著者
郷間 英世 小谷 裕実 池田 友美 落合 利佳 大谷 多加志 鈴木 万喜子 中市 悠 木村 由里 郷間 安美子 川越 奈津子
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代の子どもの発達の様子や問題点を探るため、過去50年間の発達検査の資料の検討、および、保育園幼児の認知発達や社会生活能力の検討を行った。標準化資料の50%通過年齢や項目別の年齢別通過率の検討の結果、1954年から1983年にかけては、子どもの精神発達が促進した時代、1983年から2001年にかけては、発達が遅延してきている時代と考えられた。また、現代の幼児の発達は、認知能力は男女差を認めなかったが、社会生活能力や描画発達は男児で女児より遅れると言う結果が得られ、最近の発達障害や「気になる子」の増加と関連があると考えられた。
著者
郷間 英世 小谷 裕実
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

重症心身障害児・者のQOLの評価検討を行った結果は以下の通りであった。1)重症心身障害児の両親へのインタビューより、(1)重症心身障害児・者も自己のQOL(生活の質)について様々な方法で表現している。(2)社会的役割として、重症心身障害児・者も周囲人々に様々な影響を与えていること。(3)障害児・者を育てたことを肯定的にとらえている親は少なくない、などの結果を得た。2)重症心身障害児に対するQOLの評価用紙を作成し、日常介護に携わっている保護者等に回答を求めた。評価項目は(1)健康(医療や健康)、(2)生活環境(日常生活)、(3)家族、(4)社会的情緒的人間関係、(5)教育や労働(日々の療育活動、労働、学齢時は教育)、(6)レジャー(趣味、楽しみ、レクレーション)、(7)全体的な生活に対する満足度、(8)自己表現や自己選択の度合いの8領域に分けた。その結果、重症心身障害児は、全体としての日常生活に在る程度満足している者が多いが、本人や家族を支援してくれる人は少なく、環境や福祉施策は不充分であり、将来の健康や生活に不安がある者が多いという結果であった。3)学齢児に関しては、養護学校の生徒の重症化の実態やQOLの視点から見た医療的ケアの重要性などについて、これまでの研究やインタビュー調査をまとめ報告した。重度の障害を持つ生徒にとって医療はQOLの基礎を与えると考えられた。これらの結果より、重症心身障害児のQOLの構造は、Subjective QOLとObjective QOLに、またObjective QOLはさらにHealth relatedと他の領域に分けられると考えられた。今後は、(1)QOL評価用紙の一般化、(2)QOLの基本である重症心身障害児・者自身の個人的満足度(subjective QOL)の評価などが課題となっている。