著者
小笠原 健 荒川 史博 穐山 浩 合田 幸広 小関 良宏
出版者
Japanese Society of Food Chemistry
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.155-160, 2003-12-12 (Released:2017-12-01)
参考文献数
19

さまざまな大豆加工食品における組換え遺伝子の音量とDNA断片化の程度を調べることにより、厚生労働省により通知された公定法記載の定量PCR法の加工食品への適用可能性について検証した。豆腐のように100℃程度で加熱加工された場合は、適用できることがわかった。しかし、市販されている加工食品のように加熱され、物理的力が更にかかるオートクレーブ処理などが行われた場合、あるいは発酵食品の場合、100bp程度までDNAの厳しい断片化が引き起こされることが明らかとなった。従って、これらの加工食品中の遺伝子組換え大豆の定量を行うには95bpより短いプライマー、プローブを開発する必要があると考えられた。
著者
福田 直子 大宮 あけみ 伊藤 佳央 小関 良宏 野田 尚信 菅野 善明 鈴木 正彦 中山 真義
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.380, 2003-03-27 (Released:2004-02-24)

同一花弁において着色組織と白色組織が存在する覆輪花弁は、色素生合成の活性化・不活性化の機構を理解するために極めて有効な材料であると考えられる。トルコギキョウの覆輪形成に関与するフラボノイド系色素の生合成について解析した。 先端着色品種では、花弁の成長初期から着色組織にフラボノイドの蓄積が認められ、開花直前からアントシアニンが合成されたのに対し、白色組織では花弁のすべての生育ステージにおいてフラボノイドとアントシアニンの蓄積は認められなかった。一方、基部着色品種では先端着色品種と異なり、花弁の成長初期には全ての組織においてフラボノイドの蓄積が認められたが、花弁の成長に伴い白色組織のフラボノイドは減少していった。両品種とも開花花弁の着色組織と白色組織においてchalcone synthase (CHS)遺伝子の転写産物の蓄積に顕著な差が認められ、白色組織においてCHS遺伝子の転写が特異的に不活性化されていた。トルコギキョウにおいては、CHS遺伝子の組織特異的発現が、覆輪の形成に深く関与していると考えられる。花弁の成長に伴うフラボノイドの蓄積パターンから、先端着色品種ではCHSの不活性化は花弁の成長の初期から起こるのに対し、基部着色品種では花弁の成長に伴いCHSの不活性化が起こると考えられる。それぞれの品種において、CHSの不活性化には、異なる機構が機能していることが示唆された。
著者
久保田 浩樹 佐藤 恭子 佐々木 伸夫 河村 葉子 小関 良宏 穐山 浩
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.94-103, 2012
参考文献数
38

カットキャベツを次亜塩素酸ナトリウムにより殺菌処理したときに生成する消毒副生成物の生成影響因子について検討を行った。カットキャベツは、次亜塩素酸ナトリウム(100mg/L)単独あるいは、有機酸と共に10分間殺菌処理を行い、カットキャベツに残存する揮発性ハロゲン化合物をヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した。主要な副生成物としてクロロホルムが検出された。クロロホルムは、殺菌時間、pH、温度、初期次亜塩素酸ナトリウム濃度に依存して増加した。次亜塩素酸溶液を種々の無機酸及び有機酸と併用してもトリハロメタンは生成しないが、クエン酸は次亜塩素酸と反応し、クロロホルムを生成した。クロロホルム濃度は、次亜塩素酸・クエン酸混液の混和時間に対応して増加し、カット野菜の殺菌時間には影響しなかった。また、カット野菜に残存したクロロホルムは水洗浄により、水道水中のトリハロメタン濃度レベルまで減少した。