著者
小保方 晴子
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

再生医療研究において、作製された医療材料の生態親和性を評価することは極めて重要な実験項目である。ヒト細胞を用いた研究においては免疫拒絶反応を回避するため、ヌードマウスを用いた移植実験が多く行われてきた。ヌードマウスにヒト細胞で作成された組織を移植すると、組織再生が促され、比較的長期に生体内で維持されることが多く報告されている。ヒト細胞のヌードマウスへの移植系はヒトへの自家移植系の模擬実験系と認識されている。そのため、ヒト細胞のヌードマウスへの移植結果は、ヒト臨床研究に移行する前の重要な参考データとなっている。本研究課題はこのような組織工学・再生医療研究の歴史を踏まえ、皮下移植後のヒト組織再生を促進させる因子の探索と、ヒト臨床研究に向けて、ヒトへの移植後どのような反応が起こるのかを正確に予測できるような動物実験モデルを構築することを目的として研究を進めている。特別研究員採用期間に行った研究から、再現性の高い皮下移植法を開発し、野生型マウスとヌードマウスの皮下移植後の免疫応答の違いや、汚職組織の組織再生能の違いについての形態学的・遺伝子学的に解析を行い新たな知見を多く見出してきた。また免疫応答をコントロールするため免疫抑制剤で免疫応答を抑制した野生型マウスとヌードマウスの皮下移植後の組織と免疫応答の比較研究も行ってきた。本年度はこれまでの研究成果を論文にまとめ、研究成果から見出された新規の体性幹細胞の研究にも取り組んでいる。
著者
若山 照彦 幸田 尚 小保方 晴子 野老 美紀子 リ チョン 寺下 愉加里 水谷 英二 グェン ヴァン トン 岸上 哲士 若山 清香 石野 史敏
出版者
日本繁殖生物学会
巻号頁・発行日
pp.P-102-P-102, 2013 (Released:2013-09-10)

【目的】哺乳動物のクローン作出は,優良家畜の大規模な生産や絶滅危惧種の保全を可能にする新しい技術として期待されてる。しかし現在の成功率では一度に大量のクローン動物を作ることは出来ないため,クローン動物の体細胞から再びクローン動物を作り出す連続核移植(再クローニング)技術が必要だと考えられていた。ところがこれまでの報告では,再クローニングを繰り返すごとに出産率は低下し,マウスで6世代,ウシやネコで2世代までが限界だった。この原因は,クローン技術特有の「初期化異常」が,核移植を行うたびに蓄積するためと考えられていたが,成功率が低すぎるため検証できていなかった。そこで今回我々は,最新の技術を用いて再クローニングに限界があるのか確かめてみた。 【方法】我々は2005年にトリコスタチン A(TSA)が初期化を促進し,クローンマウスの出産率を大きく改善できることを発見した。そこでTSAを用いて1匹のドナーマウス(BD129F1)からクローンマウスを作り(G1と呼ぶ),このクローンマウスが3カ月齢になった段階で再びクローンマウスを作製した(これをG2と呼ぶ)。以降これを繰り返した。生まれた再クローンマウスについて,テロメアや妊性,網羅的遺伝子発現などを調べ,自然マウスおよびG1クローンマウスと比較し,エピジェネティック異常が蓄積されるか調べた。 【結果】現時点で27世代,合計645匹のクローンを作ることに成功している。核移植の出産率は1世代目の7%から上昇傾向を示し,最高で15%を記録している。G20クローンの繁殖能力,寿命,テロメアの長さなどに異常は見られなかった。また網羅的遺伝子発現解析により核移植を繰り返しても初期化異常は蓄積しないことが明らかとなった。これらの結果は,再クローニングはほぼ無限に繰り返せることを示している。Wakayama et al., Cell Stem Cell 2013.

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著者
小保方晴子著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2016