著者
栗林 健太郎 山崎 進 力武 健次 丹 康雄
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.32, pp.1-8, 2021-02-22

IoT デバイスは多様な用途において増え続け,2030 年にはその数が 1250 億に達すると見込む調査報告がある.増え続ける多様な需要を満たすためには,IoT デバイスの開発効率の向上が必要であり,そのための開発プラットフォームが多数現れている.IoT デバイス内アプリケーションの開発において,開発者によるコードの変更を適用することで生じる動作の変更が意図した通りであるかどうかを確認するためには,変更内容をターゲットとなるデバイスへ適用し実際に動作させる必要がある.既存方式では,更新内容の生成および適用に加えて,デバイスの再起動に時間を要するため,迅速な開発サイクルの実現が困難である.本研究では,先行研究に基づきコードの変更をデバイスへ適用する方式について(1)ファームウェアイメージの全体を適用する方式,(2)ファームウェアイメージの差分を適用する方式,(3)アプリケーションコードを動的に適用する方式の 3 つに分類した.その上で,開発効率の向上を目的として(3)を動的な性質を持つ言語によって実装し得る方式として位置づけ直して提案するとともに実装し,各方式について更新に要する時間を比較検討した.その結果,提案方式は既存方式に比べて更新に要する時間が 95% 短くなった.
著者
岡田 崇 牧野 義樹 キム ジュンスー 中田 潤也 丹 康雄
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.365-378, 2012-01-15
被引用文献数
1

温室効果ガス排出量の削減や非常時,災害時におけるエネルギー確保を実現するため,エネルギーマネジメントはわが国の重要な課題である.近年,情報家電の普及にともない宅内にホームネットワーク(HN)が構築され,スマートハウス構想の実現に向け,HEMS(Home Energy Management System)やDSM(Demand Side Management)に対する期待が高まっている.新しいHEMS技術の有効性の検証には,実証実験かシミュレーションによる手法が用いられる.しかし,実証実験は時間やコストがかかり,実験規模,実験期間,網羅的な検証が困難であるという利便性に欠ける問題がある.一方シミュレーションは,HNの多様性,複雑性という性質からモデルの精度に関する問題がある.これらの問題に対し本論文では,実証的ホームシミュレータを提案し,その精度の評価およびHEMSアプリケーション例の効果を検証する.本シミュレータは,HNの要素を住宅,家電,環境,電力,人間の5要素に切り分け,要素間で相互作用する現象を再現可能とした.また実世界とのインタフェースを持ち実システムと同時に実時間で動作することで高い精度のシミュレーション結果を得ることができる.さらに統計情報やパターンを指定し異なるパラメータの実験を繰り返し実行することや,実世界と接続しない場合は複数の計算機を用い多数の世帯を高速にシミュレート可能である.評価として,本シミュレータの環境要素の精度を実験住宅iHouseで計測した実実験のデータとその再現実験のシミュレーション結果より検証した.検証のパターンとして,季節,天候,また窓閉め時,窓開け時,エアコン動作時の3シナリオについて検証を行い,結果から約5%の相対誤差内で環境の再現が可能であることを確認した.さらに実住宅の実消費電力量データとシミュレーション結果の比較を行い,その再現性を確認した.また住宅の効率的なカーテン開閉による消費電力量削減効果をシミュレータにより検証し,約8%の削減効果が見込めることを確認した.Energy management is an important issue for our country to fulfill reducing CO$_2$ emission or saving energy in emergency or disaster situation. Recently, due to the popularization of Home network (HN) comprised by smart home appliance, the need for HEMS (Home Energy Management System) or DSM (Demand Side Management) is stronger than ever. A field trial or a simulation method is adopted to evaluate the efficiency of new HEMS technology. But a field trial is associated with problems such as lack of convenience, time, cost, scaling difficulty, duration and exhaustive verification. On the other hand, a simulation has accuracy problems stemming from the diversity and complexity of HN. In this paper, we propose an experimental home simulator solving these problems. Furthermore, we evaluate the accuracy of the simulator and verify the effects of HEMS application. The simulator classifies elements of HN into categories such as house, appliance, environment, power consumption and human. It allows the reproduction of interactions between them. It can generate simulation results with high accuracy by having interfaces to real world and being executed in real-time. Moreover it has the functionality of a repetition of the experiment with statistics or parameters. If it does not connect to real world, it can simulate large-scale houses with high speed execution by using multiple computers. As the evaluations, we verify the accuracy of the environment simulation from the comparison between real experimental results and the simulation. The verification parameters are season, weather and user scenarios (window opening, window closing, air conditioner). We confirm that the simulator can accurately reproduce the environment with a five percent relative error. In addition, the reproducibility of power consumption simulation is confirmed by comparing the energy consumption measured in a real house with the simulation. Finally, as an example of HEMS application, we simulate an intelligent curtain control application and confirm eight percent reduction of energy consumption.
著者
田中 敦綺 リム 勇仁 丹 康雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2022-UBI-73, no.24, pp.1-6, 2022-02-28

IoT (Internet of Things) 分野における多種多様なセンサデバイスの普及に伴い,室内環境における.これらの技術を用いて,室内環境における被験者のヘルスケアを目的とした識別に関する研究が盛んに行われている.時系列に被験者識別のためには,位置推定手法の高度が不可欠である.本研究では,介護やヘルスケアへの応用を目的として,センサ群を用いた複数の被験者の位置を推定し,個別に識別するための識別検出システムを提案する.シミュレーションと実験の結果から,個人検出と識別の精度を向上させることができた.また,2人の被験者のインタラクションシナリオに対する提案システムの実装も評価によって,有効性を確認した.
著者
福嶋 開人 湯村 翼 リム 勇仁 丹 康雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-66, no.1, pp.1-8, 2020-05-18

少子高齢化の進展により,少ない働く世代で多くの高齢者を支えることから働く世代,高齢者ともに負担が高まっており,少ない介護者で効率的に高齢者を見守る方法が注目されている.そこで,無線電波によるデバイスフリーで呼吸数および心拍数を推定する研究がされており,種々の電波方式が検討されている.例えば,専用無線機器を用いた FMCW や汎用無線の Wi-Fi を用いる方法が挙げられる.しかし,これらの方法には機器が社会に広く普及していない点や消費電力が大きい点で,家庭内での利用に不向きという問題がある.本稿では,汎用無線標準である Bluetooth Low Energy のアドバタイズ機能を用いて家庭内にいる居住者の呼吸数および心拍数の取得の可能性について検討する.実験では,人の呼吸数および心拍数に相当する振動をアルミバルーンを用いて再現し,送信電波がフレネルゾーンにより干渉することで生じる受信強度の変化から振動が取得できるかを確認した.呼吸数の 10bpm,15bpm,20bpm において,想定した周波数に反応が出ている結果を得た.このことから,BLE 電波を用いて生体情報の実現が取得が可能であると結論付けた.今後の展望として,本実験では利用しなかった送信パケットのデータ部に送信機の位置を格納し,マルチアンテナ構成を実現することでより高精度な測定の実現を見込む.また,家庭内での位置情報を利用する研究と組み合わせることで居住者一人ひとりを識別し,個人に合わせた提案を行う社会的に影響の大きな技術となり得る.
著者
宮地 利幸 三輪 信介 長谷川 忍 丹 康雄 篠田 陽一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.235-248, 2010
被引用文献数
1

「技術」の習得には理論的な学習に加え,実践的な学習が必須である.特にネットワーク技術に関していえば,自律的に動作する要素の集合であるネットワークの挙動を理解し,その管理・運用技術を習得するためには,実環境で利用される機器を用いたネットワーク管理経験が重要である.しかし,実験的なネットワークであったインターネットが社会的インフラの一つとして認められるようになり,オペレーションのミスが許されない現状では,ネットワーク技術者がその技術を育むためのインフラが不足している.このような問題を解決するため,さまざまな体験演習環境が提案されている.その一方でネットワーク技術の検証の重要性が認識され,世界各地にネットワークテストベッドが設置されるようになってきている.本論文では,ネットワークテストベッドの一つであるStarBEDおよび実験支援ソフトウェアであるSpringOSを用いた体験演習環境構築についてまとめる.また,実際にStarBEDを利用して行われた体験演習例「SOI Asia 2008 Spring Global E-Workshop」,「インシデント体験演習」について紹介し,その有用性を示す.
著者
グェン ホアイソン 牧野 義樹 リム アズマン オスマン 丹 康雄 篠田 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.31-36, 2012-04-05

空調システムは快適な環境を作り出す一方、住宅エネルギー消費の大きな部分を占めている。住宅における省エネルギーを実現するために温熱環境を含んだ空調システムの挙動をサイバーフィジカルシステムとして総合的に理解することが重要である。我々は住宅における温熱環境のシミュレータの開発をすると共にシミュレーションの精度向上のためのパラメータ同定を行い、実験結果の妥当性を実環境の計測データを比較することで検証してきた。本稿では開発したシミュレータの詳細を述べた上でシミュレーション結果と実験結果との比較を行う。
著者
今井 智大 岡田 崇 中田 潤也 丹 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.138, pp.99-104, 2008-07-10

ホームネットワークの普及のためには、情報家電で構成されるホームネットワークに対してインターネットを通じてリモート管理を行なうサービスが重要である。このようなサービスでは、そのシステムを担う複数の要素がお互いにメッセージ送信を行なうためのインタフェースを定義することが必要となる。このような課題に対し、ホームネットワーク(以下HN)にサービスを提供するバックエンド事業者(以下BE)、管理サービスを仲介するサービスポータル(以下SP)、HN中の情報家電をとりまとめる宅内ゲートウェイ(以下CPE)とサービスを構成する要素を定義し、統一的なアクセスを行なえるようなインタフェースを提案する。提案システムはこれを構成するアーキテクチャの要素を定義した後、各要素のコンポーネントとそれが含む機能を定義した。またこのシステムが担うべき処理がどの程度実行可能かを検討した。