著者
田中 宏和 宮脇 陽一
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.104-140, 2007-06-05 (Released:2008-11-21)
参考文献数
57

Autumn School for Computational Neuroscience 2006 (ASCONE 2006) が2006年11月23日 (木) ~2006年11月26日 (日) 伊豆高原ルネッサ赤沢にて開催された. 本稿は, ATR脳情報研究所所長の川人光男先生の招待講演の講義録である.
著者
宮脇 陽一
出版者
電気通信大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本年度は、多様な物体画像が「いつ」脳活動に表現されるのかをスパースモデリングを用いて定量化する手法についての研究をさらに押し進めつつ、画像特徴量と物体カテゴリ表現ダイナミクスの関係性の検証を開始した。この目標達成のため、以下の項目を特に重点的に実施した。1.背景除去済み物体画像を用いたMEG計測実験:MEG信号からの物体カテゴリ予測成績をより高め、結果の信頼性を向上させるため、物体画像刺激に含まれている背景部分を除去した。この背景除去済み物体画像を用いて、新たにMEG信号計測実験を行った。2.MEG信号からの皮質上神経電流分布推定と物体カテゴリ情報の時間分解予測解析:背景除去済み画像に対して得られた新しいMEG信号を用いて皮質上神経電流分布を推定した。推定された皮質上神経電流分布の各時刻の信号をパターン識別アルゴリズムを用いて解析することにより、物体カテゴリの情報がいつ脳内に表現されているのかを同定した。3.皮質上神経電流分布推定の精度評価:皮質上神経電流分布推定結果の精度評価を行うため、人工データを用いた解析を行った。具体的には、本研究で主たる解析対象とする脳部位に人工的な神経電流源をおき、それをもとに頭皮上で計測される脳磁場信号をシミュレートし、シミュレートした信号から逆に皮質上神経電流分布を推定することで、どの程度正確に原信号を復元出来たかを厳密評価した。4.物体カテゴリ画像特徴量の定量化:コンピュータビジョンの分野で物体カテゴリの認識に大きな成果を挙げているDeep convolutional neural network(DCNN)を用いて、MEG信号計測実験で用いた物体画像刺激に対応する高次画像特徴量を抽出した。
著者
内田 肇 宮脇 陽一 山下 宙人 佐藤 雅昭 田邊 宏樹 定藤 規弘 神谷 之康
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.588, pp.79-84, 2007-03-07
参考文献数
13

近年,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)と機械学習アルゴリズムを用いることで,視覚刺激の傾きや動き方向などヒト視知覚の一部を復号化できることが示されている.本研究では,ヒト視知覚の復号化を目的とし,被験者に提示した任意の画像をfMRI信号から再構成する.まず,fMRI信号から提示画像の局所平均コントラストを推定する局所画像復号器を解像度ごとに学習させた.次にそれら局所画像復号器の統合を,1)ピクセル基底表現,2)多重解像度基底表現, 3)fMRI信号の生成モデルに基づいたベイズ推定,の3種類で行った.その結果,任意の画像を高い精度で再構成できることがわかった.本手法を用いることで視覚野の詳細な情報表現・情報処理過程の解明が期待される.
著者
宮脇 陽一
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.44-57, 2007-03-05 (Released:2008-11-21)
参考文献数
45

経頭蓋磁気刺激 (Transcranial Magnetic Stimulation, TMS) は, ヒト脳内の神経活動を非侵襲的に「操作」できるユニークなツールであり, 神経活動と知覚との因果関係を問うための重要な実験手段を提供してくれる. しかしながら, その神経活動への作用メカニズムにはいまだ不明な点が多く, 得られた実験結果の解釈に困難を伴う場合が依然少なくない. 本稿では, TMSがいかにして神経活動に干渉効果を与えるのかを理論的に検証すると同時に, 初期視覚野へのTMS印加実験を例に取り上げ, 視知覚に重要な初期視覚野の神経活動の可能性について議論する.