著者
真口 宏介 小山内 学 潟沼 朗生 高橋 邦幸
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.3081-3090, 2010 (Released:2011-03-03)
参考文献数
49
被引用文献数
2

IPMN国際診療ガイドラインの作成により,世界的に本疾患が認識され,診断と治療指針について一定の方向性が示された.型分類は,大きく主膵管型と分枝型に分けることを推奨し,手術適応は,主膵管型の全例と分枝型の場合には,有症状例,壁在結節を有する,主膵管拡張,細胞診で悪性,拡張分枝径3cm以上,としている.しかしながら,ガイドラインには,いくつかの課題も残されており,今後の検討によって改定が繰り返さることを認識しておく必要がある.一方,現状でのIPMN診断における内視鏡の役割としては,正確な鑑別診断,手術適応の有無の判定,手術適応例に対する進展範囲診断である.手術適応を判定する因子の中で重要と考えられるのが結節の評価であり,EUSの有用性が高い.また,生検・細胞診に際しては欧米ではEUS-FNAを施行しているのに対し,本邦では腫瘍の播種の問題を重視し,ERCP下に行っている.さらに,手術適応例に対する主膵管内の腫瘍進展範囲診断として,IDUS,POPSが位置する.本邦からの内視鏡を駆使した正確な診断に基づく多くの検討によって「より実践的なガイドライン」の改定が進めことを期待する.
著者
真口 宏介 小山内 学 高橋 邦幸 潟沼 朗生
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.522-531, 2005 (Released:2006-11-17)
参考文献数
24
被引用文献数
6 2

Intraductal papillary-mucinous neoplasm (IPMN) の分枝型は, 組織学的には腺癌, 腺腫のほか過形成病変が加わり, 臨床的には主膵管型に比べ浸潤癌の頻度が低く, 長期間進展しない例が多い. このため, 手術適応例と経過観察例が存在することになる.手術適応の判定因子としては, 画像診断による結節状隆起・壁在結節 (mural nodule) の評価, 主膵管径・拡張分枝径の測定がある. 国際的には, 拡張分枝径が重要視され, 次に隆起の存在, 主膵管の拡張が悪性を示唆する所見となっている. 一方, 本邦では隆起の高さを最も重要とし, 次に主膵管の拡張が重要との意見が多い. いずれにしても, 治療方針の決定ならびに経過観察には, 膵管の評価と拡張分枝内の隆起の評価の両者が求められ, 前者にはUS, CT, MRCPの組み合わせ, 後者にはEUSが必要である. また最近では, IPMNと通常型膵管癌の併存が注目されており, 経過観察に際し膵全体の評価を怠ってはならない. さらに, IPMN症例には他臓器癌の合併頻度が高く, 定期的な全身検索も重要である.
著者
木村 吉秀 山内 学 成田 真 大谷 宣人 鈴木 誠司 折戸 悦朗 溝上 雅史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.26-32, 2005-01-25
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

症例は50歳の女性. 黄疸を伴う急性肝炎にて入院し, 臨床経過, 肝組織検査, 診断基準より慢性肝障害に合併したウコンによる薬物性肝障害と診断した. ウコンの服用中止後も肝障害が遷延したためプレドニゾロンを使用. プレドニゾロンは奏効し肝障害改善後退院となった. 外来にてプレドニゾロンを中止したが, 中止後50日目に再び肝障害を認めたため2回目の入院となった. 肝組織検査, 診断基準に基づき検討したところ, 2回目の肝障害は自己免疫性肝炎であった. 1回目の肝障害と2回目の肝障害を再検討したが, ウコンによる薬物性肝障害がtriggerとなって自己免疫性肝炎が誘導された可能性と, もともと自己免疫性肝炎が存在しウコン内服によりなんらかの影響を受けて急性増悪した可能性が考えられた.
著者
真口 宏介 小山内 学 潟沼 朗生 高橋 邦幸
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.425-433, 2010 (Released:2010-08-03)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

臨床の場で遭遇する膵腫瘍の診断名の数は限られ,各腫瘍の病理と画像所見の特徴を把握しておくことで鑑別診断の多くが可能となる.膵腫瘍は大きく充実性と嚢胞性に分けられる.充実性には,通常型膵癌,内分泌腫瘍,Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN),特殊型膵癌(腺扁平上皮癌,退形成性癌など),腺房細胞癌があり,嚢胞性では,漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm: SCN),粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm: MCN),膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm: IPMN)の鑑別を行うことになる.但し,充実性腫瘍の嚢胞化あるいは充実性腫瘍の周囲に貯留嚢胞や仮性嚢胞を形成する場合には充実と嚢胞の混在する病態を呈するため鑑別診断に際し注意する必要がある.充実性腫瘍の鑑別診断で問題となるのは,特殊型膵癌(腺扁平上皮癌,退形成性癌など)と腺房細胞癌,非典型的所見を呈する内分泌腫瘍である.特に,内分泌腫瘍は内部の嚢胞化や主膵管内腫瘍栓など,種々の所見を呈するため注意を要する.嚢胞性腫瘍では,SCNにおいてmicro cystとmacro cystの混在,あるいはmacro cyst主体の例が少なくないことを認識しておく必要がある.MCNとIPMNでは,共通の被膜の有無,嚢胞の構造が内に向かうか外に向かうかが鑑別ポイントとなる.膵腫瘍の鑑別診断において体外式US,EUS,IDUSなど超音波診断の果す役割は大きい.
著者
中田 等 山内 学 森西 義章 増田 薫
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.393-400, 2003-04
被引用文献数
2

For the purpose of reducing CO_2 contents in the atmosphere, one of the solution is said to grow the biomass of phytoplankton by it's photosynthesis, that is enhances it's biological pump. When steelmaking slag is applied to the sea, the nutrient like phosphate and silicate, and ferrous ion as a micro nutrient, which is indispensable for the growth of phytoplankton, especially diatoms, is considered to be supplied sufficiently. This time, large tank test adding steelmaking slag was carried out, and increase behavior of phytoplankton was investigated. And at the same time, the behavior of various kinds of chemical elements which dissolves from steelmaking slag to the sea water examined in detail. The results show that contamination problems from the steelmaking slag which was applied to this experiment cannot be recognized. Behavior of dissolved element is compared to some experimental systems, for example, large tank test and beaker test etc., using analytical model. Furthermore, three dimensional simulation of dissolved nutrients from steelmaking slag was also investigated.