著者
吉田 祥 香山 瑞恵 池田 京子 山下 泰樹 伊東 一典 浅沼 和志
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-114, no.12, pp.1-6, 2017-02-20

本研究では,歌声の響きに関連する周波数特性の強度や割合の定量化を検討し,歌声評価指標として提案することを目的としている.これまでの研究で,心理的印象に影響を与える音響特徴量が歌唱指導により変化することが確認されている.また,この音響特徴量を評価するための声楽初学者に特化した歌唱評価指標を検討してきた.本稿では,これらの成果をふまえ,既提案指標の妥当性を再度検討した上で,声楽を専門に学ぶ特定個人の長期間での歌声変化解析への適用を試みる.その結果と声楽指導者の主観的評価との相違を考察した結果,声楽指導者の主観的評価と定量化した指標との相関が確認されたことから,歌声の習熟を評価する指標としての可能性を見出した成果について述べる.
著者
山下 泰樹 松本 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.270, pp.15-22, 2001-08-23
参考文献数
12

声質を表す8対の評価語による音声の主観評価値と, それら音声の各種音響パラメータとの間の関係を重回帰分析等を通して検討した.音声データは男女各50名中から選定した男声20名女声19名で, 被験者は大学生22名である.検討の結果, (1)主観評価の結果から, 評価語はほぼ2グループに分かれること, (2)"張り"を含むグループは, 中域の周波数パワーが大きいこと, (3)"太い"を含むグループではF0が主要な要因であること, (4)動的個人生を表す"落着き"は, モーラ当りのF0の偏差と高い相関があること, (5)動的個人生を表す"歯切れ"は, 母音の広がりやホルマントの遷移の度合いに違いが見られること, が分かった.
著者
池田 京子 大谷 真 香山 瑞恵 東原 義訓 山下 泰樹 谷塚 光典
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

通常,正しい発声法は,熟達したプロのヴォイストレーナーによる個別訓練によってのみ習得できるとされており,このことが教育現場において,歌唱指導の壁となっていた。そこでこれまで研究代表者らが開発してきた「声の見える化技法」を応用したソフトウェアを開発し,改良を重ねた。また、それを用いた指導法を構築し、附属学校園での「歌唱指導」の授業実践を重ねてきた。これにより,児童・生徒たち自身が自分の声を評価し,友だち同士の相互評価ができ,プロのヴォイストレーナーがいなくても,自分たちが目的を設定することで,主体的な学びに発展させるシステムの端緒を構築した。