著者
黒羽 泰子 長谷川 直哉 長谷川 有香 谷 卓 高橋 哲哉 松原 奈絵 高橋 幸利 小池 亮子
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.543-546, 2018 (Released:2018-04-05)
参考文献数
11

症例は48歳男性.37歳,全身けいれん,失語で発症し,左側大脳半球のT2高信号域を認め,carbamazepine, sodium valproateを開始した.42歳,右半身不全麻痺が出現し,48歳,二次性全般化発作が頻回となり,失語,歩行障害が進行した.頭部MRI上,左側大脳半球が高度に萎縮し,脳波で左側前頭極に焦点のある鋭波を認めた.血清,髄液で抗GluN2B抗体が陽性であった.一側性大脳半球萎縮,焦点性てんかん発作があり,知的退行,運動障害が進行性であるため,Rasmussen脳炎と診断し,ステロイドパルス療法を施行した.治療後,二次性全般化発作の頻度が減り,自立歩行も可能となった.Rasmussen脳炎は,主に小児期に発症する自己免疫性てんかんで,早期治療介入が予後を改善する.本症例は,長期経過後の導入にもかかわらずステロイドパルス療法が有効であった.成人発症の緩徐進行性難治性てんかんでは,同疾患の可能性も疑い,長期経過例でも免疫療法を検討する必要があると思われる.
著者
久保 真人 饗場 郁子 下畑 享良 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.219-227, 2021 (Released:2021-04-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

医師のバーンアウトの現状と対策を検討するため日本神経学会の全学会員8,402名に対しアンケート調査を行い,15.0%にあたる1,261名から回答を得た.本論文では男性医師と女性医師の比較結果について報告する.勤務・生活状況では既婚者のみに有意な差が認められた.労働時間など勤務状況では男性のほうが厳しい条件で勤務していること,家事分担では女性の負担が重いことが確かめられた.日本版バーンアウト尺度による分析では,全体の得点では性差は認められなかったが,バーンアウトと関連する要因については,男女に共通した要因にくわえて,男性あるいは女性特有の要因が明らかとなった.
著者
下畑 享良 久保 真人 饗場 郁子 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.89-102, 2021 (Released:2021-02-23)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

医師のバーンアウトに関連する要因を明らかにし,今後の対策に活かすため,2019年10月,日本神経学会はバーンアウトに関するアンケートを脳神経内科医に対して行った.学会員8,402名の15.0%にあたる1,261名から回答を得た.日本版バーンアウト尺度の下位尺度の平均は,情緒的消耗感2.86/5点,脱人格化2.21/5点,個人的達成感の低下3.17/5点であった.また本邦の脳神経内科医のバーンアウトは,労働時間や患者数といった労働負荷ではなく,自身の仕事を有意義と感じられないことやケアと直接関係のない作業などと強く関連していた.これらを改善する対策を,個人,病院,学会,国家レベルで行う必要がある.
著者
下畑 享良 久保 真人 饗場 郁子 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001533, (Released:2021-01-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

医師のバーンアウトに関連する要因を明らかにし,今後の対策に活かすため,2019年10月,日本神経学会はバーンアウトに関するアンケートを脳神経内科医に対して行った.学会員8,402名の15.0%にあたる1,261名から回答を得た.日本版バーンアウト尺度の下位尺度の平均は,情緒的消耗感2.86/5点,脱人格化2.21/5点,個人的達成感の低下3.17/5点であった.また本邦の脳神経内科医のバーンアウトは,労働時間や患者数といった労働負荷ではなく,自身の仕事を有意義と感じられないことやケアと直接関係のない作業などと強く関連していた.これらを改善する対策を,個人,病院,学会,国家レベルで行う必要がある.
著者
黒羽 泰子 高橋 哲哉 荒井 祐生 吉野 美穂子 春日 健作 長谷川 有香 松原 奈絵 小池 亮子 池内 健
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.532-540, 2022 (Released:2022-07-29)
参考文献数
24

軽度認知障害を伴うパーキンソン病(Parkinson’s disease with mild cognitive impairment,以下PD-‍MCIと略記)の神経心理所見と後部帯状回,楔前部,頭頂領域の脳血流変化を検討した.認知機能低下のない群と比較し,PD-MCI群は,言語,注意,実行,記憶,視空間認知すべての機能が低下していた.SPECT解析では,後部帯状回,楔前部,頭頂領域の血流はPD-MCI群で低下していた.特に,処理速度,実行,記憶評価尺度と同領域の血流は相関した.PD-MCI群で見られたこれらの所見は,認知症を伴う例の所見と類似し,認知症移行の早期像を反映している可能性がある.