持つものと判断された。最後にこの分析手法の成果や今後の展望について議論した。
著者
安藤 香織 大沼 進 安達 菜穂子 柿本 敏克 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1816, (Released:2019-03-26)
参考文献数
40

本研究では,環境配慮行動が友人同士の相互作用により伝播するプロセスに注目し,調査を行った。友人の環境配慮行動と,友人との環境配慮行動に関する会話が実行度認知や主観的規範を通じて本人の環境配慮行動の実行度に及ぼす影響を検討した。調査は大学生とその友人を対象としたペア・データを用いて行われた。分析には交換可能データによるAPIM(Actor-Partner Interdependence Model)を用いた。その結果,個人的,集合的な環境配慮行動の双方において,ペアの友人との環境配慮行動に関する会話は,本人の環境配慮行動へ直接的影響を持つと共に,実行度認知,主観的規範を介した行動への影響も見られた。また,ペアの友人の行動は実行度認知を通じて本人の行動に影響を及ぼしていた。結果より,友人同士は互いの会話と相手の実行度認知を通じて相互の環境配慮行動に影響を及ぼしうることが示された。ただし,環境配慮行動の実施が相手に認知されることが必要であるため,何らかの形でそれを外に表すことが重要となる。環境配慮行動の促進のためには環境に関する会話の機会を増やすことが有用であることが示唆された。
著者
石盛 真徳 岡本 卓也 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.22-29, 2013 (Released:2013-09-03)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本研究では27項目で構成されるコミュニティ意識尺度の原版の利便性を高めることを目的として短縮版の開発を行なった。その目的を達成するために392名の調査回答者(平均年齢40. 9歳,男性50. 3%・女性49. 7%)のデータを収集した。短縮版12項目は,原版のコミュニティ意識尺度と同じく連帯・積極性,自己決定,愛着,および他者依頼の4つの下位尺度から構成されている。各下位尺度はいずれも3項目から構成されているが,それらの項目については原版を用いた先行研究において一貫して同一の下位尺度に負荷している項目から選定を行なった。短縮版の探索的因子分析を実施した結果,短縮版が原版と同じ4因子構造を保持していることが示された。次に検証的因子分析を実施した結果,短縮版の4因子構造モデルが十分な適合度を持つことが示された。したがって短縮版は原版の半分以下の項目数でコミュニティ意識という構成概念を測定し得ることが示されたといえる。今後は,利便性の向上した短縮版を積極的に活用し,現実のコミュニティにおける課題の解決に向けた実証的研究を進めていくことが必要である。
著者
野波 寛 加藤 潤三 中谷内 一也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.81-91, 2009
被引用文献数
1 1

The present research investigated the legitimacy of actors that participate in managing natural resources as commons, and the determinants of their legitimacy. Legitimacy was defined as the approvability of the rights of others and the self, to participate in the management of the commons. Traits that actors expected of managers were highlighted as the determinants of legitimacy. We examined the effects of three traits: expertise, partyship, and locality. A questionnaire survey targeted three actors-farmers, fishermen, and other workers-involved in the red clay flow problem that has damaged the local sea in Ginoza village, in Okinawa. As a result, the legitimacy of farmers and fishermen was higher than that of civil servants. Results also indicated that the parties to the problem were more favored as managers than the experts, and that the actors favored local community members as managers over experts. Furthermore, the favored traits of managers as determinants of legitimacy were inconsistent among the actors. These suggested that the subjective locations of actors in participating in the control of the red clay flow were different from each other. The contributions of these findings to the expansion of social governance in managing the commons are discussed.

2 0 0 0 OA JSD概論

著者
加藤潤三
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.84(2001-IS-078), pp.37-44, 2001-09-08

JSD(Jackson System Development)の概要をモデル化と機能の仕様化を中心に説明する.JSDの特徴はソフトウェアシステムの開発を仕様化とその実現に明確に分離していることである.JSDの成果物という側面から見たときの特徴としてこの分離に適切な仕様書の構成と構造がある. JSDのモデル化で採用しているアプローチは系統的であり 現在でもそのアプローチは有用である.今まであまり述べられなかった仕様書の構成と構造の特徴とモデル化それからJSDの限界と現時点での応用について述べる.
著者
加藤 潤三 池内 裕美 野波 寛
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.134-143, 2004
被引用文献数
3

The purpose of this research was to investigate the influences of two types of goal intentions (local-environment focused and environmental-problem focused) on environment-conscious behavior. A questionnaire was randomly assigned to 735 residents who lived in the area within 2 km of the Muko River. Upon analyzing the results, goal intention could be divided into two types. Structural Equation Modeling revealed that behavioral intention was significantly influenced by a local-environment focused goal intention, social norms, cost evaluation and attachment to the Muko River, but not by an environmental-problem focused goal intention. These results suggest that people adopt environment-conscious behavior from the point of view of local conservation, and not overall environmental preservation.
著者
安藤 香織 大沼 進 安達 菜穂子 柿本 敏克 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-13, 2019

<p>本研究では,環境配慮行動が友人同士の相互作用により伝播するプロセスに注目し,調査を行った。友人の環境配慮行動と,友人との環境配慮行動に関する会話が実行度認知や主観的規範を通じて本人の環境配慮行動の実行度に及ぼす影響を検討した。調査は大学生とその友人を対象としたペア・データを用いて行われた。分析には交換可能データによるAPIM(Actor-Partner Interdependence Model)を用いた。その結果,個人的,集合的な環境配慮行動の双方において,ペアの友人との環境配慮行動に関する会話は,本人の環境配慮行動へ直接的影響を持つと共に,実行度認知,主観的規範を介した行動への影響も見られた。また,ペアの友人の行動は実行度認知を通じて本人の行動に影響を及ぼしていた。結果より,友人同士は互いの会話と相手の実行度認知を通じて相互の環境配慮行動に影響を及ぼしうることが示された。ただし,環境配慮行動の実施が相手に認知されることが必要であるため,何らかの形でそれを外に表すことが重要となる。環境配慮行動の促進のためには環境に関する会話の機会を増やすことが有用であることが示唆された。</p>
著者
中谷内 一也 野波 寛 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.205-216, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

本研究の目的は,沖縄県赤土流出問題を題材として,環境リスク管理組織への信頼が,一般住民と被害を受けてきた漁業関係者との間でどのように異なるかを検討することであった。何が信頼を導くのかという問いへの,社会心理学の長年にわたる標準的な回答は,能力認知と誠実さ認知が信頼を導くというものである。これに対して,リスク研究分野で注目されている主要価値類似性モデル(SVSモデル)は,人々が,リスク管理者に対して自分たちと同じ価値を共有していると認知することこそが信頼を導く基本要因だと主張する。われわれは両モデルが統合可能であると考えた。すなわち,当該環境問題に利害関係の強い人びとは主要価値が明確であるので,SVSモデルが予測するように,価値の類似性評価によって信頼が導かれる。一方,直接の利害関係にない人びとの信頼は代表的な信頼モデルが予測するように,能力評価や誠実さ評価によって導かれる。この統合信頼モデルを検証するために,沖縄県宜野座村をフィールドとして質問紙調査を実施し,一般住民(n=234)と漁業関係者(n=72)から回答を得た。分析の結果は仮説をおおむね支持するものであり,利害関係の強い漁業関係者の信頼は価値類似性評価と関連し,一方,一般住民の信頼は能力評価と関連することが見いだされた。最後に,今回の知見がリスク管理実務に与える示唆について考察した。
著者
加藤 潤三 野波 寛
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.194-204, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究の目的は,2種類の目標意図(地域焦点型目標意図・問題焦点型目標意図)およびコモンズの連続性認知が地域住民の環境配慮行動に及ぼす影響を検討することである。琵琶湖の流域住民335名に対する質問紙調査を行った。共分散構造分析による分析の結果,問題焦点型目標意図は,行動意図に対して幅広く影響しており,特にその影響は個人行動意図に対して強いことが明らかになった。また地域焦点型目標意図は,問題焦点型目標意図に影響を及ぼし,間接的に行動意図に影響を及ぼしていることも示された。コモンズの連続性認知は,各目標意図だけでなく,個人行動意図・集団行動意図にも有意な影響を及ぼしていた。以上より,地域住民の環境配慮行動を促進させるためには,コモンズの連続性認知を喚起させることが重要であることが示唆された。
著者
安藤 香織 大沼 進 安達 菜穂子 柿本 敏克 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
2019

<p>本研究では,環境配慮行動が友人同士の相互作用により伝播するプロセスに注目し,調査を行った。友人の環境配慮行動と,友人との環境配慮行動に関する会話が実行度認知や主観的規範を通じて本人の環境配慮行動の実行度に及ぼす影響を検討した。調査は大学生とその友人を対象としたペア・データを用いて行われた。分析には交換可能データによるAPIM(Actor-Partner Interdependence Model)を用いた。その結果,個人的,集合的な環境配慮行動の双方において,ペアの友人との環境配慮行動に関する会話は,本人の環境配慮行動へ直接的影響を持つと共に,実行度認知,主観的規範を介した行動への影響も見られた。また,ペアの友人の行動は実行度認知を通じて本人の行動に影響を及ぼしていた。結果より,友人同士は互いの会話と相手の実行度認知を通じて相互の環境配慮行動に影響を及ぼしうることが示された。ただし,環境配慮行動の実施が相手に認知されることが必要であるため,何らかの形でそれを外に表すことが重要となる。環境配慮行動の促進のためには環境に関する会話の機会を増やすことが有用であることが示唆された。</p>
著者
古宮 誠一 加藤潤三 永田 守男 大西 淳 佐伯 元司 山本 修一郎 蓬莱尚幸
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.100(1998-SE-121), pp.99-106, 1998-11-05

ソフトウェアに対する顧容の要求を抽出する技術をインタビュー技術であると捉え、インタビューによる要求抽出作業を誘導するシステムをWWW上に開発中である。この論文では、インタビューによる要求抽出作業を誘導するシステムの実現方式を明らかにしている。
著者
野波 寛 加藤 潤三
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.25-32, 2009 (Released:2012-02-14)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

This study classified environmentally-conscious behaviors of residents (n=335) along Lake Biwa as a common goods into personal and group behavioral intentions, and examined the determinants of these intentions. Identification with the community was a social identity, and differed from attachment to Lake Biwa, which was defined as topophilia. The results indicated that group behavior was affected by topophilia, while personal behavior was influenced by general attitudes about the environmental problems of the lake and evaluations of the cost for the behavior. Community identity had a significant effect on both personal and group behavior. Rational or emotional decision making processes resulted in two different types of environmentally-conscious behaviors.