著者
奥村 潤 佐野 隼輔 浦本 竜 久米 純矢 舘 伸幸 山崎 進
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-219, no.35, pp.1-6, 2016-03-17

倉庫を所有する企業では,在庫管理業務は非常に煩雑な作業である.そのため大企業では,倉庫の在庫をセンサーで自動検知できるような在庫管理システムを導入しているところが多い.一方で中小企業では,センサーが高額なためセンサーを持たない在庫管理システムを利用している場合が多い.その場合は人手で在庫を入力しており,十分に業務効率を改善できていない.そこで,我々は在庫を自動検知できる低コストな在庫管理システムを構築した.これはクラウドサービス kintone と Arduino を用いた IoT を組み合わせることで,低コストで最小限の機能を実現するものである.本研究では,アジャイル型の開発を行うことで,要求と成果物のギャップと,ハードウェア部品と工数のコストを削減した.
著者
栗林 健太郎 山崎 進 力武 健次 丹 康雄
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.32, pp.1-8, 2021-02-22

IoT デバイスは多様な用途において増え続け,2030 年にはその数が 1250 億に達すると見込む調査報告がある.増え続ける多様な需要を満たすためには,IoT デバイスの開発効率の向上が必要であり,そのための開発プラットフォームが多数現れている.IoT デバイス内アプリケーションの開発において,開発者によるコードの変更を適用することで生じる動作の変更が意図した通りであるかどうかを確認するためには,変更内容をターゲットとなるデバイスへ適用し実際に動作させる必要がある.既存方式では,更新内容の生成および適用に加えて,デバイスの再起動に時間を要するため,迅速な開発サイクルの実現が困難である.本研究では,先行研究に基づきコードの変更をデバイスへ適用する方式について(1)ファームウェアイメージの全体を適用する方式,(2)ファームウェアイメージの差分を適用する方式,(3)アプリケーションコードを動的に適用する方式の 3 つに分類した.その上で,開発効率の向上を目的として(3)を動的な性質を持つ言語によって実装し得る方式として位置づけ直して提案するとともに実装し,各方式について更新に要する時間を比較検討した.その結果,提案方式は既存方式に比べて更新に要する時間が 95% 短くなった.
著者
高瀬 英希 上野 嘉大 山崎 進
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2018-EMB-48, no.5, pp.1-8, 2018-06-22

2012 年に登場した Elixir は,Erlang VM 上で動作する関数型言語であり,分散システム対応でスケールしやすく,軽量で耐障害性が高いという特徴がある.習熟容易性および開発生産性が高く,並列処理のプログラミングが容易に実現できる.Elixir の Web アプリケーションフレームワークとしては Phoenix が知られている.本稿では,IoT システムの構築における Elixir の有用性を議論する.IoT システムにおいて多く採用される IoT ボードに Elixir / Phoenix の実行環境を整備し,種々の性能を評価できる動作するベンチマークスイートを用意する.これによって各種 IoT ボードにおける Elixir / Phoenix の実行性能を基礎評価し,IoT システムへの導入に向けた有用性を定量的に議論する.評価の結果,Elixir の並列処理性能は IoT システムにおいても発揮されること,Phoenix サーバについても IoT システムに十分な応答性能を得られることが示された.
著者
山崎 進 森 正和 上野 嘉大 高瀬 英希
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.15, 2019-01-30

ElixirではFlowというMapReduceの並列ライブラリが普及している.Flowを用いると簡潔な表現でマルチコアCPUの並列性を活用できる.我々はFlowによるプログラム記述がGPGPUにも容易に適用できるという着想を得て,OpenCLによるプロトタイプを実装した.現行のGPUで採用されるSIMDでは,単純な構造で均質で大量にあるデータを同じような命令列で処理する場合に効果を発揮する.一方,Flowでは,そのようなリストに対し一連の命令列で処理する.そこで,このような命令列と,リストを配列化したデータをGPUに転送・実行することで高速化を図る手法,Hastegaを提案する.そこで,ロジスティック写像を用いたベンチマークプログラムを開発し,期待される性能向上を評価した.Mac ProとGCEで評価した.言語はElixir,Hastega,Rust,Pythonで比較した.その結果,次の3つの結果が得られた:(1) HastegaはElixir単体のコードと比べて4.43~8.23倍高速になった(2) HastegaはRustと比べて,1.48~1.54倍程度遅くなっただけである(3) HastegaはPythonのコードと比べて,3.67倍高速である.今後,本研究で得た知見を元にLLVMを用いてコード生成器を含む処理系を開発する予定である.
著者
笹倉 万里子 山崎 進
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

高度情報社会においては,個人が多彩な情報の恩恵を享受する環境が必要である。しかし,情報はただ提供されるだけで役立つものではなく,個人がその情報を用い行おうとする目的と合致して初めて役に立つものである。本研究では,情報の十分な量が提案されている状態から,要求に合致したものを探し出し,目的を達成するための要因を決定していくための環境を,「ある要求が定まっているときに,ある状況と知識を仮定して,目的の要因を推定していく」過程とみなし,それをコンサルタントと捉えこのコンサルタント機能の実現を目指した。具体的には以下の研究を行った。1.矛盾解消推論とその関連の研究状況と知識に内在する矛盾を解消するメカニズムを構築し,それに基づいて,コンサルタント機能の基礎となる説明推論を確立した。一般論理プログラムにおける理論を確立し,また,それを拡張論理プログラムで展開している。実際の応用例についても検討した。2.視覚化とヒューマンインタフェースに関する研究コンサルタント機能ヒューマンインタフェースとして,説明推論の過程を視覚化する技法を確立した。円の包含関係を用いて論理プログラムを表現する手法を提案し,同様の手法で推論の過程を表現する手法を提案した。3.分散環境でのコンサルタント機能に関する研究推論を分散環境で展開できる体系を確立した。また,分散環境において,説明推論の過程を視覚化する技法についても検討した。分散環境への応用として,自動並列化コンパイラにおいて自動並列化を支援するためのシステムを説明推論を用いて構築する例を提示した。また,分散環境における矛盾解消推論の応用例を検討した。