著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
成田 真由美 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP Report
巻号頁・発行日
vol.5, 2022-03

アイヌ民族が住む土地に「北海道」という名前を付け、開拓の名のもとに本州から大勢の人々が入植してから、約150年が経過した。2020年には、民族共生をうたう民族共生象徴空間(ウポポイ)が開業した。しかし、ウポポイに併設される慰霊施設には、全国の大学等に保管されていたアイヌ遺骨が集約され、返還を待っていること、さらには何故そのようになったのかを知る人は少ないように感じている。遺骨を持ち去られたアイヌの方々の悲しみが二度と繰り返されないことを私は願っているが、問題は絡み合っていて容易には理解できない。そこで私はCoSTEP研修科で、アイヌ遺骨を巡る諸問題に関して関係者へのインタビューを通じて、過去の研究が現在にもたらした「負の側面」に、それぞれの立場でどのように向き合っているのか伺うことにした。筆者の取り組みの趣旨等詳細は成田(2020)を御参照いただきたい。このレポートでは、北海道大学アイヌ・先住民研究センター長である常本照樹教授(所属等は執筆当時)から、アイヌ遺骨問題を中心に慰霊施設建設の経緯や国が考える課題と解決への道筋、諸外国の事情などを伺った内容を報告する。氏は政府の有識者懇談会、政策推進会議の構成員でもあり、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施策推進法)」にも尽力した。本稿ではまず第1章でインタビューおよび本稿公開までの概要を説明した。続く第2章では、長時間に及ぶインタビューの内容からポイントを抽出し、文書での追加取材を行った内容を加えたQA形式で要約した。そして第3章ではインタビューの詳細を大まかな内容ごとに節に分けて掲載した。
著者
成田 真由美 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP Report
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, 2022-04

北海道では、過去に「研究のため」と称して大量のアイヌ遺骨を、アイヌの方々が管理する墓地から発掘・収集することを容認する社会的な環境があった。差別と偏見に抑圧されたアイヌ民族は、1970年代から一部のアイヌの方々が中心になり、自らのアイデンティティを確立しようとする「アイヌ民族活動」を展開する。しかし、現在も姿を変えて差別や偏見は残っていると言わざるを得ない。私は、CoSTEP研修科に所属し、アイヌ遺骨を巡る諸問題に関して関係者へのインタビューを通じて、過去の研究が現在にもたらした「負の側面」に、それぞれの立場で、どのように向き合っているのか伺うことにした(成田・川本2020;2021)。本稿はアイヌ遺骨問題に関する関係者インタビューの第3弾となる(成田・川本2022a;2022b)。私にできることを探す第1歩とするために。このレポートでは、北海道に居住しているアイヌ民族を主な構成員とした公益社団法人北海道アイヌ協会(以下、「北海道アイヌ協会」)の事務局長を2015年に定年退職した竹内渉氏に行ったインタビューについて報告する。竹内氏は「アイヌ民族解放運動」を牽引したアイヌ解放同盟の結城庄司代表(1938-1983)の行動を間近に見ており、その思想も理解されている。また、竹内氏は非アイヌであるが、現在もアイヌ・コミュニティの一員として生活されており、非アイヌがアイヌの抱える問題の解決にどのように協働できるか、または求められるものは何かなどもお伺いした。まず第1章でインタビューおよび公開までの概要を説明した。続く第2章では、インタビューの概要を記載した。そして第3章ではインタビューの詳細を大まかな内容ごとに節に分けて掲載した。第4章ではインタビューで触れた事例や団体の概要を補記した。
著者
成田 真由美 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP Report
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, 2022-04

「研究のため」に発掘・収集され、全国の大学が保管していたアイヌ遺骨が民族共生象徴空間(ウポポイ)に併設された慰霊施設に集約された。慰霊施設は、遺骨がアイヌの方々に返還されるまでの間、尊厳のある慰霊を実現し、適切な管理を行うための施設であるとされている。しかし、返還されたアイヌ遺骨はごく一部である。研究の名のもとに大量に発掘・収集され、現在も解決していないアイヌ遺骨問題は、研究が社会に及ぼした「負の側面」を扱う、科学技術コミュニケーションの重要なテーマである。私は、CoSTEP研修科に所属し、アイヌ遺骨を巡る諸問題に関して関係者へのインタビューを通じて、過去の研究が現在にもたらした「負の側面」に、それぞれの立場で、どのように向き合っているのか伺うことにした(成田・川本2020;2021)。遺骨を持ち去られたアイヌの方々の悲しみと怒りを受け止めることが必要であると考えた本稿は、アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビューの第2弾となる(成田・川本2022a;2022b)。このレポートでは、強制労働、強制移住を受けたアイヌの子孫であり、平取アイヌ遺骨を考える会の共同代表である木村二三夫氏から、遺骨の返還を求める当事者の声を報告する。まず第1章でインタビューおよび公開までの概要を説明した。続く第2章では、2020年9月25日の本インタビューを中心に、今までの木村氏の講演やラジオ等の内容も参考にし、その主張を要約した。そして第3章ではインタビューの詳細を大まかな内容ごとに節に分けて掲載した。最後の第4章では、木村氏の主張の拠り所のひとつともなる資料『一通の嘆願書』についてまとめた。
著者
杉浦 正利 成田 真澄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、日本人英語学習者の持つコロケーション知識と英語母語話者の持つコロケーション知識とが、質的・量的にどのように違うのかということを、コーパス・反応時間・光トポグラフィーという三つのデータを利用して明らかにすることを目的としている。平成17年度は、まず学習者コーパスの設計と構築を行った。著作権処理をし研究資料として自由に使用できるデータを英語学習者と母語話者それぞれ200人分収集し、テキスト処理を施し学習者コーパスNICE(Nagoya Inter language Corpus of English)の基礎部分を構築した。また、反応時間測定実験のためのプログラム開発を行った。平成18年度は、学習者コーパスのデータに、英語母語話者による添削文を付与し、誤用分析ができるようにコーパスデータを拡張した。コーパスデータに含まれるn-gram表現を抽出し、英語学習者と母語話者の使用するコロケーション表現の分析を行った。また、反応時間の測定実験と光トポグラフィーによる実験で使用する実験項目の選定を行った。平成19年度は、学習者コーパスの言語的特徴を分析し、英語学習者と母語話者の違いを判別分析により明らかにした。また、添削文データの分析に基づく誤用分析も行った。反応時間の測定実験により、英語学習者もコロケーション知識を持っているが、習熟度により差があることが明らかになった。光トポグラフィーによる実験では、英語母語話者はコロケーション表現の処理に言語野のみを使いながらも脳に対する負荷が少ないのに対し、学習者では言語野以外の部分の活性化が起きるのみならず、その活性化に統一的なパターンが見られないことと、コロケーションを処理する際に脳に負荷がかかってることが明らかになった。
著者
成田 真紀 福田 眞人 平井 勝利 氏原 暉男
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.59-64, 1998-09-30

本論文はケシ(Papaver spp.)の起源と伝播やその栽培や利用について精査し,また薬物の一つで法的には麻薬として扱われている阿片(あへん:けしの液汁が凝固したもの及びこれに加工を施したもの[医薬品として加工を施したものを除く]をいう)について論考したものである。原料となるケシの植物学的記載や日本への伝来・栽培の歴史的変遷についても言及し,更に阿片の医薬品あるいは薬物としての利用及び法的規制の歴史についても考察を試みた。本稿では(1)ケシの原産地と植物学的記載(2)阿片の医薬あるいは薬物としての特性に関する歴史的考察(3)日本でのケシ栽培と阿片の歴史という三項目を立て,今までのケシと阿片の起源と伝播に関する研究を取りまとめ,先行研究ではいまだ解明されていない日本の阿片について史実を明らかにすることを研究の目的としている。
著者
山﨑 瑞紀 有川 茉里子 片野 紗恵 加藤 優花 小林 加奈 鈴木 詩織 滝 りりか 中 佑里子 成田 真裕
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.34-46, 2021-09-30 (Released:2021-11-10)
参考文献数
42

本研究では,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の1つであるLINEを用いたコミュニケーション場面において,大学生がLINEスタンプ(1つか2つの言葉がついたカラーのイラスト)をどのような動機で利用しているのか,を明らかにするとともに,スタンプの使用と購入を促す動機を特定した。日本人大学生212名が,チャット状況でのLINEスタンプの利用動機,LINEスタンプの利用や購入に関する質問紙に回答した。結果として,探索的因子分析及び確認的因子分析により,「雰囲気づくり」,「感情表現」,「注目誘引」,「個性表現」,「沈黙回避」の5つの利用動機が見出された。このうち,「雰囲気づくり」,「感情表現」,「沈黙回避」で女性が男性より高かった。これらの利用動機とスタンプ使用/購入の関連を重回帰分析により検討した結果,スタンプの使用を強く促す動機は「注目誘引」と「感情表現」であるのに対し,スタンプの購入を促す動機は「個性表現」であることが見出された。
著者
仁藤 晴暉 成田 真輝 肥後 克己 嶋田 総太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.323-330, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
27

Having a self-body recognition for avatars with human augmentation is important to improve the user experience. In this study, we examine the self-body recognition for a four-armed avatar operated by two people. The arm directly operated by the subject is called the main arm, and the arm operated by another subject (the experimenter) is called the subarm. Questionnaires and instantaneous heart rate were used as indices of self-body recognition. The heart rate results showed that the subject’s self-body recognition for the subarm emerged when the subarm moved to meet the subject’s goal. This suggests that it is important for the extended body part of a human augmentation avatar to move in the manner that shares the intention with the subject during operation to recognize the avatar’s body as their own.
著者
伊藤 聖子 成田 真由美 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.105-110, 2010-10-20

ツルアラメは,独特の苦味や不快なえぐ味をもつが,海藻特有の粘質多糖類を含むことから豊富な食物繊維の給源と考え,食物繊維が不足しがちな肉料理のなかでも,中学校家庭科で必ずとりあげられるメニューであるハンバーグにツルアラメを添加,調理加工法について検討した。青森県大間町沿岸で採取されたツルアラメを材料にハンバーグを作成,ツルアラメの食感を活かしつつ,独特のえぐ味やぬめりを感じさせないミキサー破砕物を添加したものが,最も高い評価が得られた。一般的な一人分のハンバーグ生地に,ミキサー破砕したツルアラメを4g 添加することで,1日の食物繊維摂取目標の約10.4% を占める2.6gの食物繊維を摂取できることがわかった。
著者
木村 吉秀 山内 学 成田 真 大谷 宣人 鈴木 誠司 折戸 悦朗 溝上 雅史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.26-32, 2005-01-25
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

症例は50歳の女性. 黄疸を伴う急性肝炎にて入院し, 臨床経過, 肝組織検査, 診断基準より慢性肝障害に合併したウコンによる薬物性肝障害と診断した. ウコンの服用中止後も肝障害が遷延したためプレドニゾロンを使用. プレドニゾロンは奏効し肝障害改善後退院となった. 外来にてプレドニゾロンを中止したが, 中止後50日目に再び肝障害を認めたため2回目の入院となった. 肝組織検査, 診断基準に基づき検討したところ, 2回目の肝障害は自己免疫性肝炎であった. 1回目の肝障害と2回目の肝障害を再検討したが, ウコンによる薬物性肝障害がtriggerとなって自己免疫性肝炎が誘導された可能性と, もともと自己免疫性肝炎が存在しウコン内服によりなんらかの影響を受けて急性増悪した可能性が考えられた.
著者
小林 雄一郎 阿部 真理子 成田 真澄
雑誌
じんもんこん2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.89-96, 2013-12-05

本研究の目的は,英語学習者のライティングにおける書き手の習熟度と母語が第2 言語ライティングに与える影響を調査することである。具体的には,東アジア圏(香港,韓国,台湾,日本)の大学生によって書かれた英作文コーパスにおける58 種類の言語項目(語彙,品詞,統語,談話など)を分析対象とした。その結果,香港人学習者と日本人学習者に関しては,習熟度による影響よりも母語による影響の方が大きいことが示唆された。また,韓国人学習者と台湾人学習者に関しては,母語による影響よりも習熟度による影響の方が大きいことが分かった。
著者
大井 恭子 田中 真理 成田 真澄 阿部 真理子 保田 幸子 板津 木綿子 ホーン ベバリー 小林 雄一郎
出版者
清泉女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は日本、韓国、台湾、香港という東アジアに位置する4か国がする英語ライティング教育に関して、アンケート調査によって実態を浮き彫りにし、そして互いが一堂に会することで実態を比較しあい、問題点などを共有し、今後の展望などに関して国際シンポジウムとして意見交換ができたことが一番の成果と言える。さらに、学習者コーパスを精査することにより、4か国・地域の学生の書く英語の諸相が明らかにされた。最終成果物として『EFL Writing in East Asia: Practice, Perception and Perspectives』を刊行し、多くの方と共有できたことで、この分野の進展につながった。