著者
岡田 洋右 田中 健一 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.758-764, 2022-04-10 (Released:2023-04-10)
参考文献数
8

骨粗鬆症の予防と治療の目的は,骨折を予防し骨格の健康を保って,生活機能とQOL(quality of life)を維持することである.そのためには,種々の骨粗鬆症治療薬から個々の症例において,症例背景や作用機序を考慮して薬剤選択をするべきであり,骨密度増加・骨折予防効果のエビデンスのみならず,アドヒアランス,副作用,薬価も念頭においた治療方針を立てる必要があり,長期的な視点に立ち個々の患者に適した薬剤を選択することが重要である.
著者
久能 芙美 岡田 洋右 新生 忠司 黒住 旭 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.49-53, 2015-03-01 (Released:2015-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は42歳女性.動悸・発汗過多・手指振戦のため2011年3月に来院.甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone; TSH) < 0.01 μU/ml,遊離サイロキシン (free thyroxine; FT4) 6.15 ng/ml,抗TSH受容体抗体 (TSH receptor antibody; TRAb) 7.8 U/ml の検査所見よりバセドウ病と診断し,メチマゾール 30 mg,プロプラノロール30 mg 内服を開始し甲状腺機能は改善した.しかし,躁症状,易刺激性,幻覚妄想が顕著となり2011年5月医療保護入院となった.アリピプラゾール24 mgおよびリチウム400 mg内服を開始したが,幻覚・妄想症状が遷延し抗精神病薬の調節を要した.甲状腺機能改善に遅れ,2011年7月に精神症状は改善し退院.退院後はメチマゾール10 mg内服で甲状腺機能は正常化を維持し,抗精神病薬内服は中止できた.バセドウ病では気分や活動性の変化などの気分障害が多いが,本例のように幻覚妄想など本格的な精神症状が主徴となり入院加療まで要した報告は少ない.バセドウ病に伴う症状精神病では精神症状が遷延する可能性があり,精神科専門医との綿密な連携が重要である.
著者
黒住 旭 岡田 洋右 西田 啓子 山本 直 森 博子 新生 忠司 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.353-361, 2012-12-01 (Released:2013-02-28)
参考文献数
20

症例は49歳男性.43歳時より動作時に動悸,冷汗,虚脱感が突然生じるようになり,低血糖発作(血糖50~60 mg/dl)を疑われ当科紹介.75 g経口糖負荷試験で5時間後に血糖56 mg/dlまで低下したが,無治療で血糖は回復.48時間絶食試験終了直前,排尿後の立位時に気分不良となり冷汗,頻呼吸を生じた.その際装着していたホルター心電図で140台の洞性頻脈を認めた.頻脈は日中活動時のみ出現し,起立時に再現性がありhead-up tilt試験を施行.起立時に血圧低下なしに心拍数上昇を認め,経過から体位性起立頻脈症候群の可能性が高いと判断した.β遮断薬開始後に発作は出現せず,1ヵ月後に再検したhead-up tilt試験では起立時の心拍数増加も消失を認めた.一般的に体位性起立頻脈症候群は洞性頻脈,不適切洞性頻脈,洞房結節リエントリー性頻拍といった頻脈性不整脈や神経調節性失神との鑑別が困難なことも多いが,本症例においては低血糖発作との鑑別として考慮すべき疾患と考えたため報告する.
著者
杉藤 素子 岡田 洋右 鳥本 桂一 遠田 和彦 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.822-826, 2018-12-30 (Released:2018-12-30)
参考文献数
4

インスリン注射針などの医療廃棄物(以下,注射針等)の不適切廃棄は社会問題となっている.東海道新幹線においても車内清掃時に注射針等を発見するケースが散見され,清掃員の針刺し事故も発生している.今回,清掃会社A事業所に協力を依頼し実態調査を行った.注射針等の発見は,平成(Hと略す)25年度97件,H26年度153件,H27年度170件,針刺し事故はH25年度1件,H26年度0件,H27年度1件であった.H27年度は発見場所も調査したが,トイレ51 %,床面32 %,座席周辺8 %,洗面所7 %で,すべてむき出しであった.2日に1件の頻度で注射針等が発見されている一方,A事業所の針刺し事故の発生は他の報告より少ない頻度であった.教育や注射針回収の対策を講じた効果であると考える.しかし,不適切廃棄が続く限り,完全に清掃員の針刺し事故を防止することは難しい.本報告が療養指導に活用されれば幸いである.
著者
齋藤 桃 岡田 洋右 鳥本 桂一 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-306, 2022-09-01 (Released:2022-09-09)
参考文献数
14

症例は40歳女性.食後に生じる低血糖症状を主訴に当科紹介受診した.75g経口ブドウ糖負荷試験では,1時間後血糖245 mg/dl,2時間後血糖196 mg/dlであり耐糖能異常と診断した.しかし,6時間後血糖はインスリン遅延過剰分泌に伴い46 mg/dlと低血糖を呈しており,反応性低血糖と診断した.単純糖質を避けるなどの食事指導を行うとともに耐糖能異常・反応性低血糖に対してボグリボース0.6 mgの内服を開始した.低血糖症状の頻度は一旦減少していたが,徐々に低血糖頻度が再度増加した.詳細な問診により月経2-3日前に低血糖の頻度が多いことが判明したため,月経前後の血糖変動を確認するためFlash Glucose Monitoring(FGM)を装着した.FGMでは月経3日前より食後血糖の増悪とともに,反応性低血糖の出現を認め,一方月経4日後には食後高血糖は改善し,反応性低血糖も消失したことを確認した.月経前にはボグリボースの飲み忘れがないように服薬指導を行うとともに,月経数日前には昼食後の補食をするように指導を行い,低血糖出現頻度は減少した.これまで本例のように月経前に増悪する反応性低血糖症をFGMで評価し得た報告はない.反応性低血糖の診断や病勢評価,治療において,月経周期の血糖への影響についても考慮する必要がある.
著者
田中 良哉 岡田 洋右
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.669-674, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症は代表的な腫瘍随伴症候群で,進行癌の約10%に併発する.腫瘍細胞から産生された副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)は,腎でのカルシウム再吸収や骨でのカルシウム動員を介して高カルシウム血症をもたらす.ビスフォスフォネートは,骨吸収阻害を介して高カルシウム血症に奏功する.本稿では,PTHrP産生腫瘍による高カルシウム血症の発症の機序,診断,治療および今後の展望について概説する.
著者
福島 あゆみ 岡田 洋右 谷川 隆久 河原 智恵 三澤 晴雄 中井 美穂 廣瀬 暁子 神田 加壽子 森田 恵美子 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.311-316, 2003-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

症例は52歳女性. 1996年 (平成8年) に低血糖昏睡 (血糖12mg/dl) で近医に緊急入院したが, 低血糖発作が頻発するため1997年 (平成9年) 当科入院.考えられる低血糖発作の原因を除外した後に, インスリン (IRI) 血糖 (PG) は0.44~1.07, 血管造影で膵尾部に径1.5cm大の濃染像が疑われることより, インスリノーマの診断で膵体尾部脾合併切除 (90%) を施行したが, 術中所見, 切除膵の組織学的検討で異常所見を認めなかった. しかし, その後も夜間空腹時低血糖発作を反復するも, 発作時のIRI PGが0.07と過剰インスリン分泌は消失していたことから, 術後低血糖の主因としては反応性低血糖を考え, ボグリボース内服と夜間補食 (2単位) を開始. 以後, 日常生活には支障ないものの, 依然として早朝空腹時血糖は50mg/dl前後であり, 2001年 (平成13年) 9月病状再評価のため施行した選択的動脈内カルシウム注入検査 (ASVS) にて, 30秒後にIRIが2.5倍以上に上昇し陽性. また, ボグリボースと夜間補食中止下でのdaily profiieでは食後高血糖がみられ, 著明なインスリン抵抗性と低血糖時のインスリン分泌抑制を認めた.本例の低血糖の病態としては, ASVSの結果および術後経過より, 術前の病態としては膵β細胞のび漫性機能亢進があったのではないかと考えられ, 広汎な膵切除によるインスリン総分泌量の減少に加え, ボグリボースにより反応性のインスリン過剰分泌を減少させることで重篤な低血糖発作を改善することができたと推測される.
著者
森 博子 岡田 洋右 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.323-329, 2012-12-01 (Released:2013-02-28)
参考文献数
25

ビタミンD欠乏症は骨粗鬆症,骨折の原因のみならず,近年では2型糖尿病や心血管疾患,高血圧,癌,感染,自己免疫疾患などの発症リスクを上昇させると報告されている.日光曝露不足や食事からのビタミンD摂取不足が,ビタミンD欠乏症に繋がっており,特に女性においてビタミンD欠乏症は,よくみられる病態と考えられる.女性が長く健康で働きつづけるためには,様々な疾患との関連が報告されているそれらの病態の上流に位置するビタミンDは極めて重要な因子である.
著者
山本 直 岡田 洋右 新生 忠司 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-60, 2015-03-01 (Released:2015-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

症例は56歳女性.外傷を契機に全身倦怠感や悪心・嘔吐が出現し近医入院.高カルシウム血症を伴う意識障害や全身の皮疹が出現したため当科転院となった.臨床症候(意識障害,食欲不振,悪心・嘔吐,血圧低下,発熱)および検査所見(血中cortisol 1.2 μg/dl と低値,高カルシウム血症11.0 mg/dl,末梢血好酸球増多1,600 /μl )より副腎皮質機能低下症と診断.皮膚生検で好酸球浸潤を認め,最終的にprednisolone 30 mg/day内服により上記症状は改善した.同症で認められる一般検査所見として高カルシウム血症および末梢血好酸球増多が知られているが,本例のように著明な症状を呈することは稀であるので報告する.