- 著者
-
小林 昭裕
- 出版者
- 公益社団法人 日本造園学会
- 雑誌
- ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.5, pp.673-678, 2001-03-30 (Released:2011-09-13)
- 参考文献数
- 36
- 被引用文献数
-
2
5
国立公園では, 野外レクリエーション需要の高まりと利用形態の多様化によって, 生態系だけでなく自然体験の質の劣化が生じている。自然環境と自然体験の質を維持するには, 既存の計画手法に, 新たな方策を導入する必要がある。本研究では, 利用体験の質の保全に清眼し, その概念の導入を検討した。その結果, 機会を, 利用者が予想した利用体験を実現するため, 一定の空間で, 活動する利用者にとって好機ととらえ, 機会の多様性を図るという考え方は, 過剰利用に対応し, 自然体験の質を保全する上で有効な概念であり, 既存の国立公園の計画や管理を補完し, 統括的な計画や管理行為を考える上で, その有効性は大きいと判断された。