著者
石田 綾 岩尾 一 樋上 正美 阿部 愼太郎 小林 頼太 浅川 満彦
出版者
日本生物地理学会会報
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.1-6, 2011-12-20
参考文献数
25
被引用文献数
2

The present survey was conducted on internal parasites of 2 alien turtle species, namely Trachemys scripta (18 individuals) [host abbreviation: Ts] and Chelydra serpentina (3 individuals) [Cs] in Japan. Two nematode species including Serpinema microcephalus [Ts] and Falcaustra sp. cf. falcata [Ts, Cs]), a trematode of Telorchis geoclemmydis [Ts, Cs]) and a protozoan genus including several species of Eimeria [Ts] were obtained from the present samples. They are new host records in Japan.
著者
小林 頼太 長谷川 雅美
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学会報 (ISSN:13455826)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.2, pp.169-173, 2005-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

Xenopus laevis, a frog commercially traded as a laboratory and pet animal, was first recorded in the wild at four localities in the Kanto plain, central Japan. Frogs found in the Tonegawa River might be a feral population established in the past decade because several X. laevis have been collected intermittently since the late 1990's. It is uncertain, however, whether Xenopus found at three other localities (Hasuike Pond in Fujisawa City, Inbanuma Pond in Shisui Town, and A ditch in Nagara Town) have established feral populations because there are few or no subsequent capture records since the first record at each locality.
著者
宇留間 悠香 小林 頼太 西嶋 翔太 宮下 直
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.155-164, 2012-11-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
19
被引用文献数
8

近年、草地性や湿地性の生物の代替生息地である農地の生物多様性が著しく減少しており、農地生態系の再生を目的とした環境保全型農業が普及し始めている。本研究では、新潟県佐渡市で行われているトキの個体群の復元を目的とした環境保全型農業のうち、冬期湛水および「江」の設置が、繁殖のため水田を利用することのある両生類3種(ヤマアカガエル、クロサンショウウオ、ツチガエルの一種)の個体数や出現確率に与える影響を探った。佐渡市東部の20箇所の水田群(計159枚の水田)において各種両生類の個体数を調べ、一般化線形モデル(または一般化線形混合モデル)と赤池情報量基準(AIC)を用いて、水田と水田群の2階層における個体数を説明する統計モデルを探索した。その結果、ヤマアカガエルとツチガエルの一種において、冬期湛水もしくは江の設置が強い正の影響を与えることが明らかになった。ヤマアカガエルでは、水田と水田群レベルで異なる農法が正の効果を示した。これは、個体群レベルの応答を評価するためには適切な空間スケールを定める必要があることを示唆している。景観要因としては、ヤマアカガエルとクロサンショウウオで水田周辺に適度な森林率が必要であるが、その空間スケールは大きく異なること、またツチガエルの一種では景観の影響を受けないことが明らかになった。この結果は、日本の里山のように景観の異質性が高い環境では、環境保全型農業の影響評価の際に、一律の指標種を用いるのではなく、局所的な生息地ポテンシャルにもとづいて評価対象種を選定する必要があることを示唆している。
著者
小林 頼太 長谷川 雅美 宮下 直
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.795, 2005

カミツキガメ(<i>Chelydara serpentina</i>)は淡水から汽水域にかけて生息するアメリカ原産の雑食性カメ類である.日本へは,1960年代からペットとして輸入され,近年では全国各地から野外へ逸出した個体が発見されるようになった.千葉県印旛沼周辺では1990年代中頃より本種が頻繁に発見されるようになり,2002年には国内で初めてカミツキガメの定着が確認された.カミツキガメは在来種と比較して大型であり,また多産であることから個体数が増加した場合,生態系へ大きな影響を及ぼす可能性がある. そこで本研究ではカミツキガメの管理を目的とし,まず,本種の印旛沼流域における分布を調査した. 2000年から2004年の期間に印旛沼流域において,罠掛けによる捕獲および聞き取り調査を行った結果,カミツキガメが確認された地点は流入河川である鹿島川及びその支流に偏っており,こうした傾向に顕著な変化は認められなかった.また, 2002, 2003年に合計28個体(オス10,メス18)に電波発信機を装着し,利用区間距離を記録した結果,外れ値の1個体を除いた27個体の平均(±SD)は405±192mであり,性差は見られなかった.また,この傾向は追跡期間(18-597日)とは相関がなかった.外れ値の 1個体に関しては短期間に移動し,最終的に利用区間は約2300mとなった. 次に,消化管および糞内容物から,カミツキガメを支える餌生物について評価した.その結果,カミツキガメは主に水草やアメリカザリガニなど,環境中に豊富にある資源を摂食していた.これらの結果をふまえ,今後のカミツキガメの管理方針について検討を行う.