著者
水田 拓道 植屋 清見 日丸 哲也 永田 晟 山本 高司
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.101-107, 1975-09-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
8

目的に応じたサウナ入浴をするための一つの条件として, サウナ入浴時間が生体におよぼす影響というかたちで, 主に運動機能的な面からサウナ入浴前後, および入浴中の変化について比較検討した。本実験の結果からサウナの効果的利用法について次のような示唆が得られた。1.アンケート調査の結果, サウナ入浴時間においては5分単位の入浴を繰返している者が最とも多く60%余りをしめていた。また, 95%の者がなんらかの形で冷水浴を併用していた。2.全身反応時間, 膝蓋腱反射閾値, 垂直跳びにおけるジャンプパワー等, 筋神経系の関係する機能においては, 5分入浴, 1分冷水浴で3回繰返し入浴法が, 入浴前に比べてよい成績を示し効果的であることがわかった。このことから, 経験的に得た5分単位の入浴法が, 疲労回復, 気分転換等に効果的であることが裏付けられた。3.血圧, 心拍数, 皮膚温の変化には設定パターンによる著明な差異は認められなかった。しかし, いずれのパターンにおいても循環機能への有効な剌激として考察され, 長期にわたる利用によって環境温の変化に対する適応能を高める効果が期待される。4.サウナ入浴中の酸素摂取量は安静時に比して, パターン (1) が23.2%, パターン (2) が31.6%れぞれ増加した。エネルギー代謝促進の面からは少し長い入浴時間が必要と考えられる。
著者
水田 拓道 植屋 清見 日丸 哲也 永田 晟 山本 高司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.100-107, 1975-09-01
被引用文献数
1

目的に応じたサウナ入浴をするための一つの条件として,サウナ入浴時間が生体におよぼす影響というかたちで,主に運動機能的な面からサウナ入浴前後,および入浴中の変化について比較検討した。本実験の結果からサウナの効果的利用法について次のような示唆が得られた。1. アンケート調査の結果,サウナ入浴時間においては5分単位の入浴を繰返している者が最とも多く60%余りをしめていた。また,95%の者がなんらかの形で冷水浴を併用していた。2. 全身反応時問,膝蓋腱反射閾値,垂直跳ぴにおけるジャンプパワー等,筋神経系の関係する機能においては,5分入浴,1分冷水浴で3回繰返し入浴法が,入浴前に比べてよい成緒を示し効果的であることがわかった。このことから,経験的に得た5分単位の入浴法が,疲労回復,気分転換等に効果的であることが裏付けられた。3. 血圧,心拍数,皮膚温の変化には設定パターンによる著明な差異は認められなかった。しかし,いずれのパターンにおいても循環機能への有効な刺激として考察され,長期にわたる利用によって環境温の変化に対する適応能を高める効果が期待される。4. サウナ入浴中の酸素摂取量は安静時に比して,パターン(1)が23.2%,パターン(2)が31.6%それぞれ増加した。エネルギー代謝促進の面からは少し長い入浴時間が必要と考えられる。
著者
西永 英司 内山 千代子 牧 利一 斉藤 浩一 深澤 哲 鈴木 苗穂 山本 高司 村越 倫明 大寺 基靖 福田 功 大久保 章男 冨士谷 盛興 千田 彰
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.321-330, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
36

目的 : 唾液による総合的な口腔検査法の確立を目指し, う蝕・歯周病・口腔清潔度に関する7項目の唾液因子 ([う蝕関連] う蝕原性菌, pH, 酸緩衝能, [歯周病関連] 潜血, 白血球, タンパク質, [口腔清潔度関連] アンモニア) を5分間で測定できる唾液検査システム (AL-55) を開発した. 著者らは前報において, 一般的な口腔内の臨床検査結果と, AL-55で測定した7項目の唾液因子の検査結果との相関を解析し, AL-55による検査が口腔内の状態把握に有用であることをすでに明らかにした.  AL-55の最大の特徴は, 7項目の唾液因子について, 試験紙の色調変化を反射率として一括して検出できる多項目検査という点にあるが, これら個々の唾液因子においては, 従来より培養法・電極法・酵素法などの一般的な分析法が確立されている.  本研究では, AL-55の臨床応用に際し, 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較することにより, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性について検討した.  方法 : 前報における研究協力者231名から, 蒸留水3mlを口に含み, 10秒間軽く洗口した後の吐出液を採取し, AL-55の試験紙に10μlずつ点着, 1分および5分後に反射率を測定した. 従来の分析法については, う蝕原性菌は培養法, pHおよび酸緩衝能はpH電極法, 潜血および白血球はラテックス免疫凝集比濁法, タンパク質はピロガロールレッド法, アンモニアはグルタミン酸脱水素酵素法を用いて測定した.  従来の分析法とAL-55による測定結果の相関について, Pearsonの相関係数検定を用いて検討し, 有意水準をα=0.01とした. また, 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率を検討した.  結果 : 従来の分析法とAL-55による測定結果との相関係数rは, う蝕原性菌が0.59, pHが−0.74, 酸緩衝能が−0.86, 潜血が−0.74, 白血球が−0.67, タンパク質が−0.75, アンモニアが−0.89 (7項目ともにp<0.01) で, 中等度~高い相関が認められた. 従来の分析法およびAL-55の測定結果を3段階に層別した際の一致率は, う蝕原性菌が70%, pHが82%, 酸緩衝能が73%, 潜血が71%, 白血球が72%, タンパク質が84%, アンモニアが90%であった.  結論 : 従来の分析法とAL-55による測定結果を比較した結果, 両者に高い相関を確認するとともに, 両者の測定結果を3段階に層別した際には, 70~90%の高い一致率を示したことから, 従来の分析法に対するAL-55の測定値の妥当性および信頼性が明らかとなった.
著者
川合 悟 生田 香明 山本 高司
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.513-520, 2001-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
18

拇指および指示指で小物体を摘み上げる運動において, 視覚から得られる物体の大きさ情報が摘み力および持ち上げ力の発揮プログラムにおよぼす影響について検討した.(1) 視覚から得られる物体の大きさに応じて, 持ち上げ時に発揮されるGrip ForceおよびLoad Forceはスケールされた.このことは力発揮プログラムの予測的制御変数として物体の大きさ情報が利用されていると推察された.(2) 大きさ情報が遮断されると, いずれの大きさの箱に対しても発揮される力は大きな箱を持ち上げる際に発揮される力の方へ変化した.このことは大きさ情報が, 最も大きな箱に対して発揮される力を基準として, それより小さな箱に対してより小さな力を発揮するように作用した結果と推察された.本研究の一部は, 帝塚山学術研究助成金および文部省科学研究費 (基礎研究 (C) 11680067) により行われた.
著者
山本 高司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-24, 1979-03-01

空港貨物取扱業務に従事する某社の男子現業員12名(26.7±6.2才)を対象とし,作業前,作業半ば,および作業後における直立時の動揺(postural sway)を,荷重センサーと支持板からなる動揺測定装置を用いて記録した。測定は第1日目,2日目,3日目と連続して行なわれた。その結果,次の事柄が明らかとなった。第1日目においては,開眼の場合,作業前値を100とした時に,作業半ばおよび作業後では123,125であり,閉眼の場合は,順に,100,116,113であった。同様にして,第2日目の開眼の場合は,順に,100,121,138であり,閉眼の場合は100,130,153であった。第3日目の徹夜作業においては,開眼の場合,順に,100,125,147であり,閉眼では100,101,123であった。したがって,いずれの日においても直立時の動揺は,作業時間の経過と共に増加の傾向を示した。t検定の結果,これらの増加は5〜0.1%の危険率で有意であった。一般に,直立時動揺の変動をもたらす要因としては種々のものがあげられるが,本研究における動揺の増加の主要な原因としては,作業自体に伴う疲労によって姿勢調節能が一時的に減弱したことが考えられる。