著者
正木 仁 岡野 由利 藤井 政志 渥美 隆正 左近 健一 鈴木 一成 手塚 正
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.139-145, 1987-09-30 (Released:2010-08-06)
参考文献数
2

In considering the effect of cosmetics, the moisturizing effect on the skin is most important.This consists of two components, one being the occlusivity which suppress water evaporation, and the other is water holding capacity. A new method for measuring the water evaporation rate (WER) has been developed by us. The present study was carried out in order to clarify the following: 1) The relationship between WER through the skin and skin condition. 2) The factors which determine occlusivity. In conclusion, it was recognized that the morphology of the skin surface become fine with decreasing WER and it was clarified that occlusivity could be explained in terms of lnorganic organic balance (10B), visvosity and water holding capacity.
著者
手塚 正 方 甘棠 山村 達郎 正木 仁 左近 健一 鈴木 一成
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.153-156, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

我々がすでに開発した簡易経表皮水分蒸散計Noevir-Evaを用いて種々の皮膚疾患の経表皮水分蒸散量 (TEWL) を15-18℃ で測定した。老人性乾皮症ではTEWL値は対照老人の2.4倍, 乾癬及びアトピー性皮膚炎皮疹部のTEWL値はそれぞれ正常対照の12.9倍, 11倍を示した。また, 乾癬無疹部のTEWL値は正常対照のそれよりむしろ低値であったが, 対照的にアトピー性皮膚炎無疹部皮膚のTEWL値は正常対照の1.5倍を示した。ケロイド皮膚ではTEWL値は正常人の約4倍を示した。
著者
岡野 由利 岡本 存生 山村 達郎 正木 仁
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.411-416, 1996-03-15 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5

毛髪の成長は多くの要因によって複雑に制御されている。男性型脱毛症の原因のひとつとして男性ホルモンの作用が挙げられる。男性ホルモンであるテストステロンは5α-ReductaseによってDHTに変換され, さらにDHTがレセプターに結合することによってホルモン作用を発揮する。そこで我々は80種類の植物抽出液を調整し, この中から5α-Reductase阻害作用を示す成分のスクリーニングを行った。その結果ホップ抽出液が高い阻害作用を示すことがわかった。さらに, ホップ抽出液には培養毛根由来細胞の増殖を促進する作用が認められた。この抽出液を用いてマウスを用いた育毛養毛試験を行ったところ, ミノキシジルと同等の発毛促進作用を示した。また, ヒト頭髪に用いた場合には毛髪成長速度を促進する作用があることも認められた。長期使用試験においても良好な結果が得られたことから, ホップ抽出液は有効な育毛養毛用化粧品原料であることが示された。
著者
正木 仁 土井 萌子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.3, pp.371-379, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

Sacran, a large molecular-weight polysaccharide isolated from algae, is composed of 11 types of saccharides, including sulfate and carboxylic acid groups. Because of its unique structure, sacran can form a gel-like sheet in the presence of polyols such as 1,3-butanediol. In addition, those sacran gel-like sheets prevent the evaporation of water and the penetration of chemicals. The results of our previous study suggested that sacran can work as an artificial barrier against external stimuli such as air pollutants which increase the stress on humans. Topically applied sacran was localized at the surface of reconstructed human epidermal equivalents. Those results suggested that sacran inhibits excessive water evaporation from the skin and protects against environmental stimuli by forming an artificial barrier at the skin surface. Then, in a clinical study, we examined the activity of sacran in improving skin problems caused by an impaired epidermal barrier. First, we conducted a use test on a serum formulated with sacran on human volunteers who had impaired skin barrier function. The results showed that sacran provided excellent benefits to improve the maturation of corneocytes. These results suggest that sacran could play an important role in providing optimal skin conditions for keratinocytes to progress through their differentiation.
著者
山下 由貴 大林 恵 岡野 由利 正木 仁
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.216-222, 2010-09-20 (Released:2012-09-25)
参考文献数
14
被引用文献数
7 2

近年,目立つ毛穴に対するケアは市場の注目を集めており,毛穴開大のメカニズムの解明とその抑制方法の開発は化粧品技術者にとって大きな課題となっている。本研究は,目視による毛穴開大の印象を表すパラメーターを確定することと,毛穴開大のメカニズムに対する酸化ストレスの関与を明らかにすることを目的とした。はじめに,われわれは毛穴が目立つと認識される毛穴面積を0.04mm2 以上と定義した。また,測定野あたりの毛穴総面積,毛穴平均面積および開大毛穴個数を毛穴パラメーターとして算出し,これらが目視による毛穴開大の印象と相関を有し,さらに毛穴総面積は年齢とも相関を有することを明らかにした。次に,毛穴開大のメカニズムを明らかにするために,角層より得られた有核細胞率,多重剥離度,カタラーゼ活性およびタンパクのカルボニル化レベル (SCCP) の各角層パラメーターと毛穴総面積との相関について調査した。毛穴周辺部全体について解析を行った結果では,カタラーゼ活性を除くいずれのパラメーターも毛穴総面積との相関は認められなかった。しかし,開大した毛穴は下頬と比較して上頬に多く認められること,また有核細胞やSCCP による強い蛍光は毛穴開口部周辺に局在していることが確認されたため,上頬の値を下頬の値で標準化した各角層パラメーター比を算出し解析を行った。その結果,SCCP 比およびカタラーゼ比は毛穴総面積と有意な相関を示した。これらの結果より,毛穴開大のひとつの要素として酸化ストレスが関与している可能性が考えられた。
著者
角田 聖 鈴木 千裕 佐川 由葵 水谷 多恵子 正木 仁
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.204-210, 2015 (Released:2017-03-21)
参考文献数
14

太陽からの紫外線が未成熟な皮膚老化を促進することはよく知られている。このような皮膚老化を一般的には光老化とよぶ。近年, 化粧品会社は光老化皮膚の進行リスクを抑えるため日常の日焼け止め化粧料の使用を推薦している。一般的に, 日焼け止め効果は酸化チタン, 酸化亜鉛のようなUV散乱剤と有機系のUV吸収剤によって発揮される。UV吸収剤の中でoctyl methoxycinnamate(OMC)と4-tert-butyl-4'-methoxydibenzoylmethane(BMDBM)が汎用されており, また, 使用中に光劣化することが知られている。UV吸収剤を皮膚へ塗布し太陽光に曝露されたときに生じる光劣化は, 光防御効果を低下させ, その結果, 紫外線紅斑の生成や光老化皮膚の形成を加速する。このようなUV吸収剤の光劣化を抑制するために皮膚へのUV吸収剤を塗布したような薄膜状態での光劣化挙動を理解することは重要なことである。本研究は, 上記のような現象に対する解決の糸口を見出すことを目的として実施した。UV吸収剤の中で, BMDBMはもっとも光劣化の度合いが高くなることが見出された。さらに, BMDBMの光劣化の程度は油剤の極性と負の相関を示した。この傾向はBMDBMを油剤に溶解した単純系およびシリコーン油抜きのW/O製剤系で確認された。さらに, BMDBMとUVB吸収剤を組み合わせたときの光劣化は, OMCとの組合せでUVA領域とUVB領域は同程度の光劣化の程度を示したが, 2-hydroxy-4-methoxybenzophenone(HMBP)あるいはethylhexyl triazone(EHT)との組合せでは, UVB領域に比較してUVA領域の光劣化の程度が強く確認された。また, 光安定化剤であるoctcrylene(OCR)とmethoxyoctocrylene(MOCR)はUV吸収剤と同量以上の濃度が光劣化を抑制するためには必要であることが確認された。最後に, BMDBMの光劣化には部分的にラジカル形成が関与している可能性が示唆された。
著者
宮本 敬子 李 金華 橋本 悟 正木 仁
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.41-45, 2012-03-20 (Released:2014-03-20)
参考文献数
6

近年,抗菌作用を有する成分に対する市場ニーズは高く,その開発が望まれている。本研究では,4種類の構造の異なるジメチロールアルカン酸アルキルエステルを合成し,その抗菌力について検討を行った。さらに,これら化合物の水溶液中における表面張力測定を行い,界面活性と抗菌作用とを比較した。その結果,ジメチロールプロピオン酸ヘキシルエステルに高い抗菌作用が認められた。また表面張力測定結果から,抗菌作用の高い成分は水溶液において界面への吸着傾向が高く,界面におけるパッキングが密であることが示唆された。抗菌力試験結果から算出した,抗菌パラメーターと界面活性パラメーターとの間に高い正の相関性が認められ,界面活性パラメーターが抗菌成分のスクリーニングパラメーターになり得る可能性が示唆された。