著者
栗崎 由貴子 能登谷 晶子 小山 善子 鈴木 重忠 藤井 博之
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.308-313, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
10

右被殻出血により,失語症と左片麻痺を呈した生来右利きの一症例を報告した。症例は発症時 49歳,男性。当科初診の発症から 16ヵ月経過時の言語症状は,軽度の言語理解障害および音韻性錯語を中心とした表出面の障害であった。とくに復唱障害が著しかった。発症から 40ヵ月経過時には,表出面で自発語や音読の改善は良好であったが,復唱の際に文レベルで,助詞が他の助詞に置換される障害が認められた。この傾向は発症から 55ヵ月時も同様であった。本例の復唱障害の誤り方は,波多野(1991)の錯文法性錯語を主症状とした伝導失語例に類似していた。
著者
安川 緑 藤原 勝夫 金子 周一 坂本 英之 三谷 徹 伊藤 喜久 小山 善子 染井 正徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度の研究では、06,07年度の研究成果を基にITを活用した園芸療法の効果の詳細を検証した後、総合的見地から、ITの活用による園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルを構築する予定であったが、当初の計画の変更を余儀なくされたため、下記の内容で研究を進めた。1)これまでに得られた園芸療法の研究データの分析を行い、園芸療法の知見を広く社会に還元すべく、論文作成及び投稿準備に充当した。現在、Japan journal of Nursing Scienceに「Effects of Horticultural Therapy for Aged Persons Receiving Home Care」を、また、老年社会科学に「サッケード反応様式からみた園芸療法の元気高齢者の前頭葉脳血流量の変化」を投稿するための準備作業に入っている。これらの論文では、在宅療養高齢者及び元気高齢者のそれぞれの課題に対して園芸療法が効果的に作用して、心身機能の維持・向上や老化予防に独自の効果をもたらすことが実証され、今後における地域高齢者ケアへの提言ともなっている。2)世界初の作業療法ハンドブック、「International Handbook of Occupational Therapy Interventions」(2009)に、「Horticultural Therapy for the Cognitive Function of Elderly People with Dementia」が所収された。このことにより、園芸療法が薬物に依拠することなく認知機能の回復をもたらし、認知症ケアとしての優れた側面を有すると共に、日常生活の活性化を促すための多種多様な可能性持ち合わせていることを世界のケア専門家に紹介し、園芸療法の普及に拍車をかける機会となった。なお、認知症者に対する園芸療法の種々のデータについては、引き続き分析を進め、International journal of geriatric Psychiatryをはじめ国際的学術誌への投稿を予定している。