著者
村上 聖一 山田 潔
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2-17, 2019 (Released:2019-03-20)

シリーズ「証言を基に読みとく放送制度」では、これまで十分に明らかになっていない放送制度の形成過程や制度と経営との関係について、証言を基に探究を進める。1回目は、行政法研究者として長年にわたり放送法制の体系的な研究にあたった塩野宏・東京大学名誉教授の証言である。 戦後、民放の発達とともに放送制度が抱える問題点が認識されるようになる中、塩野氏はNHKの放送法制研究会(1963年~)に加わったことで本格的に放送法の研究を始めた。証言からは、当時、民放が放送制度の見直しを強く求め、事業免許導入や受信料の使途の見直しが焦点になっていたことがわかる。特に受信料制度の行方についてはNHKが危機感を持ち、制度について理論的な検討を行う必要に迫られていた。こうした中で、NHKの考え方をまとめていく上で重要な機能を果たしたのが放送法制研究会であり、その中では法律の専門家、とりわけ行政法研究者が主導的な役割を果たしていたことが証言から明らかになった。そして、NHK・民放の二元体制を明確にすることや、受信料の使途をNHKの業務に限ることなど、研究会の提言の多くはその後の郵政省による制度の見直しの検討にも反映された。今回の証言は、塩野氏にとって鮮明な印象を与えた1960年代の議論が中心だが、それはこの時期にきわめて重要な検討がなされたことを意味している。この時期の議論がその後の日本の放送制度の枠組みに大きな影響を与えたことが証言からは浮かび上がる。
著者
山田 潔 河村 誠
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.36-55, 2022 (Released:2022-02-20)

障害者とメディアの関係性について、「コロナ禍」と「パラリンピック」をテーマに、2回に分けて取りあげる。いずれも、自分に関わる事として障害者の関心が高いうえ、社会全体のあり方にもつながる事柄である。 前編である今回は、2021年3月に実施した「コロナ禍での障害者の情報接触に関するインターネット調査」を軸に、コロナ禍のもと、障害者がどのように暮らし、どんな情報を求め、取得をしたのかを探った。あわせて、情報へのアクセシビリティーサービスや番組の受け止め方などについて考察した。その結果、『暮らし』に関しては、在宅勤務の増加とともに、失業など経済的に困窮する人が少なからず存在すること。また、マスク着用や直接触れられないことで周囲の情報の得ることに困難を感じ悩む姿が浮かび上がった。次に、「情報の取得」では、在宅時間が長くなり、テレビ視聴が増えた人がいる一方で、内容面に満足できずにかえってテレビを見なくなっている人も存在した。また、聴覚障害者で、字幕などのアクセシビリティーの確保を特に重視していること。「予防方法」や「医療機関のひっ迫」などの情報を、障害者はより必要としていることなどが分かった。こうした障害者それぞれの本音について考察し、後編の「パラリンピック放送の受け止めに関する調査」につなげていく。
著者
山田 潔 大野 敏明
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.58-82, 2018 (Released:2018-12-20)
被引用文献数
1

共生社会実現の起爆剤として期待されるパラリンピック。その放送は、障害者にどう視聴され、受け止められているのであろうか。NHK放送文化研究所では2018年3月~6月にかけ、障害者を対象にしたWEB調査を実施。パラリンピック放送の視聴実態、放送から受けた影響、字幕放送・解説放送・手話放送といった「ユニバーサル放送」の評価などを聞いた。調査は、知的障害、精神障害等を含む障害者全般に対して行ったが、本論考ではパラリンピックの主たる参加対象である肢体不自由、ユニバーサル放送の主たるサービス対象である視覚障害、聴覚障害の3障害に該当する「身体障害者」の調査結果を抜粋。自由回答やインタビューから得られた“生の声”と合わせ、東京パラリンピックのコンテンツ制作や、共生社会実現に向けた、メディアのあり方への示唆を探った。調査結果は、回答者がWEBでの調査に回答できる人に限られるなど、代表性があるものとは言えない。しかし、パラリンピックの放送を巡る同様の調査に先行事例がないことから、放送事業者である我々にとっては有意義なものとなった。特に、障害者のメディアおよびユニバーサル放送の利用や評価は、デジタルメディアの活用も含め、障害者の情報アクセシビリティ向上に向けての参考となり、パラリンピック放送に対する賛否両論の多様な意見は、メディアが共生社会実現に寄与していく上で、示唆に富んだものであった。
著者
山田 潔
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.814, pp.24-35, 2008-08-01
著者
西田 哲也 江田 昌弘 嶋田 浩一 山田 潔 伊藤 公一 村井 正大
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.692-697, 1993-12-28
被引用文献数
34 3

本実験の目的は,アクア酸化水(OX水)のプラーク形成抑制効果について検討することである。日本大学歯学部学生および大学院生,歯周病科医局員計13名(男子8名,女子5名)を被検者とした。ヒト第三大臼歯より大きさ5×5×1mmに切り出した象牙質試験片を埋入した口腔内保持装置を作製した。実験期間は7日間とし,装置を口腔内に装着しOX水で,朝夕(8:00, 17:00)1日2回(1回30秒)洗浄を行った。対照として,0.2%クロルへキシジン水溶液と生理食塩液を用いた。一試験片上に形成されたプラークの様相を,走査型電子顕微鏡で観察を行った。その結果,OX水で象牙質片を洗浄することで,0.2%クロルヘキシジン水溶液と比較して若干劣るものの,生理食塩液で洗浄した場合よりも明らかにプラーク形成量が抑制され,かつ初期プラーク形成における構成細菌叢に対して影響があった。このことから,OX水が化学的プラークコントロールの一方法として臨床応用できることが示唆された。