著者
仲 真紀子
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-29, 1997-01

本稿では記憶の方法, とくに書いて覚えるという方法を認知心理学的な観点から取りあげ, 検討した. 書いて覚えるという方法は日本ではよく用いられるが, 英語圏ではあまり一般的ではない. 書くと本当によく覚えられるのだろうか, もし覚えられるとしたら, それはなぜだろうか. いくつかの実験の結果, 書くことはとくに新奇な文字や図形の形を覚える場合に役立つことが明らかになった. 子どもたちが新出漢字を学ぶときや私たちが外国の文字を覚えるようなときにこそ効果のある方法だといえそうだ. 書く行為に含まれる「図形のイメージを一時的に保持する」, 「書いた図形を確認する」といった心理的な活動が, 新奇図形の記憶を助けているようである.
著者
瀧川 真也 仲 真紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.65-73, 2011-08-31 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,音楽により喚起される懐かしさ感情が自伝的記憶の想起に及ぼす影響を検討することであった.参加者は大学生57名であり,小学校高学年時と中学校時の記憶,および小学校高学年時に聴いていた音楽の記述を求めた.1カ月後,参加者に,画面に提示されたエピソードが参加者の小学校と中学校のどちらの記憶かを判断させ,その反応時間を測定した.反応時間を懐かしさあり音楽条件,懐かしさなし音楽条件,音楽なし条件の3条件で比較検討した.その結果,懐かしさを感じた時は,懐かしさを感じさせる時期の自伝的記憶のみが想起されやすくなることが明らかになった.また,小学校高学年の時に聞いた音楽に対し,より懐かしさが喚起されると,中学校の記憶に対する誤反応が増加することが示された.

3 0 0 0 OA 感情と記憶

著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
2007-04

感情の心理学, 高橋惠子; 河合優年; 仲真紀子編著, ISBN: 9784595307065, pp.71-84
著者
仲 真紀子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.27-32, 2012-10

司法面接の目的の一つは、正確な情報をできるかぎり多く収集することだが、それは話をよく聞いてもらうという被面接者の権利を守ることでもある。本論では目撃者への面接(認知面接)、被害者への面接(MOGP、NICHDプロトコル等)、被疑者への面接(PEACEモデル)に関する研究成果を振り返り、実務に対してどのような貢献が可能かを考察する。
著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
1998-03

言語発達心理学, 内田伸子編著, (放送大学教材), ISBN: 4595587619, pp.162-175
著者
仲 真紀子
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-29, 1997-01
被引用文献数
1

本稿では記憶の方法, とくに書いて覚えるという方法を認知心理学的な観点から取りあげ, 検討した. 書いて覚えるという方法は日本ではよく用いられるが, 英語圏ではあまり一般的ではない. 書くと本当によく覚えられるのだろうか, もし覚えられるとしたら, それはなぜだろうか. いくつかの実験の結果, 書くことはとくに新奇な文字や図形の形を覚える場合に役立つことが明らかになった. 子どもたちが新出漢字を学ぶときや私たちが外国の文字を覚えるようなときにこそ効果のある方法だといえそうだ. 書く行為に含まれる「図形のイメージを一時的に保持する」, 「書いた図形を確認する」といった心理的な活動が, 新奇図形の記憶を助けているようである.
著者
仲 眞紀子 仲 真紀子(2010) JANSSEN S.M. JANSSEN S. M. JANSSEN Stephanus
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

自伝的記憶とは,思い出や体験,自己に関わる出来事の記憶であり,典型的には手がかり語法を用いて調べる。手がかり語法とは「木」などの手がかり語を提示し,そこから想起される出来事と,出来事が起きた年齢を思い出してもらう方法である。このようにして想起された記憶の個数を,10代の記憶,20代の記憶,30代の記憶…というように年代ごとにプロットすると,10-20代の記憶の個数が高くなる。この現象はレミニセンス・バンプ(想起のコブ)と呼ばれ,忘却曲線等では説明できない現象として注目されている。レミニセンス・バンプの説明要因としては,(1)社会文化的な要因(ライフスクリプト等)と(2)認知的要因(作業記憶)とがある。これら二つの要因がバンプの形成にどの程度寄与しているかを調べることで,レミニセンス・バンプが生じるメカニズムに迫るとともに,自伝的記憶の成立に関わる要因を明らかにすることが,本研究の目的である。具体的には,インターネットを通じた調査により,若年から高齢までの広い範囲の参加者から,(1)自伝的記憶におけるレミニセンス・バンプ,(2)ライフスクリプト(人生において重要な出来事はいつ起きるか),(3)作業記憶の経年的変化(10-20代の作動記憶機能が高いために,多くの情報が蓄積されるのか)に関するデータを収集する。(2)は文化の影響を受けやすく,(3)は文化の影響を受けにくいと考えられるので,(2)と(3)における日,米,オランダの差を検討することで,レミニセンス・バンプが社会文化的要因と認知的要因の影響を受ける度合いを調べる。期間内に,インターネットでの調査を可能にするシステムを構築する。また,ネットに接続する参加者の偏りや,調査媒体(パソコンか「紙と鉛筆」による質問紙か)によるバイアスの効果を検討するために,オフ・ネット条件でも資料を収集する。
著者
市川 熹 大橋 浩輝 仲 真紀子 菊池 英明 堀内 靖雄 黒岩 眞吾
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.113-122, 2016 (Released:2016-07-07)

母語話者の話者交替時の重複タイミング現象である話者移行適格場(TRP)に注目し、日本語と英語について、それぞれの母語話者とその言語を十分に習得している非母語話者の実時間対話を分析した。両言語ともに、対話者が母語話者の組み合わせ以外ではTRPの制約が成立していなかった。このことは、非母語話者が発信している言語情報は話者交替の予告情報にはならず、言語情報の裏に必然的に存在するプロソディにあることを示唆している。また日本語母語話者の5歳児と6歳児と成人の対話を分析し、さらに先行研究結果を参考にしたところ、日本語母語のTRPの制約は5歳児ころまでに獲得されることが推察された。母語話者の話者交替タイミング制御のモデルを提案した。

1 0 0 0 OA 目撃証言

著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
2003-03

感情と認知, 波多野誼余夫; 高橋惠子編著, ISBN: 4595236204, (放送大学教材), pp.108-119
著者
仲 真紀子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. I, 教育科学編 (ISSN:13427407)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-18, 1998-02-28
被引用文献数
3

記憶が変容し,再構成されるものであることは古くから指摘されている(Bartlett,1932; Loftus,1982; Neisser,1988; Spiro,1980)。だがこのような指摘は実際にあった出来事が幾分なりとも記銘され,保持されていることを前提としている。これに対し近年では,実際に体験しなかったことまでもが「記憶」として植えつけられ,「想起」され得ることが問題とされるようになった(Ceci,1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995; Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1996; Loftus, Feldman & Dashiell, 1995; Loftus, 1994; 高橋, 1997)。例えばCeciらは幼児に,幼稚園を訪問したサム・ストーンという人物について,実際にはなかったことの「記憶」を植えつけている。彼らはサムの訪問に先がけ,幼児にバイアスのかかった情報を与え,またサム訪問後,繰り返しバイアスのかかった質問を行うことで,サムが本を破いたり,熊のぬいぐるみを汚したりしたという偽りの「記憶」を作り出した(Ceci, 1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995)。またLoftusらは児童から老人までを対象に,ショッピング街で迷子になったという「記憶」を(Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1997; Loftus & Ketcham, 1994),Hyman, Husband & Billings (1995)は学生を対象に,ウェディング・パーティでパンチ・ボウルをひっくり返したという「記憶」を,またSpanosらは学生を対象に,乳児の頃,ベビーベッドの上にモビールがかかっていたという「記憶」を作り出している(Loftus, 1997の引用による)。このような記憶の形成には(1)何かを思い出すよう圧力をかけること,(2)その(実際にはなかった)「出来事」について繰り返しイメージを喚起するよう求めること,(3)そのイメージが偽である可能性を追究しないこと,そして(4)例えば「誰々もそれが事実だと言っている」などの補強証拠を与えることなどが重要な要因となっているという(Loftus,1997)。だが同時に,個人の傾向性も無視することはできない。例えばLoftus et a1. (1997)の引用によれば, Hyman & Billingsは催眠下での被暗示性傾向を調べるための尺度CIS (Wilson & Barber, 1978)と解離体験傾向を調べる尺度DES(Carlson & Putnam,1993)のスコアが偽りの記憶の形成と関わりがあることを見出している。このような記憶の変容に関わる個人差のひとつに被暗示性がある。Gudjonssonは面接や尋問において提示された事後情報が元の記憶に取りこまれ,統合されてしまう傾向性を被暗示性と定義し,被暗示性の源泉として2つの種類を区別した(Gudjonsson,1984a)。ひとつは暗示的,誘導的な質問の内容が元の記憶内容に混入してしまうというものでyield(影響の受けやすさ)と呼ばれる。もうひとつは,面接時の対人的圧力が記憶の内容に変遷を生じさせてしまうというものでshift(変遷)と呼ばれる。従来は被暗示性と言うと記憶の変容だけを指すことが多かったが,認知的な記憶の問題と社会的圧力との影響を分けて考えることは,偽りの記憶の形成や形成に関わる要因を調べていく上で重要なことと思われる(Ceci, Leichtman & Gordon, 1995; Loftus, et a1.,1995)。Gudjonssonは被暗示性を測定する尺度としてGSS(Gudjonsson Suggestibitliy Scale)を開発した(Gudjonsson,1984a, 1987)。そこではまず短い物語を提示する。そして(1)その内容に問する(誘導を含む)質問への反応によってvieldを,(2)1回めの反応と2回めの反応の変遷(被験者に「誤りが多いのでやり直すように」と教示し,再度質問に回答させる)によってshiftを測定する。GSSは本来,法廷に立つ者の被暗示性・迎合性を推定する尺度として開発され,虚偽自白との関連性などを調べるのに用いられた(Gudjonsson,1984b)。だがエピソード記憶の特性等,基礎研究においても有用な道具となり得ることが作者自身によっても指摘されている(Gudjonsson,1987)。ここではGSSの平行版A Prallel Form of the Gudjonsson Suggestibility Scale (Gudjonsson, 1987)を翻訳し,質問紙で大学生被験者に実施し,この尺度で得られる記憶のyieldやshiftについて検討する。併せて, CIS,DESも邦訳し,GSSスコアとの関連を検討する。
著者
白石 紘章 仲 真紀子 海老原 直邦
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.33-42, 2006-08-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は映画で提示された情報の再生,および情報源再認について,2種類の認知面接の効果を検討したものである.特に,繰り返し誘導情報を与えた場合の情報源再認について,面接の効果を評価した.72名の大学生は映画を見た後,誘導情報を含む事後質問紙に回答した.誘導情報の反復回数は,0回,1回,3回と操作された.24時間後,参加者は,認知面接,“文脈の心的再現”と“悉皆報告”教示で構成された修正版認知面接,または構造面接のいずれかを受けた.面接後,参加者は誘導情報についての情報源再認課題を行った.その結果,修正版認知面接は,認知面接よりも所要時間が短いにもかかわらず,構造面接よりも多くの,認知面接に匹敵する情報量を引き出した.しかし一方で,修正版認知面接,構造面接よりも認知面接で,情報源判断が優れていた.結果について理論的,実務的な観点から考察を行った.
著者
仲 真紀子
出版者
放送大学教育振興会
巻号頁・発行日
2008-03

認知科学の展開, 西川泰夫; 阿部純一; 仲真紀子編著, (放送大学教材), ISBN: 9784595308062, pp.222-237
著者
仲 真紀子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.28-37, 1983
被引用文献数
1

本研究では, 論理的推論において用いられる「だから」(「だから」の論理的機能。例:「夏は暑い。だから暑くなければ夏ではない。」) と経験的推論において用いられる「だから」(「だから」の経験的機能。例:「夏は暑い。だから薄着をする。」) を区別し, これらがどのように獲得されるかを調べた。被験者は小学校2年, 4年, 6年である。但し調査と実験では中学生, 大学生についても調べた。<BR>調査では, 2つの機能の獲得過程を調べる実験的研究に先がけ, 実際に「だから」の2つの用法があるかどうか, また「だから」にそれら以外の用法があるかどうかを調べた。方法は文章完成課題 (例:「夏は暑い。だから-。」) を用いた。<BR>実験では, 「だから」を含む命題を聴覚呈示し, 「だから」の使い方が正しいか否かを評価させることにより, 論理的機能, 経験的機能がどの程度獲得されているかを調べた。<BR>補足実験は, 上の実験で得られた発達傾向の再現性と外乱に対する安定性を調べるために行われた。「だから」の使用に関する1度限りの教授を行い (外乱), その効果を事前・事後テストで測定した。<BR>主な結果は以下の通りである。<BR>1. 「だから」は論理的命題, 経験的命題に用いられる。また, その他の命題 (対立や類比) にも用いられることがある。<BR>2. 論理的機能は小学校期では十分獲得されない。<BR>3. 経験的機能は2年でもかなり獲得される。<BR>4. 主観的命題 (例:「あの犬は小さい。だからかわいい。」) や類比的ないし疑似類比的命題 (例:「リンゴは赤い。だからバナナは長い。」) における「だから」の使用を正しいとする反応は, 小学校期を通じて著しく減少する。<BR>5. 以上 (2, 3, 4) の発達傾向は再現性があり, また1 度限りの教授という-過性の外乱に対して安定である。
著者
佐々木 真吾 仲 真紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.585-595, 2014-02-25 (Released:2014-04-15)
参考文献数
42

This study examined the development of skills to report with different levels of exactness. A total of 62 first-grade children and 58 fourth-grade children were asked about numbers and lengths (numeral tasks) and colors and positions of objects (nominal tasks) with instructions suggesting different levels of exactness, “roughly” or “exactly”. In Study 1, the instructions were given as a between-subjects factor. The results showed that when the “roughly” instruction was given, participants gave approximate answers more frequently than when the “exactly” instruction was given especially in the numeral tasks, and older children did so more frequently than younger children. In Study 2, the instructions were given as a within-subjects factor: a half of participants were given “roughly” and then “exactly” instructions, and the others were given the instructions in the opposite order. The results showed that younger children could change the levels of answers depending on instruction in the numeral tasks but not in the nominal tasks, whereas older children could do so in both tasks. The results suggest that the skills for reporting with different levels of exactness are related not only to cognitive development, but also to the linguistic context, such as the tasks and instructions.
著者
仲 真紀子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

子どもが司法場面で情報提供を求められることは少なくない。本研究の目的は, 出来事の報告, 特に人物の記述と, 刑事事件でも民事事件でも問題になる感情・気持ちの表現に焦点を当て, 発達的変化を明らかにするとともに, 得られた資料を司法面接の開発に活かすことであった。成果は以下の3点となる。(1) 実験研究により, 語彙は限られているものの, 幼児による人物記述の度合いは人物の再認の正確さと関わっていること, 感情・気持ちについては, 特にネガティブな気持ちを表す語彙が学童期に増加することを示した。(2) 幼児の供述の信用性に関する大人の意識, 認識を検討し, 一般市民は子どもの供述の信用性を高く見積もりがちであることを示した。(3) これらの成果, 文献調査, 国外での調査などを踏まえ, 面接ガイドラインを提案した。
著者
竹村 明子 仲 真紀子
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.211-226, 2012

二次的コントロール(Secondary Control : SC)(Rothbaum, Weisz, & Snyder, 1982)とは, 状況に合わせて個人が変わる過程を表す概念であり, 集団主義的文化や高齢者心理の特徴を理解するために重要な概念として期待されている。しかし, SC概念は研究者ごとに捉え方が異なり, 研究結果の比較を妨げる障害となっている。本稿は, このようなSC概念に関する研究者間の一致・不一致を整理することを目的に, 関連研究のレビューを行った。その結果, 1) SCの概念構造に関して, 階層構造を想定する立場と単層構造を想定する立場があること, 2)一次的コントロール(Primary Control : PC)とSCの関係において, PCとSCと諦めの位置づけおよびPCとSCの区分基準, PCに対するSCの機能性に関する考え方に研究者間の違いがあること, などを見出した。さらに, 3)統制感の維持に焦点を当てる立場と状況との調和に焦点を当てる立場, 4)行動と結果の随伴性認知を必然と捉える立場と偶然と捉える立場, 5)SCの統制主体を自分以外と捉える立場と自分自身と捉える立場, などの考え方の違いにより想定されるSCの機能性が異なることを明らかにし, 今後の課題について考察した。