著者
関澤 偲温 中村 尚 小坂 優
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Variability of convective activity over the Maritime Continent (MC) influences climatic condition over East Asia via atmospheric teleconnections, through which SST variability such as ENSO is considered to provide seasonal predictability. In boreal winter, interannual variability of convection is centered around Indonesia and northern Australia, representing significant variability in the Australian summer monsoon (AUSM). Through an analysis of observational data, we show that interannual variability of austral summertime precipitation over northern Australia is hardly driven by tropical SST variability and is dominated by the internal variability of AUSM. Our analysis suggests that anomalously active AUSM sustains itself by inducing anomalous low-level westerlies over the eastern Indian Ocean and enhancing surface evaporation and moisture inflow into northern Australia. Anomalous AUSM activity is associated with distinct wavetrain pattern from the MC toward the extratropical North Pacific with dipolar pressure anomalies resembling the Western Pacific pattern. This teleconnection modulates the East Asian winter monsoon and exerts a significant impact on wintertime temperature and precipitation especially in Japan and Korea. This study reveals that interannual variability of the AUSM, which is unforced locally or remotely by tropical SST variability, substantially limits seasonal predictability in wintertime East Asia.
著者
小坂 優
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_66-1_69, 2022-01-01 (Released:2022-05-31)
参考文献数
3

IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書の第3章は、大洋・大陸~地球規模の空間スケールについて、気候モデルの再現性能の評価と、観測された変化に対する人類の影響の検出と定量化を行った章である。特に地球温暖化、つまり地球全体で平均した地表気温の上昇について、1850~1900年の平均を基準とした2010~2019年の10年平均に対し、人為起源の影響は1.07ºC(不確実幅0.8~1.3ºC)の地球温暖化をもたらしたと評価した。この推定幅は、観測データに基づく同じ期間の地球温暖化レベル1.06ºC(不確実幅0.88~1.21ºC)を内包する。地表気温以外にも様々な気候指標において人類の影響が検出され、いくつかについては人為起源影響が変化の主要因であると評価されている。これらの根拠により、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない、と結論づけられた。

1 0 0 0 OA はじめに

著者
小坂 優 松本 淳 高橋 洋
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.17-18, 2019 (Released:2019-02-28)
著者
藤野 義之 井上 拓哉 小坂 優太 田中 孝治
出版者
宇宙太陽発電学会
雑誌
宇宙太陽発電 (ISSN:24321060)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-46, 2021 (Released:2021-03-10)
参考文献数
5

現在,宇宙太陽発電(SPS)を実現させるために小型衛星を用いた実証実験が計画されている.実証実験においては,衛星から送信されるビーム形状を正確に評価することが必要となる.これまでは送信アンテナをパラボラアンテナとしてビーム形状を再現,評価してきた.今回,フェーズドアレーアンテナとした場合の基地局配置の指針を示し,二次元最小二乗法によってパターンを再構成し有効性があることを確認した.また,勝浦だけでなく,臼田を通る軌道をについて,その有効性や課題を示した.
著者
久保田 尚之 小坂 優 謝 尚平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<br><br><b>1.&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp; </b><b>はじめに</b><b></b><br><br>夏季西部北太平洋域での代表的な気圧配置パターンとして、フィリピン海と日本付近の気圧偏差が逆相関の関係で年々変動するPJ (Pacific-Japan)パターンが知られている(Nitta 1987, Kosaka and Nakamura 2010)。これは、日本の猛暑・冷夏と関連して、東アジア太平洋域の夏の天候を広く特徴づける気圧配置パターンである。本研究では、PJパターンを地上データから定義することで1897-2013年のPJパターンを再現し、夏期西部北太平洋域のモンスーン活動の数十年変調を調べた。<br><br><b>2</b><b>.</b><b> </b><b> </b><b>データと解析手法</b><b></b><br><br>夏期(6-8月平均)の高度850hPaの渦度(10-55&deg;N、100-160&deg;E)の主成分解析(1979-2009年のJRA55データ)で得られた第1モードと海面気圧との相関を図1に示す。PJパターンに対応したフィリピン海と日本付近の逆相関が顕著な2地点(横浜と恒春)を選び、6-8月平均の気圧差(横浜-恒春)をPJパターンの指標(PJ指標)と定義した。解析期間は1897-2013年。<br><br><b>3.&nbsp; </b><b>結果</b><br><br>PJ指標が正の年は日本、韓国、中国の長江流域で乾燥・猛暑となり、フィリピン海のモンスーン活動が活発で雨量が多く、沖縄や台湾を通過する台風活動も活発になる(図2)。一方で、負の年は逆に北日本の冷夏、日本のコメが不作、長江の洪水と対応する。PJ指標との関係を1897年まで遡ると、PJ指標とENSOとの相関が高いのは1970年代後半以降であることがわかる(図3)。それに対して1940年代から1970年代は不明瞭、さらに1930年代、1910年代より前は再び明瞭になる関係があり、数十年の間隔で明瞭、不明瞭の時期が繰り返されていることがわかる。日本の夏の気温、コメの収穫量、台湾や沖縄を通過する台風数とPJ指標との関係もまた、明瞭、不明瞭の時期を数十年間隔で繰り返しており、変化が一方向でないことから、変調が地球温暖化よりも気候の自然変動に伴うことを示唆している。