著者
藤崎 英一郎 太田 和夫 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.93, no.208, pp.7-21, 1993-08-30
被引用文献数
2

電気通信システムで選挙を行なえる、投票所を用いた電子無記名投票方式を提案する。本方式では、投票者は自分の投票内容が選挙の集計結果に正確に反映されていることを個人毎に確認でき、反映されていない時は、無記名性を保持したまま、第三者が納得できる公開手順で、異議を申し立てることが出来る。本方式は、投票所を利用した「電子投票システム研究会」提案の電子投票方式[1]の安全性を高めることができる。また、本方式は仕様が公開であり、かつプログラムバグや、選挙管理者のような内部の者による集計値の改ざん、水増しの不正も検出できるので、市民の総意が得られやすいと思われる。
著者
岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.101-106, 2000-02-25
被引用文献数
6

ネットワークを使って買い物をしたり商取引をする電子化が進展する中で, 決済・支払いをネットワーク経由で電子的に行う電子決済は, 利用者の利便性を向上させるだけでなく, ネットワーク上での新たなビジネスを創出するものとして注目されている.また, 商店における支払いやチケットにもICカードなどによる電子的な支払い手段が広まっている.電子マネーはこのような電子決済の一形態であると同時に電子決済の総称として用いられることもある.本稿では, 電子マネーを中心として消費者向けの電子決済の動向について解説する.
著者
太田 和夫 岡本 龍明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.55-68, 1994-01-15
参考文献数
28
被引用文献数
3

もっとも代表的な計算機のクラスである NP 問題に対して、最近、まったく新しい特徴づけが与えられ話題になっている。この理論について解説するとともに、近似問題への応用を述べる。
著者
岡本 龍明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.4_70-4_76, 2008-04-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12

盗聴されてもいい通信路を使って二つの参加者が安全に鍵を交換(共有)するための方法は「鍵交換」と呼ばれ,その研究から現代暗号が誕生した.本稿では,歴史上最初に発表された「鍵交換」であるDiffie-Hellman-Merkle(DHM) 鍵交換方式がどのように発展し,現代暗号理論の最先端においてどのように研究されているかを概観する.
著者
廣政 良 阿部 正幸 岡本 龍明
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.416-439, 2016 (Released:2016-12-25)
参考文献数
23

概要. RSA 仮定に最良帰着するランダムオラクルモデルで安全な署名方式を提案する.この方式は,同等の安全性を持つ既存の方式よりもランダムオラクルを用いる個数が少ない(最小)という利点がある.次に,どのような攻撃者に対しても,安全性を保ったままそのランダムオラクルを置き換えられるようなハッシュ関数が識別不可能性難読化器を用いて構成できることを示す.また,Coron の方式でも同様の結果を示す.
著者
岡本 龍明 太田 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.315-323, 1993-06-25
被引用文献数
12

本論文では,実際の現金や従来提案されている電子現金方式における問題点を解決する初めての理想的電子現金方式を提案する.ここで,理想的という意味は,利用者の匿名性(プライバシー)を保証した上で,不正使用を検出でき,更に支払い時の処理がオフラインでできると共に,1回発行された電子現金を額面の金額になるまで何回でも使うことができるといった特長をもつものである.本方式は,ICカード上において効率的な実現が可能である.例えば,額面金額に関係なく,1個の電子現金のデータサイズは,たかだか100バイトであり,Rabin暗号LSIの存在を仮定すれば,電子現金支払い時の処理時間は数秒程度である.本方式の安全性は,素因数分解の困難さに依存する.
著者
田中 圭介 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.613-617, 2002-08-01
参考文献数
9

量子計算機が実現された場合においても安全な公開鍵暗号(秘匿,ディジタル署名)を構築するために,暗号の新しいパラダイムである量子公開鍵暗号を提案する.このパラダイムにおいては,通信者は多項式時間量子チューリング機械であるとし,通信路は古典的であるとする.また,部分和問題(ナップサック問題)を基礎とした公開鍵暗号(秘匿)の具体的な実現方式を示す.更に,量子公開鍵暗号のパラダイムを一般化することにより,量子計算暗号という新しいパラダイムが構築されることを示す.