- 著者
-
岡崎 亮
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.96, no.4, pp.742-747, 2007 (Released:2012-08-02)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
5
7
ビタミンD充足度の最良の指標は血中25(OH)D濃度である.現在,基準値は,概ね10~70ng/mlである.通常,25(OH)D濃度が基準値以下の場合を,ビタミンD欠乏症とし,くる病・骨軟化症の原因となる病態である.近年,血中25(OH)D濃度が基準値範囲内でも低値傾向を示す場合,高率に副甲状腺ホルモン分泌の亢進,骨代謝回転の増加,転倒頻度の増加などがもたらされることが明らかになった.このような状態を,ビタミンD不足と呼ぶ.我々は,少なくとも血中25(OH)D濃度が,25ng/ml以上なければ,ビタミンD充足状態とは言えないと考えている.ビタミンD不足を回避するためには,日光曝露が重要だが,それが困難な場合には,現行のビタミンD摂取基準量(200 単位/日)では不十分であり,少なくとも400 単位/日の摂取が望まれる.