著者
丸山 千寿子 岩根 久夫 高波 嘉一 勝村 俊仁
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.325-333, 1994-10-01
被引用文献数
2

長時間の競技であるトライアスロン競技選手男性18名について, 競技前々日, 前日, 当日のエネルギー消費量と栄養摂取量を調べた.<BR>1.体重は競技終了直後に前々日とくらべて1.2±1.2kg減少し, ヘマトクリットは前々日44.2±2.3%に対し, 競技終了直後は46.4±1.9%と有意に増加した.<BR>2.エネルギー消費量に対する摂取量の充足率は, 前々日は203±53%, 前日は151±40%と上回っていたが, 競技当日の充足率は55±27%と少なかった.<BR>3.前々日, 前日の摂取量は, 糖質エネルギー比は, 前々日が61.3±7.7%, 前日62.4±11.6%で競技前の摂取量が少ない者がいた.ミネラルとビタミン摂取量は個人差が大きく, 食事のみに依存する者においては, 競技に備えて不足する危険性が示唆された.<BR>4.競技中エネルギー摂取量は, 朝食で1006±361kcal, 自転車1692±608kcal, マラソン1087±874kcal, 合計3729±1452kcalであり, 糖質エネルギー比は朝食において71.8±14.4%, 自転車92.2±5.7%, マラソン88.2±13.3%であった.タンパク質, 脂質摂取量は朝食での摂取量が多く競技中は少なく, 競技中は主として糖質を摂取していた.ミネラル, ビタミンの摂取量は個人差が大きかった.水分摂取量は朝食で664±275ml, 自転車で3744±1664ml, マラソン2973±2363ml, 総摂取量7488±3653mlであった.<BR>5.所要時間の関係もあろうが, 一般にサプルメントや水分をとりやすい自転車競技中に多く摂取しており, マラソン中はいずれの栄養素も摂取量が少なかった.<BR>6.トライアスロンのような長時間にわたる競技において, 競技前から競技中にかけて糖質含量の多い食品を中心に摂取した場合に, 鉄やビタミンB群などの他の栄養素の絶対的, 相対的不足を招く危険性があり, 各栄養素間のバランスについて注意を要すると考えられた.
著者
岩井 千春 岩根 久 岩田 聖子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日英比較による苦情対応のについての量的研究―アンケート調査と談話完成テスト(Discourse Completion Test)を日米で実施し、分析を開始する1. アンケート調査の質問内容の設定: 苦情対応の事例と対応方法、そして、苦情対応に関する意識を日本と(英語母語国の)アメリカで調査するため、質問内容を作成した。質問の形式は選択と記述の両方を採用し、調査実施前には接客業務の経験がある、日本人とアメリカ人の協力者にパイロット調査を行い、質問紙の完成度を高めた。2. 談話完成テストの質問内容の設定:アンケート調査と同時に、日本とアメリカで実施する談話完成テストの内容を作成した。談話完成テストは特定の状況(本研究では苦情対応)での具体的な発話内容を調査するものである。本研究では、談話完成テストの中で使用する苦情の状況を設定するために、頻繁に発生するタイプの苦情を研究し、更に、談話完成テストの協力者が答えやすい苦情の状況と質問を設定した。回答協力者に回答方法をわかりやすく示すために、最初に例題と答えの例を提示した。また、前項のアンケート調査と同様にパイロット調査を行い、質問内容の完成度を高めた。3. 日本とアメリカでアンケート調査と談話完成テストの実施:アンケート調査と談話完成テストともに、調査方法はインターネットを利用し、両調査ともに日米で調査対象者を接客業で苦情対応を経験した者に限定し、その上で各国で300を超える有効回答数を得ることができた。4. 分析(分析は30年度も実施): 前項までの調査データを分析している。アンケート調査の記述式回答や談話完成テストの回答はカテゴリー化して、日本人とアメリカ人の語用論的パターンを分析している。