- 著者
-
宮本 雅史
伊藤 博元
- 出版者
- 日本腰痛学会
- 雑誌
- 日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.92-96, 2005 (Released:2007-12-14)
- 参考文献数
- 9
慢性腰痛に対する運動療法は重要な保存的治療法である.しかし現在の医療制度の中では,その治療効果についての科学的根拠が確立されていないという理由から,診療報酬を削減される危機に陥っている.従来のシステマテックレビューには個々の論文の間で慢性腰痛の定義や治療効果を判定するためのアウトカム指標が統一されていないことや,運動療法の種類や対照群の治療法がさまざまであるなどの問題点が指摘されている.近年,Liddle SDらはこれらの点に改善を加えた新しいシステマテックレビューを行い,運動療法は慢性腰痛患者に対し特に腰痛の特異的機能評価の観点から効果的に作用すると報告した.国内でも現在,慢性腰痛に対する運動療法に関する質の高いRCTが進行中であり,運動療法の有効性に対する評価を見直すべき時期にきているといえるであろう.