著者
崎濱 秀行
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.62-73, 2005-03-31
被引用文献数
3 4

本研究では, 大学生・大学院生を対象として, 文章を書く際に産出字数を短く制限することにより, 書き手の文章は必要な情報がコンパクトにまとまったエッセンスの詰まったものになるのかどうかを検討した。45人の大学生・大学院生が, モーリタニア国の資料を基に, この国を知らない仲間に向けて国を紹介する文章を産出した(字数は200字, 400字, 字数無制限のいずれか。被験者間計画)。その結果, 200字群における重要な情報(核情報)の使用個数が400字群および字数無制限群に比べて少なくなったが, 使用情報総数に占める核情報の使用割合は200字群の方が字数無制限群よりも高くなった。また, 一情報あたりの使用字数は, 字数制限を行った方が字数無制限群よりも少なくなった。さらに, 文章に書く内容の構成について考える度合いは群によって異ならなかったが, 200字群において, 下書きをして情報量の調整をしていた人数が有意に多かった。これらの結果から, 字数を短く制限することにより, 産出された文章は, 必要な情報がコンパクトにまとまった, エッセンスの詰まったものになることが示された。
著者
崎濱 秀行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.129-132, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究の目的は,文章産出の練習を繰り返すことにより,書き手の文章産出活動や産出文章にどのような変化が見られるのかを検討することであった.大学1年生40名(男性22名,女性18名,平均年齢19.0歳)に教育心理学の講義での学習事項を高校1年生に紹介する文章の産出を求め(600字程度),初期と後期とを比べての違いを検討した.その結果,以下の事項が示された:(1)初期に比べ,文章が書きやすくなったと答えた学生が多かった,(2)初期に比べ,後期の方が文章完成までの時間が短くなった,(3)産出文章の総合得点には変化が見られなかったが,情報選択及び情報同士のつながりの検討の点でスキルの上昇が見られた.
著者
崎濱 秀行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-115, 2003
参考文献数
28
被引用文献数
3

本研究では,大学生・専門学校生を対象として,文章産出活動に対して持つメタ認知的知識の構造を検討した(研究1).その結果,「伝わりやすさ」,「読み手の興味・関心」,「簡潔性」の3因子を見出した.次に,文章産出スキルの高さにより,メタ認知的知識の重視度合い(メタ認知重視度)に違いが見られるのかどうか,などについて検討を加えた(研究2).各文章を得点化し,上位25%を熟達群,下位25%を非熟達群としてメタ認知重視度に関する群間比較を行った.その結果,熟達群は,「伝わりやすさ」という文章全体に関わる側面を重視していたのに対し,非熟達群は,「簡潔性」という文章の細部に関わる側面を重視していた.ところが,文章産出の際にメタ認知的活動をどの程度行ったと思うかについて自己評価させたところ,いずれの下位尺度においても群間の有意差が見られなかった.一方で,書き手がどの程度メタ認知的活動を行ったと思うか,読み手に評定を求めたところ,全ての下位尺度において,熟達群に対する評定の方が非熟達群よりも高くなった.以上の結果から,文章産出スキル育成の際,書き手に「伝わりやすさ」というメタ認知的知識を重視させるだけではなく,そうしたメタ認知的知識を上手く活用させるためのトレーニングを課す必要があることが示された.
著者
安藤 史高 Ando Fumitaka 中西 良太 Nakanishi Yoshifumi 小平 英志 Kodaira Hideshi 江崎 真理 Esaki Mari 原田 一郎 Harada Ichiro 川井 加奈 子 Kawai Kanako 小川 一美 Ogawa Kazumi 崎濱 秀行 Sakihama Hideyuki
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.237-245, 2000-12 (Released:2006-01-05)

The purpose of this study is to construct the Multidimensional Optimism Assessment Inventory (MOAI) and to examine its reliability and validity. Prior to the investigation, three subconcepts of optimism (optimistic expectancy, optimistic evaluation, and easy switching) were hypothesized and 46 items (optimistic expectancy; 24 items, optimistic evaluation; 16 items and easy switching; 6 items) were selected. Four hundred and sixty undergraduates were administrated MOAI and other scales. Exploratory factor analysis yielded 6 factors, so 6 subscales were constructed (optimistic evaluation for ability, easy switching, optimistic expectancy for external resources, optimistic expectancy for luck, groundless optimism and optimistic expectancy for future). Except for groundless optimism subscale (α=.56), Cronbach's alpha coefficients of five subscales were moderately high (they were greater than .65). The correlations between the score of MOAI and other scales supported hypothesized relations. Taken together, the result confirmed the reliability and validity of MOAI, at least partially.
著者
崎濱 秀行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.129-132, 2008
被引用文献数
1

本研究の目的は,文章産出の練習を繰り返すことにより,書き手の文章産出活動や産出文章にどのような変化が見られるのかを検討することであった.大学1年生40名(男性22名,女性18名,平均年齢19.0歳)に教育心理学の講義での学習事項を高校1年生に紹介する文章の産出を求め(600字程度),初期と後期とを比べての違いを検討した.その結果,以下の事項が示された:(1)初期に比べ,文章が書きやすくなったと答えた学生が多かった,(2)初期に比べ,後期の方が文章完成までの時間が短くなった,(3)産出文章の総合得点には変化が見られなかったが,情報選択及び情報同士のつながりの検討の点でスキルの上昇が見られた.