著者
佐竹 將宏 塩谷 隆信 高橋 仁美 菅原 慶勇
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.286-290, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
23

6分間歩行試験(6MWT)は,運動耐容能を評価するフィールド歩行テストのひとつであり,呼吸運動療法には必須の評価項目である.6MWTは2002年ATSからガイドラインが発表され方法の統一が提案された.2014年にはERS/ATSからシステマティック・レビューとテクニカル・スタンダードが発表された.6MWTの一次評価項目は6分間歩行距離(6MWD)である.6MWDの予測式はEnrightらによって報告されている.日本人の予測式は間もなく本学会から報告される予定である.6MWTは,「6分間にできるだけ長い距離を歩くこと」と定義されている.我々は6MWTの運動負荷は定常負荷であること,また携帯型呼気ガス分析装置等を用いて,6MWTの負荷強度は嫌気性代謝閾値以上であることを示唆した.近年,6MWTは多くの呼吸器および循環器疾患の運動耐容能の評価に必要な検査となってきている.6MWTについて,その生理学意義や特性を理解し,さらにどの施設においても標準的な方法で実施できることが大切である.
著者
塩谷 隆信 佐藤 一洋 佐野 正明 渡邊 博之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.417-422, 2008 (Released:2008-06-13)
参考文献数
34
被引用文献数
2

●カプサイシン受容体はTRPV1と呼ばれる陽イオンチャネルから構成されている.●TRPV1はカプサイシンのほか,酸,熱刺激,アナンダマイド,ブラジキニンやlipoxygenase (LOX) productsなどの炎症性物質でも活性化される.●TRPV1は気道C線維末端に多く発現し,神経原性炎症により活性化され咳嗽反射を亢進させる.●TRPV4も神経原性炎症の病態生理に重要な役割を演じている.●TRPV1拮抗薬は将来的に咳嗽治療薬として大いに期待される.
著者
加賀屋 勇気 大倉 和貴 皆方 伸 土田 泰大 阿部 芳久 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.55-61, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
23

心不全患者では,労作時の呼吸困難・倦怠感による運動耐容能低下が問題点となることがある.こうした労作に伴う症状は心機能が低下した結果と捉えられがちだが,吸気筋の筋力低下が影響している可能性がある.実際に,心不全患者の吸気筋力は同世代の健常者と比較して低値を示し,吸気筋力は心不全患者の予後規定因子でもある.さらに吸気筋力が低下した患者に対する吸気筋トレーニング(IMT)では運動耐容能,呼吸困難感,QOLの改善が期待できる.一方で,心不全は,他の疾患よりもトレーニングによる心負荷に考慮が必要である.30-40%PImaxの強度ではバイタルに大きな変動はないが,期外収縮の頻度が若干増加する場合もあるため,症例によってはモニタリング下での実施が望ましい.心不全患者に対するIMT研究が進むとともに,IMTが心不全治療の一選択肢として認識されていくことが期待される.
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 上村 佐知子 岩倉 正浩 大倉 和貴 川越 厚良 菅原 慶勇 高橋 仁美
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.26-32, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
32

呼吸筋トレーニング(IMT)は,呼吸リハビリテーションの運動療法において,基盤的な種目の一つである.従来,運動療法に関するIMTのメタアナリシスでは,IMTの併用効果についてある程度評価しているものの,運動耐容能の改善についてはポジティブな評価ではなかった.2011年,Gosselinkらは,2000-2009年に発表された32論文を解析した結果から,COPDにおけるIMTに関する新しいエビデンスを発表した.この報告によれば,IMTにより,最大吸気圧,呼吸筋耐久力,漸増負荷圧,運動耐容能,ボルグスケール,呼吸困難(TDI),健康関連QOL(CRQ)の全ての項目で有意な改善が得られている.従来のIMT機器は,内部のスプリングの長さを変えることにより抵抗を調節するthreshold型であった.最近,バルブ弁口面積をテーパリング方式により変化させるtapered型が開発され,臨床応用が始まっている.近年,IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,1回の実施を30回とする方式で最大吸気圧の増加が報告されている.今後,IMTに関しては,COPD以外の呼吸器疾患における有用性に関して,多施設多数例における臨床研究が待たれる.
著者
高橋 仁美 本間 光信 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 栃木県理学療法士会
雑誌
理学療法とちぎ (ISSN:21864861)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-19, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
26

慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)では,フレイルおよびサルコペニアの有病率が高く,これらはCOPD 患者の予後を規定する重要な因子となる.COPDにおけるサルコペニア対策としては,従来,栄養療法が推奨されている.しかし,近年では,栄養療法のみでは限界があるとし,運動療法を併用した呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の有効性が報告されてきている.フレイルは身体的(physical),認知的(cognitive),社会的(social) の3 つの側面を持っている.このなかで,身体的フレイルに関しては,基本的な概念が国際的にほぼ共通しており,加齢による骨格筋量の減少や食欲不振による慢性的な低栄養などが相互に影響し合っているとされる.骨格筋量の減少,慢性的な低栄養などは,心身機能の低下を大きく加速させ,フレイル・サイクルと呼ばれる悪循環を形成する.このフレイル・サイクルの中心となるのが加齢性筋肉減弱現象であるサルコペニアである.フレイルは高齢者で多くみられるが,その特徴として身体予備能力の低下とストレスに対する脆弱性の増加がある.フレイルは,慢性疾患であるCOPD にも大きく影響を及ぼしており,近年のシステマテックレビューでは,COPD 患者とプレフレイルの合併は56%,フレイルの合併は20%と報告されている.また,3 つの縦断的研究では,COPD とフレイルには双方向性の関係にあり,COPD患者ではプレフレイル,フレイルの合併が多く,高齢COPD における合併頻度は2 倍となっている.このようなことから,臨床的はCOPD 患者に対してはフレイルやサルコペニアの評価と対策が重要となっている.サルコペニアは,その原因には多くの因子が関連しているが,加齢に伴った筋肉喪失の状態にある臨床症候群といえる.EWGSOP の診断基準では,筋肉量の減少と筋力低下が必須となっている.COPD 患者におけるサルコペニアの有病率は14.5%であり,年齢およびGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)分類とともに増加する.一般にCOPD 患者では,筋肉量の減少と筋力の低下が存在する.筋量や筋力に関するこれまでの研究では下肢における報告が多いが,大腿四頭筋の脆弱性や性別との関連は認められていない.COPD 患者でサルコペニアを合併する患者は,合併しない患者に比べると運動耐容能,身体活動性,健康関連QOL は低下するが,呼吸リハに対しての反応は良好で,43 人中12 人は,呼吸リハ後にサルコペニアが消失したという報告もある.また,安定期COPD 患者においては,15%がサルコペニアに罹患しているとされるが,COPD 患者の様々な症状を改善する呼吸リハは,サルコペニアの合併そのものはその効果に影響しないと考える.COPD における呼吸リハは,身体活動性を向上させる効果的な治療法として確立されてきている.呼吸リハの長期的な目標は,より活動的なライフスタイルを通じて,体力などを維持させることである.包括的な呼吸リハにおいて最も重要な種目は運動療法と栄養療法であり,自己効力の向上を通して行動変容を起こすことが課題となる.栄養療法と低強度運動療法のコンビネーションセラピーは,COPD 患者の運動耐容能と健康関連QOL の改善効果があり,フレイルとサルコペニアを合併する症例に対しての新しい治療手段となると期待される.
著者
秋吉 史博 高橋 仁美 菅原 慶勇 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.47-52, 2001-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
19
被引用文献数
16

呼気筋強化に関する臨床研究は非常に少ない。本研究の目的は呼気筋強化の呼吸筋力に及ぼす影響を健常人において検討することである。健康な短大生36名(男性11名,女性25名 ; 平均年齢 ± SD ; 21.3 ± 2.8)を対象にした。11名はSouffleTMを用い,最大呼気口腔内圧が60cmH2O以下の4名は呼気筋強化用Threshold-EMTTMを用い1日15分間2回で2週間呼気筋強化を行った。11名は吸気筋強化用Threshold-IMTTMを用い1日15分間2回で2週間吸気筋強化を行った。10名は呼吸筋強化を行わないコントロール群とした。呼気筋強化群および吸気筋強化群では最大圧の30%をそれぞれ負荷圧とした。結果は,(1)Souffleを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は33%,吸気最大口腔内圧は32%それぞれ有意に増加した。Thresholdを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は44%,吸気最大口腔内圧は35%それぞれ有意に増加した。(2)Thresholdを用いた吸気筋強化群では吸気最大口腔内圧は46%有意に増加したが呼気最大口腔内圧には有意な変化はみられなかった。(3)コントロール群では呼気・吸気最大口腔内圧のいずれにも有意な変化はみられなかった。以上の結果は,呼気筋強化が呼気筋力のみならず吸気筋力を増加させ,呼気筋強化が呼吸リハビリテーションにおいて呼吸筋強化の種目として有用である可能性を示唆している。
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 川越 厚良 菅原 慶勇 高橋 仁美 本間 光信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.323-329, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
31

呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の日常生活活動を全人間的に支援する医療システムである.呼吸リハビリは,薬物療法により症状が軽快している患者においても,さらに相加的な上乗せの改善効果を得ることができる.運動療法は呼吸リハビリの中心となる構成要素である.運動療法施行時には体重減少を抑制し,運動療法の効果を高めるために栄養補給療法を併用することが望ましい.近年,低強度運動療法の有用性が報告され,その普及が期待される.運動療法は,継続して定期的に行われる必要がある.維持プログラムとしては,持久力トレーニングと筋力トレーニングが主体となり,運動習慣がライフスタイルに組み込まれていることが望ましい.運動療法のなかで,歩行は性別,年齢を問わず最も親しみやすい運動様式である.
著者
佐藤 麻知子 佐竹 將宏 塩谷 隆信 菅原 慶勇 高橋 仁美 佐藤 一洋 河谷 正仁
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.37-42, 2002-04-20
被引用文献数
1

呼吸筋トレーニングの効果的な負荷圧に関する臨床研究は非常に少ない。本研究の目的は,呼気筋および吸気筋トレーニングの効果的な負荷圧を検討することである。健康な短大生36名(男性15名,女性21名;平均年齢±SD:21.4±2.7歳)を対象にした。呼吸筋力測定のみを行う対照群と最大呼気口腔内圧の20%および40%で呼気筋トレーニングを行う群(20%呼気筋トレーニング群,40%呼気筋トレーニング群),最大吸気口腔内圧の20%および40%で吸気筋トレーニングを行う群(20%吸気筋トレーニング群,40%吸気筋トレーニング群)の5群で検討を行った。各トレーニング群ではそれぞれの負荷圧でThreshold^<TM>を用い,1日2回15分ずつトレーニングを4週間継続させ,トレーニング前,1,2,3,4週後に呼吸機能,呼吸筋力を測定した。その結果,呼気筋トレーニングでは,20%呼気筋トレーニング群および40%呼気筋トレーニング群において2週間後から有意に呼気筋力が増加した。吸気筋トレーニングでは,20%吸気筋トレーニング群および40%吸気筋トレーニング群ともに3週間後から有意に吸気筋力が増加した。以上の結果は,呼気筋,吸気筋トレーニングともに,それぞれの20%最大口腔内圧が,健常若年者に対する呼吸筋トレーニングの効果的な負荷圧として十分であることを示唆している。
著者
北村 菜月 佐藤 拓 川越 厚良 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.767-771, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
13
被引用文献数
7 7

〔目的〕身体活動量の評価票であるIPAQ日本語版の信頼性・妥当性について,最近開発された生活活動量計(A-MES;3軸加速度計)を用いて検討することを目的とした。〔対象および方法〕信頼性の検討では健常学生56名を対象とした。IPAQ日本語版に1週間の期間を空けて2回回答し,各質問項目において級内相関係数を算出した。妥当性の検討では健常学生16名を対象とし,A-MESにより身体活動量を1週間測定し,最終日にIPAQ日本語版に回答した。A-MESの評価結果とIPAQ日本語版の質問項目とに共通する項目に関して,Pearsonの積率相関係数を算出した。〔結果〕信頼性について,IPAQ日本語版の全ての質問項目で級内相関係数は0.75を上回った。妥当性について,「休日における総坐位・臥位時間」において有意な相関係数が得られた。〔結語〕IPAQ日本語版は信頼性の高い質問票であること,休日の坐位,臥位といった身体活動の評価においてIPAQ日本語版は妥当性が認められることが示された。しかし,対象によっては記憶の影響を受けやすく,IPAQ日本語版の正確な身体活動量の評価に対する限界が示唆された。
著者
小野崎 彩可 小川 美也子 新田 潮人 佐藤 瑞騎 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.903-907, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

〔目的〕本研究は,歩行時に3軸加速度計から得られるX軸(左右)・Y軸(上下)・Z軸(前後)の加速度と,床反力計により得られる荷重値との関連を明らかにすることを目的とした.〔対象〕健常大学生17名とした.〔方法〕3軸加速度計と足圧分布計を装着し,10 m歩行試験を実施した.次いで,各対象者の両脚における加速度と荷重値の相関関係を検討した.X・Y・Z軸それぞれの加速度は荷重値が最大の時の歩数から算出した.〔結果〕両脚でY・Z軸加速度と荷重値に有意な相関が認められた.一方,X軸加速度と荷重値に相関は認められなかった.〔結語〕本研究では垂直・前後加速度と荷重値には有意な相関関係が示された.本研究の結果を臨床で役立てるためには,今後加速度から荷重値を換算する方法を検討する必要があると考える.
著者
照井 佳乃 岩倉 正浩 須藤 恵理子 川越 厚良 大倉 和貴 菅原 慶勇 高橋 仁美 長谷川 弘一 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.335-341, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
29

【目的】歩行時におけるCOPD患者の加速度データから算出した重心変位の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】対象はCOPD患者16名,健常高年者21名とし,3軸加速度計を腰部に装着して 10 mを歩行させた.加速度から重心変位を算出し,左右と上下重心変位をプロットした運動軌道図から左右対称性の指標であるLissajous Index(以下,運動軌道LI)を算出した.重心変位や運動軌道LIと身体機能諸指標との関連を検討した.【結果】COPD患者の左右重心変位は健常高年者よりも有意に拡大し,片脚立位保持時間,大腿四頭筋筋力,呼吸困難感との間に有意な相関関係がみられた.運動軌道LIは両群間に有意差がみられず,身体機能との相関関係もみられなかった.【結論】左右重心変位は立位バランス能力や下肢筋力を反映した評価指標である可能性が示唆された.COPD患者の歩行時重心変位左右非対称性を運動軌道LIにて評価することは困難であると考えられた.
著者
佐藤 一洋 本間 光信 伊藤 伸朗 高橋 仁美 菅原 慶勇 笠井 千景 土橋 真由美 清川 憲孝 敷中 葉月 澤田石 智子 加賀谷 斉 鹿島 正行 佐野 正明 伊藤 武史 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.242-248, 2000-12-31 (Released:2018-08-07)
参考文献数
31

COPD患者に外来呼吸リハビリテーションを施行しその長期効果を検討した.呼吸筋ストレッチ,呼吸筋訓練,上下肢の筋力訓練などを外来で指導し自宅で継続させ,2週間ごとに外来で経過観察と指導を行い,12ヵ月後まで経時的に呼吸機能,運動耐容能,健康関連QOLの評価を行った.その結果,COPD患者ではVC, RV, PImax, PEmax, 6MD, CRQが12ヵ月後までに有意に改善した.以上の成績からCOPDにおける外来呼吸リハビリテーションは呼吸機能,運動耐容能および健康関連QOLを長期に改善させる可能性が示唆された.
著者
塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-10, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
48
被引用文献数
1

呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性呼吸器疾患患者の機能を回復,維持させ,患者の日常生活を継続的に支援していく医療介入システムである.COPDを始めとした慢性呼吸器疾患患者においては,身体活動性の低下により生じたフレイルその予後を大きく規定している.このことから,慢性呼吸器疾患患者の身体活動性の正確な評価とその向上は非常に重要な課題である.COPD,間質性肺炎,肺結核後遺症,肺がん,肺高血圧症など呼吸不全を惹起する慢性呼吸器疾患がすべて呼吸リハビリの対象となる.呼吸リハビリにおいては,多専門職の学際的医療チームにより多次元的医療サービスが提供され,呼吸理学療法,運動療法,呼吸筋トレーニング(IMT),栄養療法,患者教育などの種目を中心にして展開される.栄養療法では抗炎症効果を有する栄養補助食品が臨床で用いられており,低強度運動療法と併用することでその効果が増加する.IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,新しい呼吸筋トレーニング機器が普及してきている.教育では,アクションプランの実施,セルフマネージメント,患者自身の行動変容が重要な課題である.呼吸リハビリの実施により,COPDにおいては呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,身体活動性の向上,健康関連QOL・ADLの改善が得られることから,その実践と普及が大いに期待される.
著者
菅原 慶勇 高橋 仁美 清川 憲孝 笠井 千景 渡邊 暢 藤井 清佳 柏倉 剛 本間 光信 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.177-181, 2008-10-29 (Released:2016-12-28)
参考文献数
11

当院において呼吸リハを行っている安定期COPD患者を対象に栄養状態を調査し,身体組成,筋力,運動耐容能,炎症性サイトカインとの関連を検討した.呼吸リハを行っている半数以上が%IBW<90%で,REE/REE predictは1.37倍,エネルギー充足率は83%であった.%IBW分類では,低体重群が他2群と比較し,FMI,FFMI,REE,Leptin,FVC,PImaxが有意に低値で,Ghrelin,TNF-aは有意に高値であった.%IBWとTNF-aおよびIL-6において,弱い逆相関が認められた.COPDの体重減少には,REE/REE predict亢進,エネルギー充足率低下および炎症性サイトカインの上昇がかかわっているであろうと推察された.
著者
塩谷 隆信 照井 佳乃 佐竹 將宏 川越 厚良 菅原 慶勇 高橋 仁美
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.62-68, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
21

COPDの終末期には,呼吸困難,疲労感,咳嗽,身体疼痛など様々な症状をきたし,この終末期の症状の中では,呼吸困難が最もその頻度が高く辛い症状である.COPDの終末期の呼吸困難の対策として,Rockerらの三段階の対処法がある.第一段階の呼吸困難に対しては,COPDガイドラインに基づいた最適な気管支拡張薬に運動療法,酸素療法の増加を図る.続いて,第二段階の呼吸困難に対しては,活動ペースに合わせた呼吸リハビリ,口すぼめ呼吸などを行う.第三段階の呼吸困難に対しては,緩和薬物療法として,モルヒネの容量調整と抗不安薬の併用を行うというものである.呼吸リハビリは,多次元的医療サービスを多くの職域にわたる専門家チームの協力によって提供する医療介入システムであり,プログラムとしては,運動療法,呼吸筋トレーニング,栄養療法などを提供する.現在のところ,COPDの終末期の呼吸困難の対策としての確立した包括呼吸リハビリ・プログラムはないが,最近,我々が経験した重度COPD事例を対策の一助として紹介する.終末期COPDにおける呼吸困難の対策として呼吸筋トレーニングを含んだ包括的呼吸リハビリが有用であると考えられるが,今後,多施設多数例における臨床研究によるエビデンスの構築が必要と考えられる.
著者
石橋 靖子 佐竹 將宏 塩谷 隆信 佐々木 誠 高橋 仁美 菅原 慶勇 笠井 千景 清川 憲孝 渡邊 暢 藤井 清佳 河谷 正仁
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.469-473, 2005-05-31 (Released:2017-11-10)
参考文献数
17

吸気筋トレーニングによる吸気筋力の増強が期待される低負荷量を調べるために,健常成人を対象に,最大吸気口腔内圧の20%,15%,10%負荷にて1回15分間,1日2回,4週間にわたって吸気筋トレーニングを行った.結果,いずれのトレーニングでも,呼吸筋力は有意な増強を示したが,肺機能検査値には変化がみられなかった.本研究では,健常成人による低負荷量吸気筋トレーニングの効果がみられたことから,今後,臨床的な応用が示唆された.
著者
高橋 仁美 菅原 慶勇 清川 憲孝 笠井 千景 土橋 真由美 敷中 葉月 澤田石 智子 加賀谷 斉 佐藤 一洋 伊藤 伸朗 本間 光信 佐竹 将宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.420-423, 2002-03-31 (Released:2018-08-07)
参考文献数
8

呼吸リハビリテーションを施行して2ヵ月以上経過したCOPD患者に対して,運動耐容能に大きく影響を及ぼす因子について検討するため,一般生体特性(体重,身長など),スパイロメトリー,肺拡散能力,呼吸筋力,大腿四頭筋筋力などを横断的に測定し検討した.測定したデータを正規変換したうえで相関行列を分析し,6分間歩行距離と関連する変数を定量的に探し出して重回帰分析を行った結果,6分間歩行距離には大腿四頭筋の最大筋力を体重で除した体重支持力指数と肺拡散能力が大きく影響を与えることが明らかにされた.
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 玉木 彰 菅原 慶勇 高橋 仁美 本間 光信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.8-17, 2012-06-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
30

呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,COPD患者の日常生活を全人間的に支援する医療システムである.呼吸リハビリは,薬物療法により症状が安定している患者においても,さらに相加的な上乗せの改善効果を得ることができる.運動療法は呼吸リハビリの中心となる構成要素である.運動療法施行時には体重減少を抑制し,運動療法の効果を高めるために栄養補給療法を併用することが望ましい.近年,低強度運動療法の有用性が報告され,その普及が期待される.運動療法は,継続して定期的に行われる必要がある.維持プログラムとしては,持久力トレーニングと筋力トレーニングが主体となり,運動習慣がライフスタイルに組み込まれていることが望ましい.運動療法のなかで,歩行は性別,年齢を問わず最も親しみやすい運動様式である.
著者
川越 厚良 高田 靖夫 菅原 慶勇 高橋 仁美 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.57-63, 2010-06-30 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

呼吸回数30回に指定した高負荷圧条件による吸気筋トレーニング(IMT)の効果を検証するために,対象者を,高負荷回数群(HF群),中負荷一般群(MC群),低負荷対照群(LC群)の3群に分け,IMTを4週間行い,呼吸機能・筋力・耐久力,運動耐容能の測定を行った.結果,HF群,MC群ともに吸気筋力・耐久力,運動耐容能は有意に増加し,HF群とMC群間に有意差はみられなかった.以上からHF群はMC群と同等の効果を得られ,新しい負荷条件でのIMTの有用性が示唆された.