著者
小口 理恵 牧迫 飛雄馬 加藤 仁志 石井 芽久美 古名 丈人 島田 裕之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.705-710, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
19
被引用文献数
8 3

[目的]本研究では,地域在住高齢者において定期的に実施している運動の種目により,身体組成,運動機能に違いがあるかを検討した。[対象]70歳以上の地域在住高齢者83名(平均年齢75.9±4.3歳)を対象にした。[方法]身体組成,運動機能,実施している運動種目,実施頻度,実施時間および過去半年間での転倒の有無を調査した。運動種目により,対象をスポーツ群と軽運動群とに分類し,調査項目の比較検討を行った。[結果]スポーツ群では,軽運動群よりもTimed Up & Go Testが有意に速い値を示し,過去半年間の転倒経験が少なかった。さらに,スポーツ群では運動実施頻度と骨格筋量(r=0.41),膝伸展筋力(r=0.42)に有意な相関関係が認められた。[結語]定期的にスポーツを実施している高齢者は,歩行機能が良好であり転倒経験も少なく,運動の実施頻度は下肢筋力や骨格筋量と関連があることが示された。
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 島田 裕之 阿部 恵一郎 小林 聖美 小口 理恵 大沼 剛 木村 英生 中村 好男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.81-88, 2008-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究では,重度要介護者を対象としたベッド上,ベッド周囲,居室内での動作および移動能力を定量的に評価する指標を開発し,その信頼性と妥当性を検証した。内容妥当性を満たした10項目からなるBedside Mobility Scale(BMS)を作成し,在宅にて理学療法士または作業療法士の訪問によるリハビリテーションを実施している163名(男性83名,女性80名,平均年齢76.4歳)を対象として,BMSによる動作・移動能力評価を行った。分析の結果,BMSには高い検者内および検者間信頼性が得られた。また,BMSは日常生活活動能力や日常生活自立度と有意な関連を持ち,特に重度要介護者および日常生活自立度の重度低下者の動作能力評価に適しており,臨床的意義が高いと考えられた。
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 阿部 恵一郎 小林 聖美 小口 理恵 大沼 剛 島田 裕之 中村 好男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.59-67, 2008 (Released:2008-03-10)
参考文献数
27
被引用文献数
4 7

目的:要介護者の在宅生活継続には,主介護者の身体的および精神的な負担にも配慮が必要である.本研究では,在宅要介護者の主介護者における介護負担感に関与する要因を検証した.方法:在宅で理学療法士または作業療法士の訪問によるリハビリテーションを実施していた要介護者78名(男性40名,女性38名,年齢77.8歳)とその主介護者78名(男性20名,女性58名,年齢66.8歳)の78組156名を分析対象とした.要介護者の基本情報,日常生活動作能力,居室内動作能力を評価した.また,主介護者からは基本情報,介護期間,介護協力者・介護相談者の有無,介護負担感(短縮版Zarit介護負担尺度:J-ZBI_8),視覚的アナログスケールによる日常生活動作における介助負担度,主観的幸福感,簡易体力評価を構造化質問紙で聴取した.J-ZBI_8から介護負担感の低負担群(10点未満:5.0±3.0点)41組と高負担群(10点以上:15.9±5.9点)37組の2群間で比較した.結果:低負担群の要介護者では,高負担群の要介護者に比べ,高い基本動作能力,日常生活動作能力を有していた.また,低負担群の主介護者では,高負担群に比べて,介護を手伝ってくれる人(低負担群65.9%,高負担群40.5%),介護相談ができる人(低負担群95.1%,高負担群75.7%)を有する割合が有意に多く,主観的幸福感(低負担群9.6±3.5,高負担群6.3±3.7)も有意に高かった.また,高負担群では,すべてのADL項目における介助負担も大きかった.結論:要介護者の日常生活動作能力や基本動作能力は介護負担感に影響を与える一因であることが示唆された.また,介護協力者や介護相談者の有無も介護負担感と関係し,介護負担感が高い主介護者では主観的幸福感が低いことが示された.