著者
井上 雅彦 中谷 啓太 東野 正幸
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.78-86, 2019-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
11

自閉症や知的障害のある人々の問題行動に関する機能分析的アプローチは多くの研究でそのエビデンスが示されている。近年これらの治療研究は、家庭、学校、施設などコミュニティで実施されるものが増加しており、非専門家による行動記録の収集と評価が課題となっている。本研究の目的は、日常場面において非専門家が行う行動記録を援助するアプリケーションを開発することであった。本アプリケーションは、Android(アンドロイド機器用)とiOS(iPhone, iPad用)の2つのOS版を各OSの配布サイトからダウンロードし、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで利用可能である。記録者は観察時間や標的行動などを設定し、行動の出現に合わせてカテゴリーをタップすることで記録される。入力された行動観察データは即時にグラフ化して表示させることが可能である。データは各デバイス内に格納蓄積され、必要に応じてcsv形式でメール送信可能なため、パソコンなどでのデータの編集加工が可能となっている。家庭と事業所での試用から、本アプリケーションの有効性と課題について考察した。
著者
井上 仁 東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.教育用SNSの機能強化昨年度より開発を進めている教育支援用SNSについて、ウェブアプリケーション開発フレームワークであるRuby on Railsを採用して再構築し、以下のような機能強化を図った。1)WebSocket 機能を用いることでユーザ間のメッセージ送受信のリアルタイムレスポンス性能を向上させた。2)ラップトップパソコン、タブレット端末、スマートフォンなど、画面の大きさや縦横比といったレイアウトが異なる色々な端末に対して適した画面表示ができるように対応した。また、昨年度のシステムではMacBookAirの無線ルータ機能を用いてイントラネットを構成していたが、処理できる端末数が10台程度と限界があった。本年度は業務用無線ルータを用いることで30台程度の端末まで処理が可能となり、対応授業の幅を広げることができた。2.インターネットを用いたクラウドシステムの試作イントラネットのシステムでは遠隔地からの利用が難しい。そこでインターネットを利用したクラウドシステムを試作し、東京と北海道の学校から遠隔利用の試験を行った。3.授業実践によるシステムの評価と教育効果の検証本システムを用いたSNSの適正利用に関する授業実践を行った。授業では、教師が匿名で「名前を教えて」「どこに住んでいるの」などのメッセージをシステムに書き込んだ。これに対し、名前や居住地などを書き込む生徒が見られた。一旦操作を止め、「個人情報とは何か」「知らない人に教えても良いのか」などを生徒と話し合った。その発言をもとにスライドに表示し、投稿された内容を振り返り、個人情報の扱い、不適切な発言について話合った。生徒は興味、関心を持って、SNS コミュニケーションツールの適切な利用について考えることができた。また授業1か月後の追跡調査で、体験授業の内容についてよく覚えていることが確認された。
著者
東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発することであるが、本年度の研究過程において、分散環境のパラダイムにおいては、高い独立性を持つ低粒度のサービスを組み合わせて情報システムを実現する、マイクロサービスアーキテクチャと呼ばれる構築方法が急速に普及しつつあり、マイクロサービスは、モバイルエージェントに類似した性質をいくつか持っており、分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発・適用する上で、重要な意味を持つ応用対象の1つになると考えられることが新たに判明した。本年度では、研究課題全体の最終的な目標として分散環境におけるモバイルエージェントの動的デバッグ手法を実アプリケーションに適用することを見据え、モバイルエージェント技術をマイクロサービスアーキテクチャへ導入するための課題の整理及び解決するためのアプローチの提案を行った。マイクロサービスを分割・統合する処理は、モバイルエージェントにおけるエージェントの分割・統合と共通点がある。しかし、モバイルエージェントは自律的にホスト間を移動することやホストも自律的に生成・消滅する可能性も考慮する必要があり、マイクロサービスにおけるサービスメッシュなどのインフラ及びデプロイ環境は、モバイルエージェント環境が持つ副作用を強く抑制し選択的に緩和した環境として扱うことが可能であると考えられる。これはマイクロサービスなどの普及が進みつつあるアーキテクチャが次世代のアーキテクチャへ発展する際において、モバイルエージェント技術が寄与する知見として重要な意義を持つと考えられる。
著者
高台 真太郎 上西 崇弘 市川 剛 山崎 修 松山 光春 堀井 勝彦 清水 貞利 玉森 豊 東野 正幸 久保 正二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.50-55, 2007-01-01
被引用文献数
6

肝癌切除後の孤立性リンパ節転移を摘除することで,術後2年6か月の現在,無再発生存中の症例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,C型慢性肝炎に伴う肝癌に対して肝切除術を2回施行されていた.経過観察中のCT像上,肝尾状葉に約4cm大の腫瘤性病変を認め,AFP, PIVKA-II値の著明な上昇がみられた.腹部血管造影像では腫瘤は中肝動脈および左胃動脈より栄養される腫瘍濃染像として描出され,肝癌の尾状葉再発と診断し開腹した.腫瘍は肝尾状葉に接するように総肝動脈の腹側に存在していたが,肝臓からは独立しており肝癌の総肝動脈幹リンパ節転移と考え摘除した.病理組織学的検査では中分化型肝癌のリンパ節転移と診断された.AFP, PIVKA-IIは術後2か月日に標準値範囲内へ低下し,以来,再発徴侯を認めていない.原発巣がコントロールされた肝癌の孤立性リンパ節転移は摘除により良好な予後が得られる可能性が示唆された.
著者
東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究はモバイルエージェントのデバッグの困難性を軽減するシステムの構築を目的としている。モバイルエージェントとはネットワークに接続された計算機間を移動できる自律的なソフトウェア部品である。モバイルエージェントは、自律的に計算機間を移動可能であることから、自律性に基づいた柔軟なシステム構築が可能となる反面、ネットワークやソフトウェアの規模が大きくなるにつれて、どの計算機でどのような処理を行っているのかを把握すること難しくなり、バグの原因特定が困難となる課題がある。当該年度では、モバイルエージェントのバグ原因の特定を支援することを目的として、モバイルエージェントの軽量化と、モバイルエージェントに関連する様々なパラメータを組み合わせてシステム内からバグの疑いのあるモバイルエージェントを検索を行うシステムの構築を検討した。モバイルエージェントの軽量化に関して、モバイルエージェントは移動時にプログラムコードを持ち運ぶことから通信量や移動時間が増加し、そのオーバーヘッドが大きくなる場合がある。デバッグが困難となる環境、すなわちソフトウェアとネットワークの規模が大きい環境においては、モバイルエージェントのデバッグ時に必要な情報を収集する際にも、このオーバーヘッドがデバッグの効率上の問題となる。そこで、モバイルエージェントの移動時の通信量の削減手法を提案し、その効果を確かめた。また、モバイルエージェントが持つ特有の性質である移動性に着目して、モバイルエージェントの検索に必要となるパラメータを検討し、そのパラメータを用いて大規模なネットワーク内から効果的かつロバストに当該モバイルエージェントを見つけ出すための通信プロトコルの課題を分析した。また、提案デバッガのテストベッドとして、モバイルエージェントを用いた分散型e-Learningシステムなどの具体的なアプリケーションの試作を進めた。