著者
円谷 悦造 太田 美智男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.28-36, 1998-01-15 (Released:2011-09-20)

大腸菌0157による集団食中毒が発生し日本中が大騒ぎとなったのは記憶に新しい。今なお発症が続いているが, 原因となった食品の特定が不明な場合も多く, 人々の不安感をつのらせている。当然のことながら食品産業界ではその汚染防止に最大の努力を傾注している。このような状況の中で, 醸造調味料である食酢に抗菌作用が認められるとの報告は朗報である。研究に携わった著者に, まず大腸菌0157とは何かを解説していただいた。次号では, 引き続き食酢の0157に対する抗菌作用について解説していただく。
著者
太田 美智男 山田 景子 岡本 陽
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

1.黄色ブドウ球菌biofilm形成は菌株によって発現が異なる。Biofilm高度産性株において、ica遺伝子ノックアウト、プロテアーゼ処理、DNase処理のいずれでもbiofilm産生は大幅に低下した。したがってbiofilm高度産生にはica産物であるPIAならびに蛋白、DNAが関与していた。icaノックアウト株ではプロテアーゼ処理、DNase処理の影響はほとんど見られなかった。したがってノックアウト株が形成する少量biofilm形成はc-di-GMPの影響を受けるが、蛋白、DNAが関与せず、恐らく他の多糖体のみによって形成される。このことはc-di-GMPが主に多糖体合成調節に関与することを示唆する。2.A群連鎖球菌はc-di-GMP生合成を行うGGDEFモチーフを持つ蛋白をゲノム配列から見いだすことができない。これは他の連鎖球菌においても同様である。しかし我々はA群連鎖球菌の細胞内にc-di-GMPを検出することに成功した。ゲノム配列を再検索したところ、GGDQVモチーフを持つ蛋白が一種類見いだされた。この蛋白はPAS,DHHドメインを有し、c-di-GMP生合成に関与することが予想された。この蛋白の遺伝子をノックアウトすると、biofilm形成が促進された。またc-di-GMPの産生が失われた。したがってこの蛋白はc-di-GMPの合成を行うことが証明された。GGDQV蛋白はGGDEF蛋白を持たない多くのグラム陽性菌などにおいて広く見いだされた。したがってc-di-GMPは細菌におけるbiofilm合成に関与する普遍的なシグナル分子であることが明らかとなった。
著者
円谷 悦造 浅井 美都 太田 美智男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.101-106, 1998-04-10
被引用文献数
2 1

食酢を用いた調理における, 食中毒原因菌である<i>Escherichia coli</i> O157: H7 NGY-10, <i>Salmonella</i> Enteritidis IID 604, <i>Vibrio parahaemolyticus</i> IFO 12711および <i>Staphylococcus aureus</i> IFO 3060の挙動を調べ, 食酢が細菌性食中毒の予防に有効か否かを検証した。<br>食酢を調味に使用する調理食品では, 食酢使用量の多い, 酢漬け類, 紅白なます, サワードリンク等では, <i>E. coli</i> O157: H7 NGY-10に対する殺菌効果が, 食酢使用量の比較的少ない, 酢の物類, すし飯等では静菌効果が確認された。食酢を調味には使用しないが, 刺身類や茹で蛸を食酢に短時間浸漬すると, 供試菌株に対する静菌効果ないしは殺菌効果が発現し, 保存性が高まった。炊飯前に, 食味に影響しない量の食酢を添加すると, 冷却後の米飯に供試菌株を接種しても静菌された。冷凍魚介類を食酢希釈液中で解凍すると, その後の穏和な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。また, ハンバーグステーキに食酢を適量添加して焼くと, 中心温度が65℃という不十分な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。<br>以上の結果より, 調理の場面での食酢の細菌性食中毒防止効果が確認された。
著者
早川 芳宏 塚本 眞幸 太田 美智男 山田 景子
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

環状ジグアニル酸(c-di-GMP)および人工修修飾体の(1)生理活性探索と(2)生理活性発現機構の解明研究を行い、(1)については、c-di-GMP類は、肺炎双球菌、Ehrlichia chaffeensis菌、Anaplasma phagocytophilum菌、Borrelia brugdoferi菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感染力を、主に免疫活性化作用によって低下させることを発見、(2)については、c-di-GMP類が示すいくつかの生理活性の中でも最も重要な免疫活性化の機能発現機構解明の鍵となる、「免疫は、c-di-GMPが哺乳動物に存在する免疫タンパク"stimulator of interferon genes(STING)"と結合する事によって発現される」という証拠を発見した。