著者
石井 英一 中川 光弘 齋藤 宏 山本 明彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.348-365, 2008-07-15 (Released:2009-03-25)
参考文献数
48
被引用文献数
9 6

北海道中央部の十勝三股盆地周辺に分布する火砕流および火山体を対象に露頭調査,記載岩石学的分析およびK-Ar年代測定を行った結果,降下火砕堆積物の層厚変化,火砕流の層厚・溶結度・上面高度の変化,噴出年代,本質岩片の斑晶鉱物組み合わせ・ガラス組成・鉱物化学組成から,従来それぞれの地域で異なる名称で呼ばれていた4つの火砕流(無加・芽登凝灰岩,屈足火砕流,黒雲母石英安山岩質軽石流)がすべて十勝三股盆地から噴出した同一の火砕流であることが分かった.我々は十勝三股盆地を十勝三股カルデラと呼び,上記4つの火砕流を十勝三股火砕流,先行した降下火砕堆積物を十勝三股降下火砕堆積物と呼ぶことを提唱する.十勝三股カルデラは約1 Maに総噴出量130 km3以上の大規模珪長質噴火によって形成された.その噴火は大規模なプリニー式噴火で始まり,その後に火砕流が発生し,当時の基盤地形に支配されて流下した.
著者
山本 明彦
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.215-225, 1989-06-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
22

最近の深発地震の研究から,西南日本において南海・駿河トラフに沿って沈み込むリフィリピン海プレートは,東海地方と紀伊半島で南に凸の等深発地震面を持ち,これらの境界ではcuspを形成していることが明らかになってきた.一方,濃尾平野から琵琶湖にかけての広い地域でブーゲ異常が負になり,特に強い負の領域が濃尾平野と琵琶湖周辺にあることは以前より注目されてきた.本論文では稠密重力データを最新の地震学的成果と結びつけ,東海~近畿地方におけるプレートの沈み込み帯での重力異常を調べた.地下深部構造とそこから期待されるブーゲ異常について細かく考察するために堆積物や海水の影響を取り去った.濃尾平野および近江盆地では,深層ボーリングデータにより基底までの深さと堆積層の密度を推定した.琵琶湖の湖水の影響についても湖底地形をコンタで与え,三次元タルワニ法で計算した.伊勢湾から太平洋にかけての海上・海底の重力データに対しては海底地形を与えて海水の補正を行なった.得られた修正ブーゲ異常図では琵琶湖付近に依然として負の領域が残り,その値は-40mGalに達することがわかった.この量をモホ面の起伏で説明すると中部山岳と同程度となる.この残差ブーゲ異常をフィリピン海プレートの沈み込みに関連づけて説明してみた.フィリピン海プレートの海洋地殻は玄武岩質のまま沈み込み,伊勢湾から若狭湾にかけて大陸地殻に接している.この海洋性地殻を含めたプレートの三次元モデルから計算したプレートの重力効果により,琵琶湖を中心とした負のブーゲ異常をうまく説明することができた.琵琶湖付近での残差ブーゲ異常はフィリピン海プレートの上部にある比較的軽い海洋地殻の浅いもぐりこみのために,見掛け上,地殻が厚くなることによって生ずると考えられる.これにより,(見掛け上)モホ面が深くなっていることも地殻底地震の震源面がせりあっていることもうまく説明できた.
著者
磯田 好弘 西沢 幸雄 山口 茂彦 平野 二郎 山本 明彦 沼田 光弘
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.923-928, 1993-11-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Various kinds of free fatty acid were examined on their antitumor activity against ascites tumor cells, Survival days of mice after administrations of free fatty acid were observed. From these data I.L.S. (Increase of life-span) was culcurated and used as a parameter of Antitumor activity. Effective fatty acids against Sarcoma-180 were as follows : Pentadecanoic acid in saturated fatty acid series of carbon number 6 to 24, oleic acid in mono-unsaturated fatty acid series, and α-linolenic and docosahexaenoic acids in poly-unsaturated fatty acid series.The most effective fatty acid in our antitumor activity research is (hydroxy phenyl) stearic acid.The mechanism on antitumor activity of free fatty acid is not made clear sufficiently but it was suggested that disorder of membrane caused by fatty acids is responsible for their antitumor effect.
著者
山本 明彦 山本 百合子
雑誌
日本眼科紀要 = Folia ophthalmologica Japonica (ISSN:00155667)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1148-1152, 2000-12-28
参考文献数
2
被引用文献数
4
著者
足立 守 吉田 英一 山口 靖 鈴木 和博 志知 龍一 山本 明彦 竹内 誠 束田 和弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

数多くの断層により"破砕帯列島"となっている日本列島において、人口密集地の都市部は、家屋、道路、田畑等で覆われているため、地下構造を推定することは容易ではなく、地下構造に応じた地震動対策を立てることは難しい。こうした問題をクリアするために、稠密な重力探査結果に地表地質データ、ボーリングデータ、および地質リモートセンシングデータを組み合わせて地下構造解析を行い、断層のずれの量や破砕帯の規模を推定する研究を行った。主要な成果は以下の通りである。・従来の西南日本重力データベースに新たな重力データを加えて、国土基礎情報としての「日本列島重力アトラス-西南日本および中央日本」(山本明彦・志知龍一編、2004、東京大学出版会)を出版した。・人口密集地の名古屋市とその周辺地域において、1328の地点において新たな重力測定を行い、既存の温泉ボーリングデータ等と組み合わせて、詳細な地下構造解析を行った。その結果、北北西-南南東の枇杷島-熱田断層および東西の熱田-日進断層による基盤岩の垂直変位量が、それぞれ、約550mおよび約350mであることを明らかにした。・岐阜県高山南方の宮盆地において稠密な重力測定、地質調査、リニアメント解析を行った結果、宮盆地には北東-南西方向に延びる著しい負の重力異常域が存在し、2本の横ずれ断層に挟まれたプルアパート・ベイスンとして形成されたことを明らかにした。・阿寺断層地域の花崗岩中に発達する破砕帯の詳細な調査を行い、破砕帯の生成環境と形成プロセスについて明らかにした。