著者
多田 十兵衛 江川 隆輔 後藤 源助 中村 維男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.350, pp.31-35, 2005-10-14
被引用文献数
4

本研究では, 回路の大規模化に伴うリーク電流による消費電力の増大を抑えることを目的として, 小規模な演算器で高速に演算を行なう手法を提案する.演算内のビットレベル並列性に着目し, 高ビット幅の演算を低ビット幅の演算器で行い, さらに回路をウェーブパイプライン化することで高速かつ小規模化な回路を実現する.また, シミュレーションにより提案手法の有効性を示す.
著者
中村 維男 杉本 理 小林 広明 萩原 将文 後藤 英介 深瀬 政秋 長谷川 勝夫 FLYNN Michae MICHAEL Flyn
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、脳構造化スーパーコンピュータの解析と統合およびその性能評価を目的として、スタンフォード大学と東北大学が共同研究を行うことを計画した。このために、研究代表者と研究分担者は合計10回の研究連絡会議を開いた。その内訳はスタンフォード大学で8回、東北大学で2回である。これらの会議では、日米の研究協力者も適宜討論に参加した。その他、計算機アーキテクチャの分野で指導的立場にある研究者を招いての会議も開催した。さらに、日常的には電子メールによる研究連絡を頻繁に行った。その結果、研究計画の項目毎に以下に示す実績を得ることができた。本年度はこの他にも、機械設計支援システム、並列アルゴリズム、マルチメディアに関する論文、計算機アーキテクチャを指向した計算機ハードウェアに関する著書1冊の実績を得ている。1.脳構造化スーパーコンピュータの統合:研究計画の全項目を脳構造化スーパーコンピュータとして統合した。マインドコンピュータ、表現認識連想記憶メモリ、脳波学、人口蝸牛殻、過疎分散メモリ、波状パイプライン、ジェットパイプライン、論理型アーキテクチャ、記号処理アーキテクチャ、機能型アーキテクチャ、コンピュータグラフィックスの役割を考慮に入れ、脳構造化スーパーコンピュータにおける位置付けを明確に図示した。2.過疎分散方式メモリの構築:脳構造化スーパーコンピュータにおいて過疎分散方式メモリと対をなす波状パイプラインシステムに関して、CMOS VLSIベクトルユニットによる実装設計を行った。さらに、脳構造化スーパーコンピュータにおける処理とデータ伝送に不可欠のベクトルマシン、スーパースカラプロセッサ、マルチプロセッサなどの超高速プロセッサとコンピュータネットワークについての問題点と指針を明らかにした。3.RIGHTコンピュータの解析:スーパーコンピュータで脳機能を実現するための方法論に関するこれまでの研究をさらに発展させ、階層構造を有する分散型連想記憶メモリシステムを用いた脳構造化スーパーコンピュータの概念的モデルを明確にした。特に、このモデルに関してのRIGHTコンピュータの解析を行った。さらに、概念的モデルと具体的モデルの融合を試みた。これらの研究成果は近く公表の予定である。4.超並列記号処理システムの構築:超並列記号処理システムをVLSIで構築することを目的として、この研究の基礎となる学問の体系化を行い、1冊の図書にもとめた。さらに、VLSIの設計に関する独自の方法について研究を行った。得られた成果をもとに現在論文を作成中である。5.脳の処理モデルの研究:医学的な見地から遺伝子と脳の相互作用を検討し、脳の処理モデルの独創的な研究を展開している。これらの研究成果は近い将来公表の予定である。6.RIGHTコンピュータの性能評価:RIGHTコンピュータの構成要素であるニューラルネットワークとファジィ推論システムの融合、分散表現を用いた知的情報処理、および連想記憶メモリの性能評価に関して4編の論文を公表した。7.LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータの性能評価:LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータは、脳構造化スーパーコンピュータの処理部と入出力部に対応する。本研究計画項目では、特にデータ処理と出力を担当するコンピュータグラフィックスシステムの光線追跡法と多重路表現法について、詳細な性能評価を行った。8.RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークの研究:RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークに最近話題のウェーブレット変換を導入し、音声データ処理についての研究を展開した。
著者
深瀬 政秋 江川 隆輔 佐藤 友暁 伊東 俊輔 中村 維男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.388, pp.1-8, 2001-10-19
参考文献数
28

ワードに対する同期の取り方が現在主流のパイプラインとは全く異なるウェーブパイプラインは、高周波化、省スペース化、省電力化などの特徴を示すことが期待され、プロセッサの高性能化の有力な手段として研究開発が行われつつある。しかし、従来方式のパイプラインの設計手法とチューニング手法は今なお精力的に開発されていることと比べると、ウェーブパイプラインの本格的な研究はまだ端緒についたばかりなので、その評価は定まっていない。そこで本研究では、ウェーブパイプライン化された各種回路の性能評価を、論理合成、FPGAによるプロトタイプ、スタンダードセルチップの各段階で行う。従来方式のパイプラインを比較対象とし、クロック数、ゲート数、実行速度を評価指数とする。0.5μm CMOSテクノロジィの場合、ウェーブパイプライン化スカラプロセッシングユニットのゲート数は10%少ない。また、これを搭載するプロセッサは、同等レベルのテクノロジィで製造されたSUN UltraSPARC及びDEC Alpha 21164の3.3倍ないし5倍のクロック周波数で動作し、標準的なテストプログラムの実行時間を31%ないし66%短縮する。いずれの観点からも、ウェーブパイプラインの優位性が明らかとなる。
著者
槻岡秀朗 籠屋健 笹尾 和宏 高橋 雅哉 中村 維男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.61, pp.43-48, 1997-06-27
被引用文献数
3

SOUNDコンピュータは、ニューラルネットワークをプログラム可能にした全く新しい概念のコンピュータである。従来のノイマン型とは、手順の与え方,データの流れ方において異なる。その構成は、コネクションネットワーク,コネクションレジスタ,演算ユニットから成り、各ユニットは、コネクションネットワークを通して繋がっている。その動作は、まず、コネクションレジスタの内容に基づいてコネクションネットワークを繋ぎかえて、データフローグラフをそのままのトポロジーでハードウェア上に実現し、そして、そこに同期式にデータを流して並列処理を行う。その応用分野としては、データの圧縮,伸長,認識や三次元グラフィクスなどのマルチメディア処理や科学技術計算の高速化が挙げられる。The SOUND computer is a novel non-von Neumann computer. Its differences from von Neumann computer are the ways of giving order and flowing data. The SOUND computer consists of a connection network, a connection register, and operation units. Each units is connected through a connection network. In this action, firstly, implement a dataflow gragh directly on a hardware in the same topology, then, execute the graph by flowing data-synchronously. The SOUND computer is aiming at the mathematically sound computer on its hardware and software. And its purpose is to accelerate the scientfic calculation and the multi-media processing such as data compressing, extracting, recognition, and 3-dimensional graphics.