著者
仲 真紀子
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-29, 1997-01

本稿では記憶の方法, とくに書いて覚えるという方法を認知心理学的な観点から取りあげ, 検討した. 書いて覚えるという方法は日本ではよく用いられるが, 英語圏ではあまり一般的ではない. 書くと本当によく覚えられるのだろうか, もし覚えられるとしたら, それはなぜだろうか. いくつかの実験の結果, 書くことはとくに新奇な文字や図形の形を覚える場合に役立つことが明らかになった. 子どもたちが新出漢字を学ぶときや私たちが外国の文字を覚えるようなときにこそ効果のある方法だといえそうだ. 書く行為に含まれる「図形のイメージを一時的に保持する」, 「書いた図形を確認する」といった心理的な活動が, 新奇図形の記憶を助けているようである.

6 0 0 0 OA 感情と記憶

著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
2007-04

感情の心理学, 高橋惠子; 河合優年; 仲真紀子編著, ISBN: 9784595307065, pp.71-84
著者
仲 真紀子
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-29, 1997-01
被引用文献数
1

本稿では記憶の方法, とくに書いて覚えるという方法を認知心理学的な観点から取りあげ, 検討した. 書いて覚えるという方法は日本ではよく用いられるが, 英語圏ではあまり一般的ではない. 書くと本当によく覚えられるのだろうか, もし覚えられるとしたら, それはなぜだろうか. いくつかの実験の結果, 書くことはとくに新奇な文字や図形の形を覚える場合に役立つことが明らかになった. 子どもたちが新出漢字を学ぶときや私たちが外国の文字を覚えるようなときにこそ効果のある方法だといえそうだ. 書く行為に含まれる「図形のイメージを一時的に保持する」, 「書いた図形を確認する」といった心理的な活動が, 新奇図形の記憶を助けているようである.
著者
仲 真紀子 上宮 愛
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.343-361, 2005

Admissibility and reliability of a child's testimony depends on her/his competence in remembering and communicating facts as well as ability to discriminate the truth from a lie. It also relies on the type of early interview through which the account has previously been elicited. In this article, we reviewed research into the development of relevant cognitive abilities such as episodic memory and communication skills to talk about an event, a nd the ability to tell the difference between the truth and a lie, Also we examined studies on social factors that may facilitate or interfere with the production of an accurate account, such as the forms of questions, interview methods, social pressures and suggestive information. Results suggest that compared with younger children, children over six years of age, who are more aware of source information and the definitions of truth and lie, a nd more able to resist suggestions, are more capable of giving a testimony provided that an unbiased interview has been conducted, The results are discussed in connection with current legislation and investigative procedures in Japan.
著者
仲 真紀子 上宮 愛
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.343-361, 2005 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
4
著者
瀧川 真也 仲 真紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.65-73, 2011-08-31 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,音楽により喚起される懐かしさ感情が自伝的記憶の想起に及ぼす影響を検討することであった.参加者は大学生57名であり,小学校高学年時と中学校時の記憶,および小学校高学年時に聴いていた音楽の記述を求めた.1カ月後,参加者に,画面に提示されたエピソードが参加者の小学校と中学校のどちらの記憶かを判断させ,その反応時間を測定した.反応時間を懐かしさあり音楽条件,懐かしさなし音楽条件,音楽なし条件の3条件で比較検討した.その結果,懐かしさを感じた時は,懐かしさを感じさせる時期の自伝的記憶のみが想起されやすくなることが明らかになった.また,小学校高学年の時に聞いた音楽に対し,より懐かしさが喚起されると,中学校の記憶に対する誤反応が増加することが示された.
著者
仲 真紀子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.27-32, 2012-10

司法面接の目的の一つは、正確な情報をできるかぎり多く収集することだが、それは話をよく聞いてもらうという被面接者の権利を守ることでもある。本論では目撃者への面接(認知面接)、被害者への面接(MOGP、NICHDプロトコル等)、被疑者への面接(PEACEモデル)に関する研究成果を振り返り、実務に対してどのような貢献が可能かを考察する。
著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
1998-03

言語発達心理学, 内田伸子編著, (放送大学教材), ISBN: 4595587619, pp.162-175
著者
上宮 愛 仲 真紀子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.393-405, 2009-12-10 (Released:2017-07-27)

子どもの証言能力の査定では,嘘と真実の理解や,意図的に嘘をつけるかどうかが重要な問題となる。従来,幼児による嘘と真実の理解は,嘘と真実を概念的に弁別させる,定義させる,同定させる,実際に嘘をつかせるなど,様々な課題を用いて研究されてきた。しかしこれらの課題間の関係は必ずしも明らかではなく,嘘と真実に関するどのような理解が実際に嘘をつく行為と関わっているのかは明確でない。本研究では,様々な課題を用いて嘘と真実の理解を調べるとともに,これらの課題と嘘の産出との関係を調べた。年少,年中,年長児(3-6歳)73名が,人形が嘘をついているか,真実を話しているかの判断する同定課題(1),嘘と真実の違いについて説明する弁別課題(2),嘘と真実の定義をする定義・善悪判断課題(3),話者の信念と嘘との関係を調べる嘘の基準を明確化する課題(4),適切な嘘をつけるかどうかを検討する行動課題(5)を行った。その結果,年少児に比べ,年中,年長児は嘘と真実の善悪判断や同定を正しく行うことができた。また,年長児では嘘か否かの判断には信念が関わっていることの理解が可能になり始めることが示された。行動課題では,年少児は意図的に相手を騙すことができるような嘘をつくことは難しいが,年中,年長ではそれが可能になる。また,嘘をつく能力は,"信念の理解"によって一部予測できる可能性が示唆された。
著者
仲 真紀子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.24-30, 2016 (Released:2018-01-29)
被引用文献数
1

本報告は法と心理学会第16 回シンポジウム「司法面接をどう使うか─スキル、連携、法制度─」の一つを成すものである。司法面接とは目撃者、被害者となった可能性のある子どもから、精神的負担を最小限にしつつ正確な情報を最大限得ることを目指した面接法である。本報告では、まず、司法面接の概要と特徴について述べ、その上で多機関連携の必要性、日本での現状、専門家を対象とした司法面接や多機関連携の実施に関する調査結果について述べた。多機関連携が要請される背景としては、⑴虐待事案では福祉、司法の介入が必要となることが多く、特段の配慮をしなければ複数回の面接が行われがちであること、⑵虐待を受けたとされる子どもは一般に開示に時間がかかり、このことも面接の回数を増やす方向に働き得ること、を指摘した。面接を繰り返すことは供述を不正確にし、精神的な二次被害の原因ともなる。このことを改善するために、事実確認のための面接は、関係機関が連携し、適切な方法による面接を最小限の回数で行うことが重要である。司法面接に関する現状としては、児童相談所、検察官、警察官へのトレーニングが進みつつあること、調査結果としては、司法面接の使用に関する動機は高まっているが、知識や理解の不足が連携を阻む一つの要因だと認識されていることなどを示した。連携に関するスキルや知識の提供は、多機関連携の促進に貢献することが期待される。
著者
仲 真紀子
出版者
人文書院
巻号頁・発行日
2009-01

テクストと人文学 : 知の土台を解剖する, 齋藤晃編, ISBN: 9784409040959, pp.244-263
著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
2008-03

認知科学の展開, 西川泰夫; 阿部純一; 仲真紀子編著, (放送大学教材), ISBN: 9784595308062, pp.222-237
著者
堀内 靖雄 中野 有紀子 小磯 花絵 石崎 雅人 鈴木 浩之 岡田 美智男 仲 真紀子 土屋 俊 市川 熹
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.261-272, 1999-03-01
被引用文献数
16

The Japanese Map Task Corpus was created between 1994 and 1998 and contains a collection of 23 hour digital recordings, digitized maps and orthographic transcriptions of 128 dialogues by 64 native Japanese speakers. Map task dialogues are dialogues participated in by two speakers, the instruction giver who has a map with a route and the instruction follower who has a map without a route. The giver verbally instructs the follower to draw a route on his map. The two maps are slightly different so that there may emerge a natural interaction in spite of the fact that the flow of information internal to the task is basically one way. The principle and design of the recordings are described with special reference to the augmentations and improvements to the original HCRC Map Task corpus. Annotations to the orthographic transcriptions are viewed as "tags" that provide the start and end times of utterances, the duration of pauses, non-verbal events and synchronization of overlapping utterances, in a format which provides a view to giving a basis for further tagging in terms of linguistic and discourse phenomena in a interchangeable and sharable manner. Discourse and linguistic phenomena peculiar to spontaneous spoken dialogues, such as overlapping, are analyzed and the method of recording such phenomena in the transcription is discussed and proposed, with an implication for the requirement that one dialogue be represented in one digitized sound file for the preservation and reference of the information on timing. The tags emp1oyed in the corpus also provide an easy way of characterizing it in terms of the number and the duration of utteraI1ces and pauses. The statistical figures thus ob-tained are relatively independent of design factors like kinds of maps, but familiarity does significantly correlate with the duration and number of utterances.
著者
仲 真紀子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. I, 教育科学編 (ISSN:13427407)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-18, 1998-02-28
被引用文献数
3

記憶が変容し,再構成されるものであることは古くから指摘されている(Bartlett,1932; Loftus,1982; Neisser,1988; Spiro,1980)。だがこのような指摘は実際にあった出来事が幾分なりとも記銘され,保持されていることを前提としている。これに対し近年では,実際に体験しなかったことまでもが「記憶」として植えつけられ,「想起」され得ることが問題とされるようになった(Ceci,1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995; Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1996; Loftus, Feldman & Dashiell, 1995; Loftus, 1994; 高橋, 1997)。例えばCeciらは幼児に,幼稚園を訪問したサム・ストーンという人物について,実際にはなかったことの「記憶」を植えつけている。彼らはサムの訪問に先がけ,幼児にバイアスのかかった情報を与え,またサム訪問後,繰り返しバイアスのかかった質問を行うことで,サムが本を破いたり,熊のぬいぐるみを汚したりしたという偽りの「記憶」を作り出した(Ceci, 1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995)。またLoftusらは児童から老人までを対象に,ショッピング街で迷子になったという「記憶」を(Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1997; Loftus & Ketcham, 1994),Hyman, Husband & Billings (1995)は学生を対象に,ウェディング・パーティでパンチ・ボウルをひっくり返したという「記憶」を,またSpanosらは学生を対象に,乳児の頃,ベビーベッドの上にモビールがかかっていたという「記憶」を作り出している(Loftus, 1997の引用による)。このような記憶の形成には(1)何かを思い出すよう圧力をかけること,(2)その(実際にはなかった)「出来事」について繰り返しイメージを喚起するよう求めること,(3)そのイメージが偽である可能性を追究しないこと,そして(4)例えば「誰々もそれが事実だと言っている」などの補強証拠を与えることなどが重要な要因となっているという(Loftus,1997)。だが同時に,個人の傾向性も無視することはできない。例えばLoftus et a1. (1997)の引用によれば, Hyman & Billingsは催眠下での被暗示性傾向を調べるための尺度CIS (Wilson & Barber, 1978)と解離体験傾向を調べる尺度DES(Carlson & Putnam,1993)のスコアが偽りの記憶の形成と関わりがあることを見出している。このような記憶の変容に関わる個人差のひとつに被暗示性がある。Gudjonssonは面接や尋問において提示された事後情報が元の記憶に取りこまれ,統合されてしまう傾向性を被暗示性と定義し,被暗示性の源泉として2つの種類を区別した(Gudjonsson,1984a)。ひとつは暗示的,誘導的な質問の内容が元の記憶内容に混入してしまうというものでyield(影響の受けやすさ)と呼ばれる。もうひとつは,面接時の対人的圧力が記憶の内容に変遷を生じさせてしまうというものでshift(変遷)と呼ばれる。従来は被暗示性と言うと記憶の変容だけを指すことが多かったが,認知的な記憶の問題と社会的圧力との影響を分けて考えることは,偽りの記憶の形成や形成に関わる要因を調べていく上で重要なことと思われる(Ceci, Leichtman & Gordon, 1995; Loftus, et a1.,1995)。Gudjonssonは被暗示性を測定する尺度としてGSS(Gudjonsson Suggestibitliy Scale)を開発した(Gudjonsson,1984a, 1987)。そこではまず短い物語を提示する。そして(1)その内容に問する(誘導を含む)質問への反応によってvieldを,(2)1回めの反応と2回めの反応の変遷(被験者に「誤りが多いのでやり直すように」と教示し,再度質問に回答させる)によってshiftを測定する。GSSは本来,法廷に立つ者の被暗示性・迎合性を推定する尺度として開発され,虚偽自白との関連性などを調べるのに用いられた(Gudjonsson,1984b)。だがエピソード記憶の特性等,基礎研究においても有用な道具となり得ることが作者自身によっても指摘されている(Gudjonsson,1987)。ここではGSSの平行版A Prallel Form of the Gudjonsson Suggestibility Scale (Gudjonsson, 1987)を翻訳し,質問紙で大学生被験者に実施し,この尺度で得られる記憶のyieldやshiftについて検討する。併せて, CIS,DESも邦訳し,GSSスコアとの関連を検討する。
著者
仲 眞紀子 (2009 2011) 仲 真紀子 (2010) JANSSEN S.M. JANSSEN Stephanus
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

自伝的記憶とは,思い出や体験,自己に関わる出来事の記憶であり,典型的には手がかり語法を用いて調べる。手がかり語法とは「木」などの手がかり語を提示し,そこから想起される出来事と,出来事が起きた年齢を思い出してもらう方法である。このようにして想起された記憶の個数を,10代の記憶,20代の記憶,30代の記憶…というように年代ごとにプロットすると,10-20代の記憶の個数が高くなる。この現象はレミニセンス・バンプ(想起のコブ)と呼ばれ,忘却曲線等では説明できない現象として注目されている。レミニセンス・バンプの説明要因としては,(1)社会文化的な要因(ライフスクリプト等)と(2)認知的要因(作業記憶)とがある。これら二つの要因がバンプの形成にどの程度寄与しているかを調べることで,レミニセンス・バンプが生じるメカニズムに迫るとともに,自伝的記憶の成立に関わる要因を明らかにすることが,本研究の目的である。具体的には,インターネットを通じた調査により,若年から高齢までの広い範囲の参加者から,(1)自伝的記憶におけるレミニセンス・バンプ,(2)ライフスクリプト(人生において重要な出来事はいつ起きるか),(3)作業記憶の経年的変化(10-20代の作動記憶機能が高いために,多くの情報が蓄積されるのか)に関するデータを収集する。(2)は文化の影響を受けやすく,(3)は文化の影響を受けにくいと考えられるので,(2)と(3)における日,米,オランダの差を検討することで,レミニセンス・バンプが社会文化的要因と認知的要因の影響を受ける度合いを調べる。期間内に,インターネットでの調査を可能にするシステムを構築する。また,ネットに接続する参加者の偏りや,調査媒体(パソコンか「紙と鉛筆」による質問紙か)によるバイアスの効果を検討するために,オフ・ネット条件でも資料を収集する。
著者
市川 熹 大橋 浩輝 仲 真紀子 菊池 英明 堀内 靖雄 黒岩 眞吾
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.113-122, 2016 (Released:2016-07-07)

母語話者の話者交替時の重複タイミング現象である話者移行適格場(TRP)に注目し、日本語と英語について、それぞれの母語話者とその言語を十分に習得している非母語話者の実時間対話を分析した。両言語ともに、対話者が母語話者の組み合わせ以外ではTRPの制約が成立していなかった。このことは、非母語話者が発信している言語情報は話者交替の予告情報にはならず、言語情報の裏に必然的に存在するプロソディにあることを示唆している。また日本語母語話者の5歳児と6歳児と成人の対話を分析し、さらに先行研究結果を参考にしたところ、日本語母語のTRPの制約は5歳児ころまでに獲得されることが推察された。母語話者の話者交替タイミング制御のモデルを提案した。