著者
平岡 久忠 滝川 一晴 筋野 隆 星 和人 松平 浩 中村 耕三 岡崎 裕司 平岡 久忠 滝川 一晴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究においてわれわれは先天性下腿偽関節症の偽関節部では、介在する線維性軟骨により骨の連続性が絶たれていること、骨・軟骨は多数のTRAP陽性、vitronectin receptor陽性の多核巨細胞、破骨細胞により浸食されていること、骨形態計測の手法を用いた結果、偽関節部では破骨細胞数および破骨細胞表面が成人の外傷性偽関節組織にくらべて約4倍に亢進していることを明らかにした。またさらに症例を重ねて、昨年来行っている偽関節組織に対する生化学的検討を続行しその再現性を確認した。手術時に切除した偽関節組織からmRNAを調整し、破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現をRT-PCR法を用いて調べた。その結果、先天性脛骨偽関節症では外傷性偽関節にくらべてランクリガンドの発現が亢進していることがわかった。同様の知見は抗ランクリガンド抗体を用いた免疫組織化学によっても確認した。以上の検討より先天性下腿偽関節症ではその偽関節部において破骨細胞形成のマスター分子であるランクリガンドの発現が亢進し、その結果破骨細胞形成が促進されていることが明らかとなった。これらの破骨細胞は骨・軟骨組織を浸食し正常な骨癒合を妨げていることが推測された。
著者
岡崎 裕之 布田 裕一 師玉 康成 荒井 研一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、形式的定理証明系Mizarとモデル検査器ProVerifを用いて、計算機援用による暗号システムの安全性形式的評価システムを開発した。Mizarでは暗号理論に関わる形式化数学ライブラリを開発した。本成果は確率、統計、関数解析、計算アルゴリズムや計算量等の計算機科学の基礎の形式化であるので、暗号理論以外にも応用できる。一方、ProVerifでは、基本的な暗号プロトコルのみならず、従来より抽象度が低くより現実のシステムや実装に近いモデルでの安全性検証手法を提案した。これにより暗号学的ハッシュ関数やブロック暗号の利用モード等の開発時の設計支援や形式的安全性検証を行うことが可能となった。
著者
岡崎 裕典
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.51-68, 2012-03-15 (Released:2019-09-01)
参考文献数
83
被引用文献数
1 1

海洋深層循環は,膨大な熱と二酸化炭素などの物質の輸送を担い,10年から1000年オーダーの気候変動に中心的な役割を果たしている。本稿では,最終氷期以降の海洋循環変化のなかで,最終退氷期に一時的に北大西洋に代わって北太平洋が深層循環の沈み込みの起点となったことを示し,その成立メカニズムと当時の気候に与えた影響を概説する。また,古海洋研究の重要課題である氷期炭素リザーバー探索に向けた今後の展望を述べる。
著者
藤岡 碧志 岡崎 裕之 鈴木 彦文
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-54, no.7, pp.1-7, 2021-07-02

日々の研究データを管理するためのシステムとして Nii が GakuninRDM というサービスの提供を開始した.GakuninRDM は一般的なオンラインストレージサービスをと同様に扱うことができ,バージョン管理や外部サービスとの連携も可能となっている.しかし,同サービスが掲げている「研究データ管理による研究推進と研究公正」を達成するためには機能が不十分であると考えた.そこで我々は外部サービスとして NextCloud を選択し,その上にレビュー機能・RDM ヘ登録するファイルヘの署名付与を行うカスタムアプリケーションを構築し,運用することで研究データの再利用と研究公正に有用か検討を行う.
著者
岡崎 裕之 紫村 彰吾 宮本 樹 渡邊 樹 布田 裕一 村上 恭通
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1_99-1_113, 2020-01-24 (Released:2020-02-22)

暗号技術は情報セキュリティを実現するための基盤要素である.暗号を専門とする研究者や技術者のみならずネットワークエンジニアや運用者等にとっても暗号技術に関する知識の習得は必須である.実際のシステムは,公開鍵暗号や電子署名等の複数の要素技術を組み合わせて構築する必要があるため,様々な攻撃について必要な対策を施しつつ安全性要件を満たすように実現しなければならない.しかしながら,システム構築を座学だけでは初学者に学ばせることは困難である.この課題を克服するために,報告者等は計算機援用による形式的暗号プロトコル安全性検証ツールを利用した暗号技術の基礎知識と利用方法を学習する教材を作成し,演習形式による授業を実践した.形式的暗号プロトコル安全性検証ツールの利用により,既存の教材では学習困難な実際の暗号技術の動作や攻撃を,学習者が設定した暗号システム上でシミュレーションしてインタラクティブに学ぶことが可能となった.本論文では,まず,実践した教育内容の概要とその成果を報告し,更に,現在進めている本教材を元とする CAI 教材開発方針の紹介と,その課題について報告する.
著者
半田 伸夫 岡崎 裕 伊藤 泰司 湯浅 義人 杉谷 義憲
出版者
The Japan Academy of Neurosonology
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.170-174, 2000-11-30 (Released:2010-10-14)
参考文献数
21
被引用文献数
5 3

The purpose of the study was to investigate the association between Ischemic stroke and the ultrasonographic (US) characterization of carotid plaque on the basis of our original work and of a review of the literature.Carotid plaque is known to be a reliable marker of Ischemic stroke and systemic atherosclerosis. There is much evidence from secondary prevention trials to indicate a direct relationship between the surface and internal US characterization of carotid plaque and stroke. Moreover, in the primary prevention of stroke, the Cardiovascular Health Study showed that the risk of incident stroke was associated with two US features, hypoechoic internal carotid arterial plaque and an estimated internal carotid arterial stenosis of 50%-100%, in asymptomatic adults aged 65 years. However, many studies that have compared the morphologic features of carotid plaque as revealed by both US studies and histology have shown a relatively low rate of detection of important features such as intraplaque hemorrhage. Furthermore, although severe carotid stenosis is associated with a higher risk of stroke events, the power of US to predict such events is limited by low incidence rates and low rate of progression.We conclude that US plaque characterization should be used together with other risk factors in prospective natural history studies that aim to identify a subgroup of patients at high risk of stroke.
著者
小野 百合 三沢 和史 工藤 守 岡崎 裕子 天日 和子 中川 昌一 近藤 光
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.343-346, 1987

The prevention of diabetic microangiopathy, especially retinopathy, is the last goal of treatment of diabetic patients. Retinopathy is found to progress following rapid control of blood glucose or surgical treatment. To investigate the deterioration of retinopathy, the changes of platelet aggregation induced by ADP, collagen, PAF and epinephrine, of the arachidonate cascade (TXB<sub>2</sub> and 6-keto PGF<sub>1α</sub>), and of blood viscosity were measured during and after surgical treatment or after rapid control of blood glucose. Blood was obtained from 22 diabetics with rapid control of blood glucose and from 11 diabetics undergoing surgical treatment.<br>Platelet aggregation induced by all aggregators was increased after rapid control of blood glucose and after surgical treatment, but decreased during operation. When platelet aggregation before surgical treatment was exaggerated, retinopathy tended to be worsened after surgical treatment. Concerning the arachidonate cascade, both TXB<sub>2</sub> and 6-keto PGF<sub>1α</sub> were increased and the TX/6-keto PGF<sub>1α</sub> ratio was decreased during operation.
著者
二宮 啓子 丸山 浩枝 宮内 環 岡崎 裕子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

生活習慣に関連した健康障害をもつ学童と親に自己管理技術を高める1年間の看護介入プログラムを実施し、学童の生活習慣に関する認識・行動・肥満度の改善への効果について検討することを目的に研究を行った。小学1〜6年生37名(男子17名、女子20名)と母親を対象に、子どもにはプログラム前後に自己効力感とソーシャルサポートの質問紙調査、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接調査を行った。一方、親にはプログラム前後に健康の定義、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接、または質問紙調査を行った。介入方法としては、面接調査時に自作のパンフレットを用いて生活改善の方法を指導した。その後、月1回放課後に2時間の生活改善プログラムを10回実施した。その結果、肥満度は介入1カ月後に有意に減少していた(t=4.09,p<0.001)が、その後上昇し、プログラム終了時には有意差は見られなかった。プログラム前後では、やせ1→0名、標準20→24名、軽度肥満9→5名、中等度肥満5→7名、高度月満2→1名に変化していた。自己効力感は、プログラム後に有意な増加は見られなかった。ソーシャルサポートは、親の得点がプログラム後に有意に増加する傾向が見られた(Z=-1.64,P=0.10)。プログラムの子どもへの効果として、「運動するようになった」「食事・おやつの量が減った」「栄養のバランスがよくなった」等の運動、食事行動の変化、「走ってもしんどくなくなった」「体重が減った」等の身体の変化、「低カロリーのおやつを選択」「体重測定をする」「自分の食べる量が分かる」「運動と食事のカロリー消費との関係を考える」等の健康の自己管理の認識の変化、「前向きになった」「決めた目標に向かって張れた」等の自己効力感の変化に加え、「親子の会話が増えた」が抽出された。本プログラムは肥満度の改善に対する短期・長期効果があると言えよう。