著者
橋場 亮弥 藤原 有史 李 栄柱 岸田 哲 形部 憲 大杉 治司
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.2040-2044, 2017 (Released:2018-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

傍気管嚢胞(paratracheal air cyst)は,第1~第3胸椎レベルの気管右側に好発する,比較的まれな良性の嚢胞性疾患である.われわれは術前CTで傍気管嚢胞を診断した3例の食道癌手術症例を経験した.いずれの症例も嚢胞が右反回神経周囲リンパ節を郭清する過程で同定され,郭清手技に注意を要した.傍気管嚢胞は術前にその存在を認識していなければ,術中にリンパ節と判別することが難しい形状やサイズであり,認識なく術中に遭遇すれば嚢胞損傷の危険性が高いと考えられた.胸部食道癌手術において左右反回神経周囲リンパ節郭清は重要であり,食道癌の術前評価では傍気管嚢胞も念頭に置くことは重要であると考えられた.
著者
松田 恭典 大杉 治司 竹村 雅至 李 栄柱 岸田 哲 西澤 聡
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3304-3308, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は82歳,男性.2005年7月頃より右腰背部の膨隆を自覚していた.腹部CT施行されたところ広背筋の腹側にて腰方形筋と内腹斜筋の間より脱出する後腹膜脂肪織を認め上腰ヘルニアと診断され手術目的にて当科紹介受診となった.右第12肋骨下縁三横指尾側,脊柱の右側に鶏卵大の柔らかな腹圧により膨隆する腫瘤を触知した.2006年3月に硬膜外麻酔下に左側臥位にて手術を施行した.ヘルニア門周囲を構成している筋群が比較的健常であったため直接縫合・閉鎖が可能であった.術後合併症なく13病日に退院した.以後の再発は認めていない.腰ヘルニアは稀な疾患であり,直接縫合閉鎖により修復可能であった上腰ヘルニア1例を経験したので報告する.