著者
岡 綾子 野津 哲子
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.32-39, 1973-03-28

大和朝廷の勢力は5.6世紀頃から増大し用明天皇の妹の推古天皇が即位され,聖徳太子の摂政となった。皇室勢力を基礎に統一国家の理念を確立せんとされたのが太子である。太子の事業は冠位の制定で勲功に従って人々に冠を与え,冠の色の相違によって位階の上下を示すようにしたものであり,これまでの姓が原則として氏に属し,世襲を本位としたのに対し冠位は個人に属し一身限り,門閥打破,人才登庸の意義の深いものであった。しかし位を12階に分け,これに6個の名称をあたえ大小を冠した。冠は朝廷出仕の際のかぶりものであり,公家の大小の儀礼行事,神事祭礼の奉仕にも用いられた。唐制の〓頭を継承した養老の衣服令所載の頭巾と呼ぶ4脚のかぶりものから変化したものである。地質に羅(ら)・紗(しや)などの薄物を用いたので,かぶってから髻(もとどり)との当たりをやわらげるために前に巾子(こじ)とよぶ壺(つぼ)を設け,これに髻を納めてかぶり,後部の2脚で引締め,結び余りを長く垂下して燕尾(えんび)といい,これが形式化して纓(えい)となった。また他の2脚は左右にあってかぶってから頭上にとり,巾子の前方で結んだがこれも面影を伝えて上緒(あげお)と後綱(うしろづな)になった。
著者
岡 綾子 野津 哲子 Ayako OKA Tetsuko NOTSU
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.32-39, 1973-03-28

大和朝廷の勢力は5.6世紀頃から増大し用明天皇の妹の推古天皇が即位され,聖徳太子の摂政となった。皇室勢力を基礎に統一国家の理念を確立せんとされたのが太子である。太子の事業は冠位の制定で勲功に従って人々に冠を与え,冠の色の相違によって位階の上下を示すようにしたものであり,これまでの姓が原則として氏に属し,世襲を本位としたのに対し冠位は個人に属し一身限り,門閥打破,人才登庸の意義の深いものであった。しかし位を12階に分け,これに6個の名称をあたえ大小を冠した。冠は朝廷出仕の際のかぶりものであり,公家の大小の儀礼行事,神事祭礼の奉仕にも用いられた。唐制の〓頭を継承した養老の衣服令所載の頭巾と呼ぶ4脚のかぶりものから変化したものである。地質に羅(ら)・紗(しや)などの薄物を用いたので,かぶってから髻(もとどり)との当たりをやわらげるために前に巾子(こじ)とよぶ壺(つぼ)を設け,これに髻を納めてかぶり,後部の2脚で引締め,結び余りを長く垂下して燕尾(えんび)といい,これが形式化して纓(えい)となった。また他の2脚は左右にあってかぶってから頭上にとり,巾子の前方で結んだがこれも面影を伝えて上緒(あげお)と後綱(うしろづな)になった。
著者
國谷 知史 岡 綾子 菅沼 圭輔 真水 康樹
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本共同研究では、法学・政治学・農業経済学の諸領域において、農村の土地財産を巡る諸関係に関する制度・理論・実態の基本問題の発見と整理、およびいくつかの具体的問題の解明を進めた。法学領域では、重要な立法(農村土地請負法、農業法および物権法等)が相継ぎ、テーマに関する法整備が進んだことから、立法面・法制面での動きをフォローしながら法理論的問題の発見と整理、考察をおこなった。政治学領域では、基層といわれる「郷鎮-村」レベルの権力関係とそれを支えている構造をできるだけ詳細に明らかにするという課題を設定し、北京市に対象を絞って制度および実態の解明をおこなった。農業経済学領域では、農民の家族経営と農地の請負経営権の分配に関する研究を進めた。そこでの主題は、市場経済化を目指す中国において、農地(または耕地)という農業の生産要素が、他の生産要素(資本)あるいは他の土地(都市の工商業用地や住宅地)と同じように市場で取引される財となりえるのか、ということであった。以上のとおり各領域で本共同研究は進められたが、その結果、農村土地財産権に関する契約と権利構成の基本的内容、末端行政組織の形成プロセス、権利分配に関する集団の意思決定、に関する問題を明らかにすることができた。また、制度・理論・実態の諸層で矛盾が生じ、不安定な状況が生まれ、解決すべき問題が山積していることを確認することができた。その上で、市場経済への移行ないしは市民社会の形成を進めている中国について法学・政治学・経済学の共同研究を進めるにあたっては、「団体と団体構成員」または「集団と個人・家族」という分析概念を用いるのが有効であり、これらの概念で中国農村の土地財産を巡る諸関係を分析していくことが今後の課題である、という結論が導き出された。