著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.Suppl.2, pp.s53-s59, 2014 (Released:2015-02-14)
参考文献数
25

ワクチンというと皆さんはエドワードジェンナーについて学生時代に学んだかもしれません.当時経験的に知られていたのは,牛痘にかかったヒトは天然痘にかからないですむ,もしくは天然痘にかかったとしても死に至らず天然痘感染による症状が軽くすんでいたことから治療への応用が検討されました.他の医師が行った実験治療では多くの死亡事故もあったようです.それを踏まえてジェンナーが行ったのは,天然痘予防のためのウシ天然痘(牛痘)のヒトへの接種実験でした.現在ワクチンという呼び名で一般化したこの試みは見事に成功し数多くの人命が救われ,184年後の1980年5月,WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶を宣言しました.このようにワクチンは正しく使用すれば効果も高く,社会に貢献するのはあきらかですが例外もあります.本日参加された皆さんはワクチンの適応,時期,その限界や副作用についてもよく知っておく必要があると思います.繰り返しになりますが,ワクチンに限らず万人に対して同じ作用・効果を起こす薬剤は存在しませんし,個々のワクチン接種時の免疫状態によって効果や副作用が変化する可能性もあるのです.またご自身,家族,友人,会社,村,市,地方,県,国,世界と接種対象のスケールアップに伴いワクチンの主たる目的も変わってきます.ワクチンはもともと個人の体内に存在していない異物(非自己)を,皮下,筋肉注射,静脈注射,経鼻,経口ルートから投与し,個人のもつ免疫能を強制的に賦活させるものです.よって,場合によっては死に至るような重篤な副作用を起こす可能性が常にあります.今回の公開講座は広くワクチンの特集であり,他の演者からすでにそれぞれの分野における最新の報告が行われてきたかと思いますが,私の講演ではインフルエンザワクチンにより起こりうる神経系の副作用についてまずお話をします.また,最近話題になっている子宮頸癌ワクチンと神経系への副作用,さらには私の主たる研究である多発性硬化症のワクチンを利用した免疫治療が歴史的にどのように行われてきたかについて述べ,日本でも増加しているアルツハイマー病に対してのワクチンによる免疫治療とその誤算,最後に今後日本でもますます増えるであろう様々なワクチンにどう向き合うかの基本姿勢についてまとめて述べます.自己を病気から守るためには非自己である感染のみならず,自己に対しての過剰反応である免疫現象を理解することが必要不可欠なのです.
著者
富沢 雄二 横山 和正 服部 信孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.2242-2248, 2012 (Released:2013-08-10)
参考文献数
11

膠原病は全身性自己免疫疾患と呼ばれ,1942年にクレンペラーらによって提唱された病理組織学的概念である.脳神経障害を来す代表的な膠原病および膠原病関連疾患として,SLE,Sjögren症候群,MCTD,Behçet病,サルコイドーシス,抗リン脂質抗体症候群などがある.これらの疾患による脳神経障害のパターンおよび診断・治療につき考察する.
著者
久保 真人 饗場 郁子 下畑 享良 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.219-227, 2021 (Released:2021-04-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

医師のバーンアウトの現状と対策を検討するため日本神経学会の全学会員8,402名に対しアンケート調査を行い,15.0%にあたる1,261名から回答を得た.本論文では男性医師と女性医師の比較結果について報告する.勤務・生活状況では既婚者のみに有意な差が認められた.労働時間など勤務状況では男性のほうが厳しい条件で勤務していること,家事分担では女性の負担が重いことが確かめられた.日本版バーンアウト尺度による分析では,全体の得点では性差は認められなかったが,バーンアウトと関連する要因については,男女に共通した要因にくわえて,男性あるいは女性特有の要因が明らかとなった.
著者
下畑 享良 久保 真人 饗場 郁子 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.89-102, 2021 (Released:2021-02-23)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

医師のバーンアウトに関連する要因を明らかにし,今後の対策に活かすため,2019年10月,日本神経学会はバーンアウトに関するアンケートを脳神経内科医に対して行った.学会員8,402名の15.0%にあたる1,261名から回答を得た.日本版バーンアウト尺度の下位尺度の平均は,情緒的消耗感2.86/5点,脱人格化2.21/5点,個人的達成感の低下3.17/5点であった.また本邦の脳神経内科医のバーンアウトは,労働時間や患者数といった労働負荷ではなく,自身の仕事を有意義と感じられないことやケアと直接関係のない作業などと強く関連していた.これらを改善する対策を,個人,病院,学会,国家レベルで行う必要がある.
著者
下畑 享良 久保 真人 饗場 郁子 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001533, (Released:2021-01-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

医師のバーンアウトに関連する要因を明らかにし,今後の対策に活かすため,2019年10月,日本神経学会はバーンアウトに関するアンケートを脳神経内科医に対して行った.学会員8,402名の15.0%にあたる1,261名から回答を得た.日本版バーンアウト尺度の下位尺度の平均は,情緒的消耗感2.86/5点,脱人格化2.21/5点,個人的達成感の低下3.17/5点であった.また本邦の脳神経内科医のバーンアウトは,労働時間や患者数といった労働負荷ではなく,自身の仕事を有意義と感じられないことやケアと直接関係のない作業などと強く関連していた.これらを改善する対策を,個人,病院,学会,国家レベルで行う必要がある.
著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.148, no.2, pp.105-120, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
118
被引用文献数
1

多発性硬化症(MS)はヘルパーT細胞1(Th1),Th17細胞などの獲得免疫により髄鞘タンパク質に対する自己免疫性炎症反応とそれに伴う脱髄が病態形成の中心とされてきたが,MSの進行に強く影響する神経変性過程では炎症性反応の他にもいまだ未解明の病態が関与していると考えられる.近年,MS変性過程での主なプレイヤーは自然免疫とされ,MSは経過により免疫病態がシフトする不均一な疾患と捉えられる.また,MSの大多数を占める再発寛解型MS(RRMS)患者は発症から10年以内に50%が二次性進行型MS(SPMS)へ移行するが,急性発作に対するステロイド療法では再発抑制と障害進行抑制効果に対してのエビデンスはないことから,MS治療では再発抑制効果,障害進行抑制効果が期待されるインターフェロンβ製剤,グラチラマー酢酸塩(GA)をはじめとする病態修飾療法(DMT)が主な治療選択肢となる.GAは,MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の病因探索でミエリン塩基性タンパク(MBP)の生物学的認識を模倣する目的で4つのアミノ酸で化学合成され,EAEを改善することが示された合成ランダムポリペプチドである.GAはEAEに対する効果に基づいて開発され,RRMS患者を対象とした一連のピボタル試験で有効性が示されたことから1996年に米国,イスラエルで承認されて以降,世界50ヵ国以上でIFN β製剤とともにRRMSに対する第一選択薬として用いられている.GAは日本においても2015年に「多発性硬化症の再発予防」の効能効果で厚生労働省から製造販売承認を受けている.海外での20年以上にわたる臨床経験で確立された安全性に加え,MSにおける獲得免疫,自然免疫の炎症機序を標的とする免疫調整作用により,多くの新規DMTが登場しつつある現在でも,優れた治療選択肢となるものと期待される.
著者
西川 典子 内田 千枝子 波田野 琢 服部 信孝
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第43回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
巻号頁・発行日
pp.2-C-P-044, 2022 (Released:2022-12-26)

【目的】パーキンソン病(PD)における不安症状は頻度が高く、しばしばQOLの低下や治療薬の忍容性の低下につながる。不安症状に対する治療は抗うつ薬などが推奨されているが、患者は服薬量が増えることを懸念することが多い。対面式の認知行動療法(CBT)はPDのうつ症状治療として有用であることが報告されている。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行発生と研究時期が重なったため、来院せずに自宅で受講可能なオンラインCBTに変更した。オンラインCBTは、うつ病、痛み、糖尿病の治療として、対面式CBTに劣らない有効性が示されている。そこで私たちは、パーキンソン病(PD)の不安に対するオンライン少人数グループCBTの実施可能性および有効性を検討した。【方法】本研究では、不安を有するPD患者を対象として、熟練した臨床心理士により、構造化されたCBTプログラムを8セッション実施した。CBTはZOOMを使用してオンライン方式で行われ、少人数グループは臨床心理士1名とPD患者4名で構成した。同意取得してスクリーニングの後、無作為に実施群と待機後実施群に分け、二群間でCBTによる不安症状軽減を評価して比較した。主要評価項目はHAM-A(ハミルトン不安尺度)の改善度、副次評価項目はHAM-D(ハミルトンうつ尺度)、GAD-7(Generalized Anxiety Disorder-7)、PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)、PDQ39(Parkinson's Disease Questionnaire-39:生活の質の指標)の改善度とした。臨床試験登録システム(UMIN000044247)に登録後、順天堂大学医学部研究倫理委員会の承認(H20-0080)を得て、本研究を開始した。【結果・考察】不安症状を有するPD患者32名が登録し、そのうち28名が研究を完遂した。研究脱落者4名の内訳は、1名が自己都合による中止、2名が待機期間中の抑うつ症状の悪化による中止、1名が併存疾患の手術による中止であった。群間比較試験では、CBT群と待機群との間でHAM-Aの改善度に有意差はなかった。CBT介入前後で比較すると、HAM-Aの改善度に差はなかったが、HAM-DとPDQ-39は有意に改善した。【結論】少人数のオンラインCBTは、PDの不安は改善しなかったが、うつ病とQOLを有意に改善した。
著者
島田 知世 常深 泰司 飯村 康司 菅野 秀宣 服部 信孝
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.697-706, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
105
被引用文献数
2

長期間無症状のまま宿主細胞内にとどまるウイルスが,免疫状態の変化により再活性化することがある.活性化したウイルス自体の障害に加え,再活性化によって引き起こされる自己免疫的な炎症も細胞障害を生じる機序となる.なかでもヒトヘルペスウイルスは頭蓋内手術を契機として潜伏感染していたウイルスが再活性化し脳炎を発症することがある.てんかん外科の普及に伴い注目を集めている疾患概念であるが,欧米に比べ本邦での報告は極めてまれである.本総説では,神経領域で再活性化するウイルスについて概説し,術後の単純ヘルペスウイルス再活性化脳炎について詳細に考察する.
著者
小尾 公美子 籠橋 麻紀 波田 野琢 藤島 健次 北田 徹 服部 信孝 大熊 泰之
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-72, 2010-02-28 (Released:2014-11-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

破傷風は先進国では稀な疾患となったが, ひとたび発症すると致死率が高い神経緊急疾患である. 当科ではこの9年間に7例の破傷風患者を経験したが, 本稿では中高年齢で発症し示唆に富んだ4例について報告した. 開口障害より嚥下障害が目立つと, 脳卒中と誤診されやすく注意を要する. 少しでも開口障害があれば外傷歴がなくとも破傷風を考慮し, 高齢者, 重症者では合併症も多いので, 十分な全身管理が必要であると考えられた.
著者
今居 譲 井下 強 柴 佳保里 柴 佳保里 井下 強 服部 信孝 孟 紅蕊 荒野 拓 石濱 泰
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

若年性パーキンソン病原因遺伝子PINK1とParkinは、協働してミトコンドリアの品質管理に関与することが示唆されていた。一方、新規に同定された晩発性パーキンソン病原因遺伝子CHCHD2は、機能未知のミトコンドリアタンパク質であった。本研究では、ショウジョウバエモデル、iPS細胞、哺乳類培養細胞を組み合わせ、PINK1-Parkinシグナル分子機構の解明と、CHCHD2の機能解析、PINK1-ParkinシグナルとCHCHD2との分子関係の解明を進めた。
著者
上野 真一 波田野 琢 服部 信孝
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.455-457, 2023 (Released:2023-11-27)
参考文献数
15

Parkinson disease (PD) is a neurodegenerative disease with various motor and non–motor symptoms such as bradykinesia, rigidity, tremor, constipation, sleep disturbance, cognitive dysfunction, and depression. Although multiple risk factors including aging, genetic predisposition, and environmental factors are involved in the pathogenesis of PD, the number of patients with PD has been increasing in recent years in the world. Previous reports have shown that the severity of PD is high in elderly patients from the early stage of the disease and that a particularly high percentage of them have symptoms such as impaired postural instability, freezing of gait, hallucination, and cognitive dysfunction that reduce their quality of life (QOL). In addition, it is necessary to take into account factors that may reduce motor function, such as frailty, cerebrovascular disease, and spinal disease, as well as the effects of multiple medications for comorbid diseases and the environment surrounding the patient, such as elderly caregivers. In this section, we discuss future issues, focusing on the epidemiology of PD.
著者
王子 悠 服部 信孝
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.768-772, 2022 (Released:2023-01-20)
参考文献数
21

We review reports published in 2021 providing new information on the management of Parkinson disease (PD) and its related disorder. Several clinical trials of drugs for disease–modifying therapy (DMT) are also underway, but no drug has yet been reported that has clearly demonstrated efficacy in either PD or secondary parkinsonism.
著者
上野 祐司 田中 亮太 卜部 貴夫 服部 信孝
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.65-69, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
22

脳梗塞後の軸索再生は,損傷後の組織再構築において重要な役割を担い,機能回復とも関連する.筆者は,ラット中大脳動脈閉塞モデルのperi-infarct area において,7 日後の急性期に脱落した軸索や樹状突起は56 日後の慢性期では再生していることを確認した.In vitro では,虚血後軸索の再生にはphosphatase tensin homolog deleted on chromosome 10/Akt/Glycogen synthase kinase 3β シグナルが関わることを報告した.ラット慢性脳低灌流モデルでは,L-carnitine 経口投与により脳白質において軸索再生とoligodendrocyte の再生によるミエリンの増強が生じ,慢性脳虚血ラットの認知機能障害が改善した.脳梗塞後の軸索再生,機能回復のメカニズムは多岐にわたり,今後軸索再生を目的とした脳梗塞新規治療薬の開発,実用化が期待される.
著者
波田野 琢 服部 信孝
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.601-604, 2020 (Released:2021-05-27)
参考文献数
23

Parkinson's disease is regarded as the second most prevalent neurodegenerative disorder after Alzheimer's disease. The characteristic pathological finding in cases of Parkinson's disease is dopaminergic neuronal degeneration with Lewy body. Braak et al hypothesized that Parkinson's disease might be distributed from peripheral autonomic neurons to the central nervous system. The progression of Parkinson's disease might be caused by prion–like dissemination of alpha–synuclein, which is known as the main component of Lewy body. Thus, it might be expected that prevention of alpha–synuclein aggregation is possible through disease–modifying therapy. Alpha–synuclein is associated with lipids and the perturbation of the association is caused by the aggregation of alpha–synuclein. Furthermore, genetic dysfunction of phospholipid and glucolipid enzymes, such as GBA mutation and PLA2G6 mutations, is associated with Parkinson's disease with Lewy body. Therefore, elucidation of the pathomechanisms in Parkinson's disease related to the perturbation of lipid metabolism might shed light on the development of disease–modifying therapy.
著者
上原 皓 河本 浩明 今井 壽正 白井 誠 曾根 政富 野田 幸子 佐藤 栄人 服部 信孝 山海 嘉之
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.206-214, 2019-12-10 (Released:2020-02-29)
参考文献数
34

Gait festination (GF) is one of the representative locomotion disturbances associated with Parkinsonism, which induces pulsion caused by increased stepping velocity. Fear of falling over and involuntary symptoms caused by GF can have a significant impact on quality of life. Considering previous interventional strategies for GF and their utility in daily life, physical intervention using a wearable system to assist postural disorder and the hastening phenomenon is necessary for patients with GF. The purpose of this study was to develop a wearable system that can assist the patient in extending the trunk and generating internal rhythm. Another objective was to confirm the effectiveness of the system for preventing GF by conducting a gait experiment in a Parkinsonism patient. To design an assistive method, we simulated lateral swing in the standing position based on features of Parkinsonism, and defined the mechanism and power configurations for the system. A power unit at the back of the waist transmits a cyclic force to the chest by a link in the frontal plane. A gait experiment was performed in a Parkinsonism patient with GF to confirm that reduction of the gait cycle is prevented by using the system. The result showed that the linear trendline slope of reduction of the gait cycle decreased. In addition, the maximum stooping angle decreased by half, and the cyclic assistance of the system and gait cycle were harmonized. These results suggest that the system developed is effective in preventing GF by supporting posture and generating internal rhythm.
著者
服部 信孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.762-770, 2018-04-10 (Released:2019-04-10)
参考文献数
14

Parkinson病(Parkinson's disease:PD)は進行性の神経難病であるが,唯一対症療法で症状の劇的な改善が期待される疾患でもある.一番効果が期待されるのは今もレボドパであり,次にドパミンアゴニストである.この2剤を中心に運動合併症状改善薬であるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(catechol-O-methyltransferase:COMT)阻害薬,MAO-B(monoamine oxidase B)阻害薬,アデノシンA2A受容体拮抗薬,zonisamideが開発されている.さらに,進行期PDには機器装着治療が適応となり,脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)とlevodopa/Carbidopa intestinal gel(LCIG)の2つの選択肢がある.進行期PDの定義は難しいが,レボドパの服用回数5回以上,オフ時間が2時間以上,問題となるジスキネジアが1時間以上あれば考慮すべきである.さらに,近未来的治療方法としては,iPS細胞由来ドパミン神経細胞の移植療法や芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(aromatic L-amino acid decarboxylase(AADC):AADC)を使った遺伝子治療が登場すると考えられる.さらに,疾患修飾療法として2型糖尿病治療薬でGLP(glucagon-like peptide)-1アナログのエキセナチドが候補として報告された.新規薬剤の登場も控えており,PD治療はますます発展していくものと確信している.
著者
葛原 茂樹 小久保 康昌 佐々木 良元 桑野 良三 伊藤 伸朗 冨山 弘幸 服部 信孝 辻 省次 原 賢寿 村山 繁雄 齊藤 裕子 長谷川 成人 岩坪 威 森本 悟 赤塚 尚美
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

紀伊半島の一部集落に多発する神経風土病の筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン認知症複合(ALS/PDC)類似疾患で知られているほぼ全ての原因遺伝子を調べ、異常変異は認められなかった。病態と発症に関して、脳のアルツハイマー神経原線維変化の分布様式はALSとPDCでほぼ同じであった。脳と脊髄にはTDP-43の蓄積が認められ、生化学的にはタウ/TDP-43異常蓄積症と考えられた。尿中の酸化ストレスマーカーが有意に上昇しており、神経変性に参加ストレスの関与が推定された。タウとTDP-43の蓄積を起こして神経変性が進行する仕組みと、遺伝子の関与の解明が今後の課題である。
著者
横山 和正 服部 信孝
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.s53-s59, 2014

ワクチンというと皆さんはエドワードジェンナーについて学生時代に学んだかもしれません.当時経験的に知られていたのは,牛痘にかかったヒトは天然痘にかからないですむ,もしくは天然痘にかかったとしても死に至らず天然痘感染による症状が軽くすんでいたことから治療への応用が検討されました.他の医師が行った実験治療では多くの死亡事故もあったようです.それを踏まえてジェンナーが行ったのは,天然痘予防のためのウシ天然痘(牛痘)のヒトへの接種実験でした.現在ワクチンという呼び名で一般化したこの試みは見事に成功し数多くの人命が救われ,184年後の1980年5月,WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶を宣言しました.<br>このようにワクチンは正しく使用すれば効果も高く,社会に貢献するのはあきらかですが例外もあります.本日参加された皆さんはワクチンの適応,時期,その限界や副作用についてもよく知っておく必要があると思います.繰り返しになりますが,ワクチンに限らず万人に対して同じ作用・効果を起こす薬剤は存在しませんし,個々のワクチン接種時の免疫状態によって効果や副作用が変化する可能性もあるのです.またご自身,家族,友人,会社,村,市,地方,県,国,世界と接種対象のスケールアップに伴いワクチンの主たる目的も変わってきます.<br>ワクチンはもともと個人の体内に存在していない異物(非自己)を,皮下,筋肉注射,静脈注射,経鼻,経口ルートから投与し,個人のもつ免疫能を強制的に賦活させるものです.よって,場合によっては死に至るような重篤な副作用を起こす可能性が常にあります.<br>今回の公開講座は広くワクチンの特集であり,他の演者からすでにそれぞれの分野における最新の報告が行われてきたかと思いますが,私の講演ではインフルエンザワクチンにより起こりうる神経系の副作用についてまずお話をします.また,最近話題になっている子宮頸癌ワクチンと神経系への副作用,さらには私の主たる研究である多発性硬化症のワクチンを利用した免疫治療が歴史的にどのように行われてきたかについて述べ,日本でも増加しているアルツハイマー病に対してのワクチンによる免疫治療とその誤算,最後に今後日本でもますます増えるであろう様々なワクチンにどう向き合うかの基本姿勢についてまとめて述べます.自己を病気から守るためには非自己である感染のみならず,自己に対しての過剰反応である免疫現象を理解することが必要不可欠なのです.