著者
野田 昌吾 畑山 敏夫 神谷 章生 小沢 弘明 堀江 孝司 安野 正明 野田 葉 木下 ちがや
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、1960年代の異議申し立ての噴出=「1968年」について日欧米比較を行ったものである。近年「文化革命」としての性格が過度に強調される「1968年」であるが、本研究は、「1968年」は各国における政治的社会的近代化のあり方と冷戦的秩序のあり方の問題性を告発することにより、各国の戦後秩序の再編の大きな契機となったばかりでなく、冷戦的な国際秩序の再編を促す一つの要因ともなったことを確認し、その「文化革命」性の一面的強調の問題性を明らかにした。
著者
小沢 弘明 大峰 真理 上村 清雄 橋川 健竜 秋葉 淳 後藤 春美
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、近現代ヨーロッパにおける中心=周縁関係の再編過程を分析することであった。この研究では二つの側面を重視した。第一は、ヨーロッパ内部の地域的な不均等発展を分析することである。この側面では、ルネサンス・イタリアにおける中心=周縁関係をフィレンツェとシエナめ関係に見る研究、ハプスブルク君主国とオスマン帝国内における中心=周縁関係から分析する研究を行った。第二は、ヨーロッパ概念の特質と、近代世界における構造化の中でヨーロッパの位置を探る研究である。本研究では、両大戦間期の国際社会における中心=周縁関係の議論をイギリス帝国を中心に分析する論考、植民地期の北アメリカを帝国史や大西洋史(アトランティック・ヒストリー)などの研究動向から分析する論考、18世紀フランスにおける奴隷貿易を基軸にヨーロッパ=アフリカの通商関係を再考する論考を準備した。本研究ではまた、いくつかの方法論上のアプローチも検討に付した。それは、「域内周縁」理論、 「境界地域」理論、ハプスブルク君主国やオスマン帝国について最近行われているカルチュラル・スタディーズやポストコロニアル・スタディーズからの議論である。EUの東方拡大と新自由主義による世界の構造化が進んでいる現在、とりわけ周縁の位置からヨーロッパの歴史的位置を解釈することは不可欠である。そのような視点を取ることは、帝国論や、新帝国主義論、新自由主義論などに関するわれわれの理解を深化させることになろう。本研究ではさらに、主題に関する今後の研究の基礎を拡大するためにデータベースの作成を行った。これらを利用することによって、近現代ヨーロッパ史を、これまでとは異なった観点で分析していくことが可能となろう。