著者
岩崎 圭祐
出版者
全国社会科教育学会
雑誌
社会科研究 (ISSN:0289856X)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.13-24, 2021-11-30 (Released:2022-10-27)

本稿は,米国の論争問題学習の教師教育に着目し,論争問題学習の効果的な指導法を開発したヘス (Diana. E. Hess)と論争問題学習の指導法を教える教師教育者に関する国際比較研究を行ったペース(Judith. L. Pace)の研究アプローチや研究成果を分析することで,日本において主権者教育や論争問題学習を実践するために必要な教師教育や教員養成のあり方を示すことを目的とするものである。 ヘスやペースの研究を分析した結果,論争問題学習を教室で広げるために教師教育において何が教えられるべきかについて,議論の形式や教材の選択,カリキュラム開発を行うといった論争問題学習に取り組むための教師の「スキル」育成から,政治的中立性の逸脱といった批判への対応や生徒の感情的な対立を抑制するというような論争問題学習で起こりうるリスクに取り組む教師の「ストラテジー」の育成へと議論が展開していることが明らかになった。その上で,2者の研究アプローチや研究成果は,現在の主権者教育において課題とされている,主権者教育に取り組む教員養成という視点からも重要な参照軸となることを示した。
著者
及川 大輔 岩崎 圭音 後藤 文彦 青木 由香利
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00348, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
22

橋梁の振動特性を把握することは,橋梁全体の剛性の評価などの観点から重要である.しかし,橋梁の振動測定で用いられるサーボ型速度計などの測定機器は高価なものが多く,点検目的や研究目的で誰もが容易に入手して使用できるものではない.そこで,本研究では加速度計が搭載されている安価なタブレット端末を用いて,木歩道橋に対して十分な精度の振動測定が行えるかどうかを検討した.最も卓越する鉛直逆対称モードに関しては,雑音の影響も少くタブレット端末による測定値と数値解析との誤差は−4.0%程度となり,加速度計を搭載したタブレット端末による振動測定の有用性が確認された.また,固有振動数や減衰定数の値を,鋼・コンクリート橋に対する概算式から得られる値と比較することで,測定した木歩道橋の振動特性について考察した.
著者
荻野 明仁 岩崎 圭介
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.353-366, 2018-04-15

従来よりAI,特に自然言語処理技術の活用領域としてコンタクトセンタが挙げられていたが,ここ数年で実際にコンタクトセンタでAIを活用する事例が出てきている.自然言語処理AIエンジンを開発する企業に勤務する筆者らは,複数の開発・導入プロジェクトを経験しているが,どのプロジェクトにおいても大小さまざまな課題に直面した.これらの経験を通じて,AIの効果的な活用のためには,AI利用を前提とした業務プロセスの最適化-具体的には学習用データの整備や継続的な学習プロセスとチューニング-が必要であることが判明した.
著者
石淵 耕一 岩崎 圭介 竹村 治雄 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.1218-1229, 1996-07-25
被引用文献数
19

本論文では, ユーザインタフェースのための画像処理を用いた実時間手振り推定手法について述べる. まず, 手形状が非剛体であることを考慮し, 画像処理を用いた手振り推定手順を定式化する. 次に, 実時間処理を達成するために, パイプライン方式並列処理を用いた実時間手振り推定手法を提案する. 特に提案手法では, 安定した手振り推定を行うため, 手の大局的特徴を用いて指先の誤検出点を除去する. その後, オクルージョンが手振り推定に与える影響について調べると共に, その解決策を複数カメラの配置問題に帰着させる. 更に, 提案手法を実際に装置化し, この装置を用いたユーザインタフェース環境の構築を通じて, 本手法の有効性を示す. その際, オクルージョン問題や手の姿勢問題が完全に解決されずとも十分なインタフェース環境が構築可能であることも併せて示す.