著者
松田 恭典 山本 隆嗣 坂田 親治 西澤 聡 家根 由典 徳原 大豪
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1531-1536, 2021 (Released:2022-02-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1

49歳,男性.双極性感情障害の既往あり.自殺企図にて降圧剤数種を大量に内服し救急搬送された.初診時より低血圧,高熱,腹痛を認めたが,症状は速やかに改善した.食事を再開すると症状が増悪するため,下部消化管内視鏡と注腸造影を施行したところ,上行結腸下部から回腸末端にかけて多発する不整形潰瘍を認め,著明な狭窄を呈した遠位回腸が描出された.保存的加療による治癒は望めないと判断し,手術を施行した.遠位回腸約75cmにわたり非連続性の壁肥厚と狭窄を認めたため,同範囲を一括切除した.術後27日で軽快退院した.病理組織所見では,粘膜は潰瘍化し,粘膜下層から筋層上層まで広範な線維化を認め,うっ血する毛細血管や静脈も認められたが,切除標本のいずれの部位にも血栓や動脈狭窄は認められなかった.よって,降圧剤の大量内服に起因するnon-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)により生じた,粘膜障害とその深層の線維性狭窄であったと判断した.
著者
山本 訓史 徳原 太豪 西川 正博 西澤 聡 西岡 孝芳 野沢 彰紀 高橋 亮 渡邊 芳久 和田 力門 若狭 研一 久保 正二
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.164-174, 2012 (Released:2012-04-03)
参考文献数
44
被引用文献数
2 14

症例は60歳代,男性.8年前に肝細胞癌に対し肝部分切除術が施行された.平成23年2月の精査で肝S4/8とS6に再発が認められたため手術予定となった.糖尿病のコントロールが悪くHbA1cが8%台と長期間高値であったため術前にdi-peptidyl peptidase-IV(以下DPP-4)阻害薬内服によりコントロールを行った.DPP-4阻害薬内服前の腫瘍最大径はダイナミックCTでS4/8が5.0 cm,S6が2.5 cmであったが,内服開始3週間後のダイナミックCTでは腫瘍最大径はS4/8が2.5 cm,S6が2.0 cmと縮小した.AFPとPIVKA-IIはDPP-4阻害薬内服後に著明に低下した.病理組織学検査で肝細胞癌内に著明なリンパ球浸潤を認め,免疫組織化学染色で浸潤リンパ球はCD8陽性T細胞であった.免疫応答が強く関与していると考えられる肝細胞癌自然退縮の1例を経験した.
著者
山村 仁 高橋 誠 仲村 光世 溝端 康光 西澤 聡 李 栄柱
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.63-66, 2011-01-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
11

麻酔導入後に用いた薬剤が原因と考えられるアナフィラキシーショックから心停止に至った症例を経験した。患者は55歳,男性で,食道癌根治術予定であった。麻酔導入後に抗菌薬とステロイドを投与した際に,アナフィラキシーショックを起こし血圧が低下した。心肺蘇生を行い約24分後に心拍が再開し,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS),大動脈内バルーンパンピング (intra-aortic balloon pumping, IABP)などを用いた全身管理の結果,第4病日にPCPSより離脱し,第8病日に抜管でき後遺症なく救命できた。心拍再開にアドレナリンは無効であり,バゾプレッシン投与が有効であった。麻酔中の心停止であったため,心拍再開まで絶え間ない心肺蘇生を行えたこと,心拍再開後に直ちにPCPSを開始できたこと,などが後遺症なく救命できた要因と考えられた。
著者
鴨井 久一 宮田 裕之 扇 正一 清水 智幸 小出 和良 中島 茂 小島 武志 西澤 聡 東堤 稔 坂本 雅子 土屋 利政 波多江 新平
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.660-666, 1990-06-28 (Released:2011-06-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

歯周病原菌といわれる7菌種 (Bacteroides gingivalis, Bacteroides intermedius, Bacteroides melaninogenicus, Fusobacterium nucleatum, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Capnocytophaga ochraceae, Eikenella corrodens) 及び対照として2菌種 (Streptococcus intermedius, Pseudomonas aeruginosa) に対して, ポビドンヨード液 (10% PVP-1) を用いて, その殺菌効果をin vitroで検討した。希釈倍率は原液及び100倍, 400倍, 800倍, 1, 600倍, 3, 200倍, 6, 400倍, 12, 800倍までを設定し, PVP-I接触時間は15秒, 30秒, 60秒とした。その結果, 歯周病原菌7菌種, 対照2菌種に対するPVP-Iの殺菌効果は, 400倍希釈, 15秒 (最少接触時間) で殺菌効果が認められた。このことは, 口腔粘膜の殺菌及び歯周ポケット内へのPVP-I薬液投与の有効性を示唆するものである。
著者
松田 恭典 大杉 治司 竹村 雅至 李 栄柱 岸田 哲 西澤 聡
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3304-3308, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は82歳,男性.2005年7月頃より右腰背部の膨隆を自覚していた.腹部CT施行されたところ広背筋の腹側にて腰方形筋と内腹斜筋の間より脱出する後腹膜脂肪織を認め上腰ヘルニアと診断され手術目的にて当科紹介受診となった.右第12肋骨下縁三横指尾側,脊柱の右側に鶏卵大の柔らかな腹圧により膨隆する腫瘤を触知した.2006年3月に硬膜外麻酔下に左側臥位にて手術を施行した.ヘルニア門周囲を構成している筋群が比較的健常であったため直接縫合・閉鎖が可能であった.術後合併症なく13病日に退院した.以後の再発は認めていない.腰ヘルニアは稀な疾患であり,直接縫合閉鎖により修復可能であった上腰ヘルニア1例を経験したので報告する.
著者
西澤 聡 船木 良輔 塚林 功 森田 登 上野 貴博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.466, pp.61-64, 2009-02-27

現代の学習において,電気磁気学を苦手とする学生が多く目立ち,それぞれが理解できずに卒業していく状況である.しかし,電気磁気学は,電気を学ぶ学生にとって基礎科目として大きな役割を担っている.磁気学が苦手な理由として,「言っていることが頭に浮かばない」,「現像をイメージすることが出来ない」,「数式が難しい」などが主な理由として挙げられる.本実験では,地球の磁場を用いたモータを,FEMを用いた磁界解析及び実物を製作することによって,解析と実物の双方を利用し,教育の現場で使用するための教材開発を目的として研究を行った.