著者
宮城 愛美 西田 昌史 堀内 靖雄 市川 熹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.732-741, 2007-03-01
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究では,視覚と聴覚に障害のある盲ろう者が,指点字を使用して参加可能な会議システムについて検討した.盲ろう者が指点字,健常者が文字を使用する会議システムを想定する際,メディアの違いに起因して,盲ろう者の発言と読取りが困難な状況が予想される.指点字による発信・受信を保証するため,発言の伝達情報量と呈示速度を制御する「発言権」という機能を導入した.指点字の入出力を模擬したインタフェースを使用して,32人の被験者によるシミュレーション実験を行い,「発言権」を評価した.提案システムにおいてグループ内の被験者で同程度の発言回数・発言文字数が達成され,機能の有効性が示された.また,盲ろう者が参加したシステム評価実験により,試作した会議システムの実現の可能性が見出せた.
著者
宮城 愛 寺澤 由佳 山本 伸昭 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.109-113, 2013-02-01 (Released:2013-03-06)
参考文献数
10
被引用文献数
5

症例は78歳男性である.慢性膿胸に対する胸腔洗浄中に左片麻痺を発症し,頭部CTで点状の空気像をみとめたために,脳空気塞栓症と診断された.頭部CTとほぼ同時期に実施した頭部MRI-T2* 強調画像で頭部CTの空気像と同部位に多発低信号をみとめた.発症から7時間後のT2* 強調画像では多発する低信号は発症2時間後よりも小さく,より広範にみられるようになり,第54病日では点状の低信号はほぼ消失していた.近年,急性期脳梗塞の診断にMRIをおこなうことが多くなっており,脳空気塞栓症の急性期MRI所見を知っておくことは重要と考える.
著者
鶴見 昌代 宮城 愛美 新美 知枝子
雑誌
研究報告アクセシビリティ(AAC) (ISSN:24322431)
巻号頁・発行日
vol.2020-AAC-13, no.5, pp.1-8, 2020-08-21

音声アシスタント搭載デバイスであるスマートスピーカーは,視覚情報の不足を音声情報によって補うことが多い視覚障害者にとって,意義深いデバイスであると考えられる.スマートスピーカーを利用する上で,視覚障害者にとって重要なことや困難なことを明らかにし,利便性を高めることを目標とし,スマートスピーカーおよびスマートホームデバイスに関して,視覚障害者を対象にアンケート調査を行った.結果として 113 名の回答を得たので,調査結果の一部を紹介する.
著者
宮城 愛
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1258-1260, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2

多くの脳卒中患者の機能回復は発症後6ヵ月がピークとなり,その後の回復は見込めないとされていたが,ボツリヌス治療により長期の回復が得られる可能性が出てきた.ボツリヌス毒素はこれまで重要視されていた神経筋接合部への影響だけでなく,脊髄への直接的な影響も考えられるようになっている.このため,ボツリヌス毒素は異常な筋伸張反射の亢進を正常化させ,機能を回復させる可能性が考えられる.実際の治療では,まず治療目標を設定し,適切に目的となる筋肉へボツリヌス毒素を投与し,その直後に注射された筋肉へ運動療法をおこなうことが重要と考える.また治療間隔を最短期間の3ヵ月に設定することが,重要である.
著者
常世田 智明 稲熊 祐輔 宮城 愛 辻本 育子 中嶋 貴 瀬嵜 良三 氏平 伸子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.87-92, 2017 (Released:2017-01-28)
参考文献数
17

症例は59歳の初診時に腎機能障害を認め血液透析導入. 同時期に心機能障害, 2型糖尿病も指摘. 腎生検未施行であり, 糖尿病性腎症と臨床診断していた. しかし, 「頭痛, 嘔吐, 感音難聴, るいそう, 知能低下, 母が心疾患であること, 血中乳酸値が繰り返し2mmol/L以上」などからミトコンドリア病を疑い, 65歳時に遺伝子検査を提出. tRNA-Leu (UUR) 3243A→G変異を認め, MELASが疑われた. その後, 遷延する低血糖をきたし死亡. 剖検を行ったが, 低血糖の原因となりうる形態的な病変は確認できなかった. 腎臓は廃絶状態であり, 腎不全に至った正確な病変の判定が困難であるが, ミトコンドリア病に関連した腎不全の可能性があると思われた. 心筋, 脈絡叢上皮細胞の電子顕微鏡検査にて, 異常なミトコンドリアの増多を認め, 病理学的にもミトコンドリア病の所見を示していた.