著者
鎌田 健司 岩澤 美帆
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-20, 2009-11-30 (Released:2017-09-12)
被引用文献数
3

Our study focused on regional differences in fertility from the viewpoint of the spatial effect on fertility behavior, and re-examined previous research by using regression analyses that take account of spatial autocorrelation. More specifically, we applied geographically weighted regression to assess heterogeneity of the relationship between regional fertility rates and their covariates. Our analytical samples are 2311 towns and villages in Japan based on 2005 administrative boundaries. We used total fertility rate calculated based on vital statistics (Bayesian estimates) in 2005 as a dependent variable. Independent variables include socio-economic condition, female labor force participation, political measures on child care, and household structure that come from a database based on census. Our result suggests that residuals of the global model using ordinary least squares show strong spatial autocorrelation, meaning that statistical inference may be unreliable. Based on the result from this global regression analysis, we attempted to examine spatial variations in the coefficients by estimating geographically weighted regression model. The result suggests that most of coefficients for covariates have statistically significant geographical variations, and in some regions, sign shifts in the opposite direction from what it is in the global model. We conclude that fertility response to external forces may vary across regions because of their historical and geographical settings, and results of the global model may not be appropriate to uniformly apply for each region. Our result also suggests that policy measure should be flexibly carried out reflecting unique regional conditions.
著者
岩澤 美帆
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.47-61, 2017 (Released:2017-11-20)

婚姻関係にない父母のもとに生まれる婚外子は婚内子に比べ養育に必要な資源や投資が制限されやすく,その実態把握は次世代育成に関わる重要な関心事となる。しかしながら今日の欧米社会と異なり婚外子割合が低い日本では,標本調査による婚外子の捕捉が難しかった。2001年に始まった出生児を対象とした大規模調査である「21世紀出生児縦断調査」では約600ケースの婚外子を含むため,家庭環境や暮らし向き等の定量的な記述が可能である。本稿では米国や日本における婚外出生をめぐる議論や知見を整理した上で,上記調査データ6年分を二次利用し,婚外子の人口学的特徴,両親の属性,経済状況,母親や子供の人間関係,父親の育児参加等,子供の成長に影響を与える諸側面について,父親との同別居による違いおよび婚内子との比較の観点から明らかにした。 日本の婚外子は婚内子に比べて第1子が多いこと,都市部在住が多いこと,低体重児が多いこと,両親に喫煙者が多いこと,経済的に困窮している世帯が多いこと,母親のネットワークが狭いこと,子供の遊び相手の範囲が狭いこと,父親がいない世帯では母方祖父母との同居割合が高まるが,母親とその親との精神的結びつきは希薄である可能性などが明らかになった。0歳時点で父親と同居している割合は,8,9割とされる北欧社会,5割とされる米国に比べても低く,3人に1人以下であった。一方で半数の子供が6歳までに父親あるいは母親の新たなパートナーとの同居経験がある。別居の父親の状況や子供との関係については情報が限られるが,別居の父親からの支援は極めて限定的であることが推測される。質的な調査によってこれまでも日本の婚外子に対する社会的なサポートの必要性が指摘されてきたが,量的調査によっても,日本の婚外子とその家族が経済的に困窮し,家族の結びつきが弱く孤立しやすい状況にあることが確かめられた。一方で,継続的に父親と同居している婚外子や母親の社会経済的地位が高いケースも一定数含まれているほか,同居している婚外子の父親の育児参加は,婚内子の父親と変わらないなど,婚外子をめぐる環境が多様であることも明らかになった。
著者
岩澤 美帆 別府 志海 玉置 えみ 釜野 さおり 金子 隆一 是川 夕 石井 太 余田 翔平 福田 節也 鎌田 健司 新谷 由里子 中村 真理子 西 文彦 工藤 豪 レイモ ジェームズ エカテリーナ ヘルトーグ 永瀬 伸子 加藤 彰彦 茂木 暁 佐藤 龍三郎 森田 理仁 茂木 良平
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

結婚の形成と解消の変化を理解するために、(1)変化・差異の記述、(2)説明モデルの構築と検証、(3)変化の帰結の把握に取り組んだ。横断調査、縦断調査データの分析のほか、地方自治体に対するヒアリング調査を行った。若い世代ほど結婚が起こりにくく、離婚が起こりやすい背景には近代社会を生きる上で必要な親密性基盤と経済基盤という両要件が揃わない事情が明らかになった。要因には地域の生活圏における男女人口のアンバランスや縁組み制度の衰退、強すぎる関係、男女非対称なシステムと今日の社会経済状況とのミスマッチが指摘できる。一方で都市部や高学歴層におけるカップル形成のアドバンテージの強化も確認された。