著者
宮澤 節生
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.7-35, 2013-10-15 (Released:2017-03-31)
被引用文献数
1

本稿の課題は,2003年以後のデータによって,(1)いくつかの外国について犯罪発生率と厳罰化の動向を検討し,(2)外国の研究者が2003年以後の日本の状況をどのように理解しているかを検討し,さらに(3)日本の刑事政策の近年の状況を私なりに検討することにある.(1)については,(1)主要犯罪全体についても,殺人事犯についても,フランス,ドイツ,イギリス,アメリカという主要先進国において発生率が共通に低下していること,(2)犯罪発生率低下の要因はアメリカについて最もよく検討されており,「警察力の増強」と「厳罰化による刑務所人口の増加」が主要原因として指摘されているが,カナダなど犯罪発生率が安定的に低い国々にはそのような要因が存在しないので,明確な結論は得られていないこと,(3)厳罰化政策がとられた国々では政策転換をめざす運動が展開されているが,その影響はまだ見られないことなどを明らかにした.(2)については,2000年以前の日本は犯罪発生率が例外的に低い先進国として関心を集めていたが,その後の発生率の増減に対しては研究関心が見られず,存在するのは,近年の厳罰化をポピュリズム刑事政策として理解する立場に対する批判であることを示し,それに対して反批判を行った.(3)については,新聞論調,犯罪被害者団体の活動,立法・法改正,死刑判決・死刑執行などの状況を検討して,いまなおポピュリズム刑事政策と性格付けうることを主張し,ありうる批判に対して反批判を試みた.
著者
宮澤 節生
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.33, pp.122-136, 2008-10-20

本稿は,5本の報告が行われた部会での討論者の役割を意図したものであり,著者がMiyazawa(2007s)で提示した視点からインプリケーションを検討するものである.著者は,David Johnsonが提起する「前線からのリーダーシップ」という概念に基づいて自己の主張を部分的に修正する.しかし,結論では,日本のポピュリズム刑事政策が近い将来に後退する見込みはないと主張する.
著者
宮川 成雄 須網 隆夫 浦川 道太郎 近江 幸治 高林 龍 高野 隆 椛嶋 裕之 宮下 次廣 宮澤 節生
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

法科大学院の臨床教育科目について全国調査を行い、リーガル・クリニックおよび模擬裁判科目について、その調査結果を公表した。欧米の臨床法学教育に関する研究大会に研究員を派遣し、また、日本に、アメリカ、イギリス、中国、および韓国の研究者を招聘してシンポジウムを開催し、各国の臨床教育の状況を把握するとともに、その概要を公表した。臨床方法論を用いる医学教育との比較研究をするために、医学教育者と法学教育者によるシンポジウムを開催し、医学と法学に共通する教育方法論の課題を検討した。継続的法曹教育への臨床教育の活用のあり方として、司法修習生に対する選択型実務修習プログラムを開発し、その実施の方法を検討した。