著者
小倉 幸雄 井上 芳光 近藤 徳彦
出版者
大阪国際大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高温下運動時における摂取水分の温度と量が体温・循環調節反応に及ぼす影響を,(1)摂取水温の相違,(2)夏季スポーツ活動時の飲水量と飲みやすさ,(3)摂取水温の相違と飲水量,から検討した.その結果,摂取水温の相違は,飲水量が等しい場合には低水温ほど運動の早期から物理的な冷却効果により直腸温を抑制し,自由飲水の場合には低水温の冷却効果と飲水量の調節による影響が推察された。さらに,実際のフィールド運動時においても 5℃水温では物理的冷却効果による体温上昇の抑制,発汗量の抑制,脱水率の軽減を導くことが窺え,5℃程度の水分補給が生体負担度を軽減し,ひいては熱中症予防に有効であることが示唆された.
著者
小倉 幸雄 三苫 至 半田 賢司
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、まず一次元拡散過程について強マルコフ性の条件は満たさないが、マルコフ性を満たす多くの新しい確率過程を解明し、それらのクラスを決定した。つぎにファジィ集合値確率変数について大数の法則の拡張を行い、大偏差原理を導出した。さらに、ファジィ集合や集合を係数にもつ確率微分方程式の確率1でファジィ集合や集合の値をとる解の一意的な存在を証明した。Chern-Simons解析における指数3次の項を被積分関数とする漸近剰余の評価を行った。2パラメータPoisson-Dirichlet分布について新たな特徴づけを与えた。
著者
小倉 幸雄 井上 芳光 内之宮 愛子 北村 優佳 大森 隆裕 大上 安奈 Jason Kai Wei Lee 近藤 徳彦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.607-619, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
41

We examined the effects of different fluid temperatures of 5, 15, 25, and 35℃ on thermoregulatory responses during prolonged exercise in the heat because it is speculated that fluid at temperatures of between 5 and 15℃, as recommended by the Japan Sports Association, would have different effects on thermoregulatory parameters. Six men from an university track and field team performed 4 sets of cycling exercise (one set=15-min exercise with a 5-min rest period) at 50%VO2max under conditions of 32℃ and 60% relative humidity. The volume of water provided was 80% of the total sweat rate in the non-drinking (control) trial divided by 4 equal aliquots. The increase in rectal temperature, mean skin temperature and mean body temperature during exercise showed no significant differences across all the fluid temperatures. Similarly, local sweat rate, skin blood flow and cutaneous vascular conductance were similar among the conditions. These results suggest that iso-volumetric fluids with varying temperatures (5-35℃) have no effect on rectal temperature and heat loss responses during prolonged exercise in a hot environment.
著者
井上 芳光 米浪 直子 小倉 幸雄 久保田 豊司 芳田 哲也 中井 誠一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.235-243, 2002-04-16

本研究では, 夏季スポーツ活動時における子ども (少年野球・ミニバスケットボール) , 若年成人 (女子ソフトボール・男子野球) , 高齢者 (ゲートボール) の発汗率 (TSR: g/m2/h) ・体重あたりの発汗量 (%TSL) ・水分補給率 (総発汗量あたりの水分補給量: %FIV) を調査し, それらの年齢差, 子どもにおける性差および種目間差 (屋内種目VS.屋外種目) , 飲料差 (スポーツ飲料VS.お茶) をそれぞれ検討した.なお, いずれの場合も水分補給は自由摂取とした.子どものバスケットボールにおいて, TSR, %TSL, %FIVには有意な性差はみられなかった.少年野球時のTSRおよび%TSLは, 高いWBGTに起因してバスケットボール時より有意に高かったが, %FIVには有意な種目間差は認められなかった.なお, 少年野球時のTSRはほぼ400g/m2/hに達し, 先行研究で報告されているその最大値に相当した.スポーツ飲料を補給した場合, 子どもの%FIVは両種目ともほぼ100%であり, %TSLが同等であった若年成人より有意に高かった.子どもの%FIVはスポーツ飲料摂取時がお茶摂取時より有意に高かったが, 若年成人の%FIVには飲水物の影響はみられなかった.高齢者のTSR, %TSL, %FIVは, 若年成人や子どもより有意に低かった.これらの結果は, 夏季スポーツ活動時において, 子どもにスポーツ飲料を自由摂取させれば, 性・環境温度に関わらず, 自発的脱水を予防できることが示唆された.しかし, 子どもの炎天下スポーツ活動時の発汗率が先行研究で報告されている最大発汗率に相当したことから, 深部体温がかなり上昇していることが推測され, 夏季スポーツ活動時には熱中症予防に向けた積極的休息, 練習時間の短縮, 運動強度の軽減の必要性がうかがえた.高齢者はスポーツ活動時の水分補給率が低いことから, 積極的な水分補給を奨励することが熱中症予防に重要であることが示唆された.
著者
小倉 幸雄 松本 裕行 塩谷 隆 富崎 松代 三苫 至 半田 賢司
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

確率変数の取る値の空間を一般化する研究は,理論の上からも,応用数学の立場からも重要なテーマであろう.それをファジィ集合の空間に取り,極限定理を調べるのが本研究の目的である.この空間では,位相の入れ方によって可分性が壊れることがあるので注意を要する.本研究の一つの成果は,大数の法則,中心極限定理それにマルチンゲール収束定理は,可分性が壊れる一様位相を入れた空間でも成り立つことを突きとめたことである.方法としては,単調性を用いる方法と,分割を細かくするときのパラメータに関するエントロピーの可積分性を出して,経験分布の理論に持ち込む手法を取った.大偏差原理については,可分性がより大きな影響を与えるが,Levyの距離による位相についてまでは,自然な条件の下でCramer型の大偏差原理が成り立つことを得た.Skorohod位相と一様位相の場合は,やゝ強い条件の下で成り立つことを得た.また,この条件をみたす具体例を求めたが,これはM.Arcones : Large deviations of empirical processesの一つの定理の反例になっている.また自然な条件の下で,Sanov型の大偏差原理が成り立つことも得た.速度関数を具体的に求める問題は,簡単な場合しか出来ていないが,一つの例では,2つの測度の相対エントロピーになることが分かった.次に,研究分担者の松本裕行とともに,一次元ブラウン運動B(t)とその時刻tまでの最大値M(t)について,cM-Xがマルコフ過程になるのは,c=0,1,2の場合のみであることを得た.これは,15年度からの継続の研究であるが,Levyの定理(c=1の場合)とPittmanの定理(c=2の場合)を補完するものである.