著者
西山 忠男 宮崎 一博 伊東 和彦 佐藤 博樹 金澤 英樹 玉田 攻 北澤 恒男 小池 正義
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.47, 2004 (Released:2005-03-10)

Ito et al.(2003)において合成されたカンラン石単結晶中に見られる波動累帯構造の詳細を報告し,成因を考察する.これまで2成分系において成長速度の濃度依存性を組み込んだ拡散境界層モデルが提唱されているが,われわれの場合組成変動幅が小さいので問題にならず,既存のモデルでは説明不可能である.ここではメルト中の拡散が2成分系ではなく3成分系で起こると考え,FeOとMgOの拡散係数の大きさが有意に異なる場合はSiO2のアップヒル拡散が生じることを示す.カンラン石の成長によりこのようなアップヒル拡散が生じると,拡散境界層におけるメルト組成は,カンラン石のバルク組成から外れることになり,それにより成長が阻害される.SiO2の濃度勾配が解消され,拡散境界層のバルク組成が再びカンラン石のそれに近くなると成長が再開する.このようなフィードバック機構により波動累帯構造が形成されると考えられる.
著者
宮崎一博
出版者
地質調査所
雑誌
地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)
巻号頁・発行日
vol.103, 1996
被引用文献数
1
著者
高橋 裕平 宮崎 一博 西岡 芳晴
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.Supplement, pp.S21-S31, 2011-09-01 (Released:2013-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
4

筑波山及びその周辺地域の山塊には深成岩類と変成岩類が分布している.深成岩類からは古第三紀初期の放射年代が得られ,また,その岩石学的性質や関連鉱床との関係から西南日本内帯の領家帯及び山陽帯の深成岩類の延長と考えられている.変成岩類は,その原岩がジュラ紀末-前期白亜紀堆積物と考えられ,白亜紀末から古第三紀初期に高温低圧型の変成作用を受けたものである.筑波山塊北の花崗岩類は良質な石材として国会議事堂をはじめ日本の多くの建物で利用されている.
著者
脇田 浩二 宮崎 一博 ソパヘルワカン J. ズルカルナイン I. パーキンソン C.D. ムナスリ Koji Wakita Kazuhiro Miyazaki Jan Sopaheluwakan Iskandar Zulkarnain Christopher D. Parkinson Munasri Geological Survey of Japan Geological Survey of Japan Research and Development Centre for Geotechnology Research and Development Centre for Geotechnology Tokyo Institute of Technology Tsukuba University
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 = The memoirs of the Geological Society of Japan (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.152-162, 1997-06-30
参考文献数
14

東南アジアの古大陸スンダランドの周りには, 様々な年代の付加体やゴンドワナ大陸起源の微小大陸片が集まってきて, 中生代・新生代を通じて次第に大陸成長を続けてきた。インドネシアの中部ジャワ, 南スラウェシ及び南カリマンタン地域において付加体の詳細な調査研究の結果, 白亜紀における海洋プレートの沈み込み, 深海堆積物の付加, 微小大陸片の衝突などが次第に明らかになってきた。これらの三池域の地質は, 構成岩相や地質時代などがお互いに良く類似している。しかし, それぞれの地域が受けた構造運動の違いが, 構成岩石の性質に微妙な違いを与えている。中部ジャワのルクロコンプレックスは, 典型的な付加体で, 白亜紀全体を通じて定常的な海洋プレートの沈み込みと海洋堆積物の付加で特徴づけられている。南カリマンタンのメラトスコンプレックスは, その被覆層とともに収束境界に沿った島弧で形成されたと推定される。一方, 南スラウェシのバンティマラコンプレックスは, 海洋プレートの沈み込みに引き続いて起こった微小大陸片の衝突の歴史を記録している。The Sundaland craton in Southeast Asia is surrounded by a number of accretionary complexes of various ages, and accreted microcontinents which were originally rifted from the Gondwanaland. Continental growth along the southern and eastern margins of the Sundaland resulted from accretion of sediments and collision of continental fragments throughout Mesozoic and Cenozoic times. Cretaceous tectonic processes in the Indonesian region such as subduction, accretion and collision have been revealed by detailed geologic investigation of accretionary complexes in Central Java, South Sulawesi and South Kalimantan. The components of these complexes are similar to each other, but the precise nature of the components differs somewhat. Differences of structure and lithology suggest differing tectonic histories. The Luk-Ulo Complex of Central Java is a typical subduction complex generated by continuous subduction of oceanic plate through out Cretaceous time. The Meratus Complex and its overlying formations in South Kalimantan are also products of oceanic plate subduction in an island arc setting. On the other hand, the Bantimala Complex of South Sulawesi records the effects of oceanic plate subduction followed by collision of a continental fragment.
著者
中西 浩三 野田 祐司 白日 高歩 宮崎 一博 廣田 暢雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.943-949, 1991-10-20

SIADHを合併した肺燕麦小細胞癌の患者で, 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が高値を示した症例を経験した.咳噺, 発熱のため入院.検査所見では血清Na値が114mEq/lと低く, 血漿浸透圧も233mOsm/lに低下していた.同時に測定されたANPは157pg/ml(正常値<10pg/ml)と高値を示した.脱水症状はなくて腎機能も正常であり, 肺小細胞癌によるSIADHと診断した.高張食塩水負荷試験に心臓カテーテルを併用した検査を行った結果, ANPが腫瘍からではなく心筋から放出されている可能性が示唆された.実学的治療が行われ, 腫瘍量の減少にともなって低Na血症は改善した.切除された腫瘍の抽出液からは高濃度のADHと微量のANPが検出された.SIADHにおける低Na血症は, ADH異所性産生, 循環血液量増加, 心房内圧上昇, ANP放出, Na利尿という機序で起こるものと考えられた.