著者
関 源太郎 高 哲男 姫野 順一 岩下 伸朗 荒川 章義 江里口 拓
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

20世紀イギリスの経済社会改良思想は、19世紀末に古典的リベラリズムの時代的限界を打破するべく登場したニュー・リベラリズムの形成とその後の戦前・戦後における多様な展開、1980年代の一時的消失、20世紀末の再生という動的過程を基軸に理解することができる。その際、特に注目すべきは、(1)ニュー・リベラリズムの形成はリッチーの社会進化論が大きな契機となったこと、(2)その展開は戦前・戦後期のマーシャル、ピグー、トーニー、ウェッブ夫妻、ケインズらの経済社会改良思想にも伺うことができること、(3)1980年代サッチャー政権下で消失した観を呈した経済社会改良思想におけるニュー・リベラリズムの伝統は、サッチャー政権の諸政策を推し進めようとしたメジャー保守党政権が新たに提起した市場への政府介入を推し進め、新らたに変化した時代環境に適用したニュー・レイバー労働党政権によって1990年代末に再生されたということである。