著者
下方 征 斎藤 万寿吉 入澤 亮吉 坪井 良治
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.2371-2374, 2009-11-20 (Released:2014-11-28)

2003年11月から2007年10月までの4年間に東京医科大学病院皮膚科を受診した肛門部尖圭コンジローマ患者55症例を検討した.男性53例,女性2例.発症平均年齢は31歳であった.発症部位では肛門周囲病変と肛門管病変の合併が27例(49%)と最も多く,肛門周囲のみ23例(42%),肛門管病変のみ5例(9%)であった.また,55例中HIV感染患者は29例(53%)であり,非感染患者は18例(32%),未検者は8例(15%)であった.治療方法としては電気焼灼術を中心に冷凍凝固術,5-FU外用などを併用したが,完治に至った36名の平均治療期間は8.4カ月であり,19名(34%)は治療を自己中断していた.肛門部尖圭コンジローマはHIV感染を疑う疾患の一つであり,また治療期間が長くなるので十分な経過観察が必要である.
著者
宮倉 崇 大越 加奈恵 水上 潤哉 室 繭子 山本 真実 荒井 佳恵 永井 彩子 入澤 亮吉 山崎 正視 坪井 良治
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.213-219, 2008-02-20 (Released:2014-12-03)

2005年末のフィナステリド(プロペシア®)の発売以来,東京医科大学病院皮膚科では2006年11月までに449名の患者が内服治療を受けている.初診時に男性型脱毛症の病型分類と患者の体毛の濃さを診察し,あわせて家族歴,環境因子,現在までの治療,内服薬への期待などについてアンケート調査を行った.また,6カ月以上内服した症例については,使用前の臨床写真と比較して有効性を判定した.これらの調査の結果,受診患者のNorwood-Hamilton分類は軽症のII型が43%,III型が17%と両者で約半数を占め,重症のVI型,VII型は10%以下であった.有効性の判定では,「やや改善」以上は内服半年後で66%であった.髭,胸毛,四肢など体毛同士の比較では,その他の体毛と比べて髭,下肢が濃い傾向が認められた.家族歴では患者の父親に男性型脱毛症があるのが68%で,祖父は44%であった.また,内服脱落例は全体の17%であり,受診時年齢,家族歴,飲酒の有無が脱落症例と関連が認められた.内服経過中に重大な副作用を生じた症例はなく,服用中止は1例であった.