著者
小場 弘之 森 雅樹 鳥脇 純一郎 山岸 雅彦 小場 弘之
出版者
札幌医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.肺腫瘤影の良悪性の鑑別に関する研究-X線学的特徴とデジタルパラメータ良性40例,悪性40例,計80例の小型孤立性肺腫瘤影の胸部X線像を対象とし,X線学的特徴とデジタルパラメータによる肺腫瘤影の良悪性鑑別について検討した.良性腫瘤影は悪性に比し,形状は整で,濃度が高く,辺縁が鮮明で,スピキュラや血管収束像が少ない傾向があった.腫瘤影の面積Sをもとに半径を設定した多重円構造のウィンドウを設定し、デジタルパラメータを測定した.腫瘤影中央部のDCF-N出力値,腫瘤影辺縁の濃度勾配値および腫瘤影周辺部の濃度値と濃度差エントロピー値を測定し,腫瘤影の良悪性鑑別に有用な情報を得た.今回採用したデジタルパラメータによる良悪性の判別率は78%で,医師の読影による上記のX線像所見によって良悪性を判別した場合の判別率は74%であった.これらのデジタルパラメータは,腫瘤影の良悪性鑑別に関する診断支援に役立つ可能性があると考えられた.2.胸部X線像を用いた肺気腫の進行度の定量評価計算機によって胸部X線像上の血管影の太さを自動計測し,その結果を正常例と比較することによって肺気腫の病勢進行度を定量評価するための基礎的検討を行った.胸部単純像上で肋間部に複数のPOIを設定し,様々な方向の2階差分フィルタ出力の最大値を出力するMax-DDフィルタを用いて血管影の強調と抽出を行う.その後,孤立点や枝の除去・穴埋めを行い,血管影の太さの推定を行った.正常例および肺気腫例(中等度,重度)の胸部X線像を対象に検討したところ,肺気腫例では正常例よりも血管影の太さの分布が有意に細い方に偏っていた.今後は,各ROIの肺気腫進行度について医師と計算機の評価結果を比較し,本法の臨床的な有用性について検討する必要がある.
著者
小畑 秀文 小場 弘之 西谷 弘 長谷川 純一 山本 眞司 鳥脇 純一郎 松本 徹
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では日本人に多い胃がんと肺がんに焦点をあわせ、既に整備済みのマンモグラムデータベースと併せて、主ながん検診用画像のデータベース化の整備を行うことを目的としている。本研究は2年度にわたるが、この間に整備されたデータベースについて以下にその概要を述べる。胃X線二重造影像:本データベースは診断の難易度や病変の種類などのバランスがとれるように選別されたFCR像76枚から成る。このうち65枚が異常陰影を含む。胸部CT像:本データベースでは、肺がん検診に利用されるスライス厚10mmのものと、精密な検査に用いられるより薄いスライス厚のもの2種類を含む。肺がん検診用は症例数70症例であり、25症例が肺癌症例である。精密検査用については、症例数7症例で、いずれも肺癌症例である。胸部単純X線像:本データベースは間接撮影像50症例、直接撮影像50症例から成る。工学サイドの利用者であっても、一般的には撮影法やその読影法の基礎もわからないのが普通である。そのため、アルゴリズムの組立てに助けとなるように、それらに関する解説を用意したり、専門医のスケッチ画や診断所見を各画像ごとに与えるように努めた。